チェリーちゃんとアスカちゃんは暗い海を抜け、この近辺で一番栄えている「第一お魚ちゃんパラダイス」という街にやってきました。
人魚のララベルちゃんと出会ったのはこの街の近くのことでした。
太陽の光が差し込み、とても明るいこの海は、他の海域に比べなぜかとても暖かく多くの海の生き物にとって住みやすい海です。
さて、前置きはこのあたりにして。
私はこの世界の神たる作者の方に、先日退職届を提出させていただきました。
うちは末締めです。有給消化も特に望んではおりませんので丁度いいと思ったのです。
私事ではありますが皆様にご報告させていただきます。
作者の方も就業規則や賃金規定を片手に私の話をよく聞いてくださいました。
ララベルちゃんやタツノオトシゴの親子、アスカちゃんと、私は皆さんと一緒に見てきましたが私にはもう耐えられません。
いくらなんでも、チェリーちゃん……いえ、ミスターシャングリラが酷すぎます。
読者様方の中にもミスターシャングリラの酷さに耐えかねて読むのをやめてしまった方も多いことでしょう。
私が読者でも一話でブラウザバックしています。
もうミスターシャングリラについていけない、見たくないというのが私の退職理由です。
先に結論から言いますと、私は退職いたしません。
作者の方にお話を伺った結果、私も納得の上で仕事を続けることにいたしました。
本来退職は、退職日の一ヶ月前までに伝えなければならないとされていることもそうですが、一番私が心を動かされたのは、この物語における私の権限を増やしてくださったことです。
頂いた書面を抜粋してご紹介させていただきます。
『物語の中で突発的な事故・事件を発生させる権限及び、ミスターシャングリラの生殺与奪権を、この物語の神たる私がナレーションさんに賦与いたします。
上記権限の使用はミスターシャングリラの行動が社会通念上相当であると認められない場合に限定します。
発生させる事故・事件の内容及びミスターシャングリラの命を奪う方法を決めることは出来ないものとします。
事故・事件を起こしたいときの合言葉を「そもさん」、命を奪うときの合言葉を「せっぱ」とします。』
簡単に言えば、私の判断でミスターシャングリラへ天罰を与えることができるようになりました。
もっと言えば殺すことも……いえ、さすがにそこまでは考えていませんが……
ナレーションは普通は物語には関与できません。
作者の方も私のことを考え、ここまでの権限を与えてくださったことに非常に感銘を受け、退職届を取り下げました。
本当に、裏方のお話をお聞かせしてしまって心苦しいのですが、事情が事情だけにお話をさせていただきました。
申し訳ございませんでした。
ちなみに、今私がお話している声はミスターシャングリラへは届いておりません。
それでは引き続き、物語をお楽しみください。
皆様に安心して楽しめるよう、今後は私が手綱を握ってまいります。