た、大変です!
突然発狂したチェリーちゃんが、お医者の先生のブラジャーを力いっぱい下げてしまいました。
これはもう普通に犯罪ですね。
「あ、あんた……なにをっ!?」
「にゅわっにゅわっにゅわ~~! ぶるるるるるぃ!」
うわぁ……
なんでしょうか。
あまり状況を細かに説明したくはないのですが……
チェリーちゃんは先生の胸に必死になってしゃぶりついています……
「先生、どうかなさい──きゃっ!」
チェリーちゃんの発狂した声を聞きつけてきたのでしょう。
さんまの看護婦が診察室を覗きに来ました。
私が彼女の立場でしたら、きゃでは済まなかったでしょう。
「なんでもないよ。子供が診察を嫌がって駄々をこねてるだけさ。こっちはいいから人魚のほうを診てやりな」
「は……はい」
看護婦は先生に言われると、そそくさと持ち場に戻りました。
「さてと……いつまでしゃぶってるんだい! このスケベ親父!」
「にゅわっ! にゅ~? にゅへへ」
チェリーちゃんは乳房から口を離したものの、いやらしい顔で……いえ、これ以上はやめましょう。
なんて酷いクラゲなのでしょうか。
「ふん、そんなもんただの生理現象だよ。まさかこの歳になって性欲の捌け口にされるとは思わなかったよ。さて、どうしようかねぇ」
「にゅわ」
「まぁ、どんな患者でも診てやるってのがあたしの信条だし、普段だったらこんなことをされても無理やり診てやるんだけどねぇ。なんだろうね、アンタはどうしても診てやりたくないね」
「にゅ、にゅわ!?」
「出ていきな。それとも警察か。どっちがいいんだい?」
「……にゅ、にゅわぁ」
ふふ……恥ずかしい大人。チェリーちゃんは先生の大人な態度にぐうの音も出ないようです。
しょんぼりしています。
悪ふざけで、子供でもしないようなことをしでかした大人が、正論で怒られてしょんぼりする。
なんと情けないことでしょうか。
これに勝る情けなさもないことでしょう。
「にゅ……」
「さっさと行きな! あの人魚の娘はアンタと一緒にいないほうがいいだろう。うまいこと言っておいてやるからさっさとここを去るんだね!」
「にゅ、にゅ……にゅわぁぁ~~~~~~~~~~~~!」
チェリーちゃんは涙を流しながら診察室を出て行きました。
怒られて泣くおじさんって、相当酷いですね。
しかし……先生の気が変わったというのも、魔法の言葉のおかげだったのでしょう。
できることなら先程のような事件でないほうがいいのですが……
調子に乗ったら痛い目を見る。
これでチェリーちゃんの旅も清く正しいものになってくれると良いのですが。