目次
ブックマーク
応援する
いいね!
コメント
シェア
通報
自由 2

────────────────────────────





 ………………


 …………………………あら?



 おお、久しぶりだね。繋がってる感じ?

 おじさん、なんだかもう一年ぶりくらいの気分だよ。

 作者の人、本当に何も考えてないからさ。不安になっちゃうよね。


 ああー。ユキちゃんね。

 可哀想だよねぇ……


 え? この町から連れ出してあげないのかって?


 んーーーー……

 いや、ないなぁ。


 あ、別にユキちゃんのこと心配じゃないわけじゃないよ?

 そうじゃないんだけどねぇ……


 そうだなぁ、折角作者の人にこの場を用意してもらったんだし、おじさん、語っちゃおっかな?


 おじさんさ、自由なんだよね。

 いつだって自由さ。自分の思うままに生きてるよ。

 ユキちゃんが縛られてて、そこから解放されたい気持ちも分かるよ。

 おじさんもそうだったもん。

 おじさん、嫁と子供を置いて黙って家を出てるからね。自由人としては上級者だよ?


 いや、自慢できることじゃないね。ごめんよ。

 ネジが外れちゃっただけだと自分でも思うよ。


 このままユキちゃんも連れて、いつでも好きなときにオッパイ揉めるオッパイ担当になってもらってもいいんだけどさ……

 まぁ、違うよね。

 ヌメ彦のときもそうだったけどさ、自由ってのは代償がいるんだよ。きっと。

 自由になりたければ、それ相応のものを失うことになるし、それが自然な形だとおじさん思うんだ。

 みんなそうだけど、自分が生きてる社会からは絶対に逃げられないんだよね。でも、その枠から片足だけでもいいから外れないと自由にはなれないんじゃないかな。

 ヌメ彦はその覚悟というか、そうなってもいい、全てを失った自覚があったんだけどね。

 ユキちゃんはないでしょ? そういうの。

 責めてるわけじゃないんだよ?

 社会の枠組みから外れるだなんて、そんなこと自慢でも何でもないことだよ。

 自由じゃない分、色んなものが守ってくれるんだよ。

 それはそれでいいことだし、辛いこともあるんだけれど、それが普通の生き方だとおじさん思うんだ。

 だからユキちゃんは連れていけないな。

 オッパイは惜しいけど、若い子に社会のはみ出し者になれなんて、おじさんとてもじゃないけど言えないよ……


 え? おじさんはって?

 おじさんはいいんだ。

 おじさんは何もかも失ったけど、自由が手に入ったし。

 ゴミを漁るのだってうまいもんだぜ?

 誰かにたかるのだって慣れたし。

 シャングリラも一向にどこにあるのか分からないけど、実は案外近いんじゃないかなって最近思ってるし。

 楽しいことがたくさんだよ。

 おじさんはおじさんで、おじさんのやりたいことやって、好きに出来る今の生活が気に入ってるんだ。

 自分の都合で自由を謳歌してるんだし、失うのも自分だよ。

 それでいいんだよ。


 ユキちゃん、そんな目でおじさんを見ないで。

 いや、見てくれていいんだ。

 これが自由の証だからね……






────────────────────────────

コメント(0)
この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?