「お客様、お疲れ様でございました。もしよろしければ、本日のご感想をこちらに記入していただければと存じます。女の子たちも励みになります。どうぞ、忌憚のないご意見をお願いいたします」
「にゅわ」
………………
えー……今、チェリーちゃん達は、風俗店に来ています。
少し見直したと思ったらすぐにこれです……チェリーちゃんに期待した自分が愚かでした……
あの後、チェリーちゃんはイカ頭さんに、本当は大人であることや旅をしていることを明かしました。
感心したようにイカ頭さんは聞いていました。
自分の好きなように、自由に生きているチェリーちゃんが羨ましいと言っていました。
するとチェリーちゃんは意外なことに、一緒にシャングリラへ行こうと誘いかけたのです。
今までチェリーちゃんは誰かと行動を共にすることはあっても、一緒に行こうとは言いませんでした。
しかし、私が見直し期待したのはここまでです。
一緒に旅をすることをイカ頭さんは了承しました。
家を出て、どこも行く当てがないのと、自由な生き方に憧れを抱いていたからだそうです。
そして、イカ頭さんは懐から全財産だと言ってチェリーちゃんにお金を渡しました。
それはイカ頭さんの最後の給料である3万円でした。
退職金は奥様に取られてしまいましたが、給料は無事だったそうです。
どうして自分の最後のお金を人に渡すのでしょう……それも一番渡してはいけない人物に……
お金を手にしたチェリーちゃんは、今いる街につくと真っ直ぐ風俗店へとやってきたというわけです。
怖がってなかなか店に入ろうとしないイカ頭さんを最終的には軽く麻痺させて連れてきました。
可哀想に……イカ頭さん、入る前から顔を真っ赤にして……
ろくに会話も出来ない状態で女の子に連れて行かれました。
先に終わったチェリーちゃんはロビーに戻ってきて、今はアンケートに答えているところでした。
「にゅにゅ」
「ご記入、ありがとうございます。よろしければまたご利用いただければと存じます。お連れ様も、もうまもなくお戻りかと存じますので、どうぞそのまま、お寛ぎください。では失礼いた──」
「チェリー……くん……ヒャ!」
「にゅわ~」
イ、イカ頭さんが戻ってきました!
イカ頭さん……まるで風呂上りのようにのぼせて、つやつやになって、さらに痙攣気味です……
泳ぎに腰が付いてきていません……
うわぁ…………
こんなイカ頭さんを、私は見たくありませんでした……
うわぁ……
「にゅわ?」
いやらしい顔をしてチェリーちゃんはイカ頭さんと肩を組みました。
翻訳してくれなくても分かります。どうだったと聞いているのでしょう……
「こ、こんなの……ニホッ! は、初めてで……あ、あんなに優しくされて……その、私は……マッハッ! 年甲斐もなく五回も……果ててしまって……」
ああ……一番聞きたくなかったですね……
「にゅ~わにゅわ」
「あ、あ、赤くなった私を可愛いと……こ、こんな場所があったなんて……ウヒッ! 知らなかった……」
さっきのお金……最後のお金だったのではなかったのでしょうか……
身を持ち崩す人の、まさに持ち崩した瞬間を目撃したような気分です……