チェリーちゃんの入った店内はとても薄暗いところでした。
しかし、ぽつぽつと、客席を照らす照明が見えます。
いかがわしい声が、そこかしこから聞こえています。
何をするお店なのでしょうか……
「こーら、ボク! 子供はこんなお店に入っちゃだめなんだよっ!?」
「にゅ」
チェリーちゃんは声がかかったほうへ振り向きました。
店員でしょうか。
下半身がタコで上半身が人間の姿をしたショートカットの女の子がいました。
下着しか身に着けていない姿は、正直見ていられません。
最近の若い子は皆こうなのでしょうか……
チェリーちゃんは、タコ人魚が出てきたからか、ささっと身体の中にたこ焼きを隠しました。
なんて器用なんでしょう……
「にゅにゅ」
「ん~、ボクが来るにはあと二十年は早いよ! ほらほら、出て行った出て行った!」
「にゅ! にゅにゅ! にゅー!」
店員の子もチェリーちゃんのことを子供だと勘違いしているようですが、二十年したらチェリーちゃんは六十歳になってしまいますね。
チェリーちゃんは店員の子に入り口のほうへ押し戻されました。
あっ!!!!!!!!
な、なんて破廉恥なんでしょう!
チェリーちゃんは一瞬の隙を突いて店員の子のブラの中に無理やり潜り込んでしまいました……
私ははっきりと見ました!
潜り込む寸前にチェリーちゃんの目が、なまめかしい光を放っていました!
揉みくちゃになってではありません。絶対にわざとです!
こ、こんなことが許されるのでしょうか……
「あんっ! こらっ! なにして……ちょっ!」
「にゅわぁ~にゅわっ! にゅにゅ! にゅわ~!」
「分かった! 分かったから! 無理に追い出そうとしないから! そこから出てきて!」
「にゅ! にゅにゅ! ……にゅへっ」
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ふむ……ふむ。
形……A……東西皿型……
オケ。活発。良き
……塩味。良し。味吉陽一……
オケ。汗汁オケ。良き。
……
…………
………………
ん? あれ?
ん?? いまの……
あ、繋がってる? ちょっと待っててね。おじさん今超絶忙しいから。
ん~~~~……ここ……は良し。
脇のほう……?
んぁ?
しこり?
これ、しこり? Is this a SIKO?
あらら……これちょっとまずいなぁ。
……まぁ伝えるのは後でいいとして、とりあえず吸えるときは吸っておこうかな。
おじさん、いつだって飢えてるからね。
ナレーションババアが何言ったって、おじさん気にしないもんだ。
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バ……バア……? は?
「んもぅ! ボク! いい加減に……出てきて!」
「にゅわっ!」
……………………………………チェリーちゃんは勢いよく店員の子のブラジャーから飛び出してきました。
「はぁ、はぁ、やっと出てきてくれた。もう! ダメだよ? こんなところに入っちゃ!」
「にゅ! にゅ! にゅ!」
チェリーちゃんは触手をくねらせて何かを伝えようとしています。
……何か書きたいのでしょうか。
「なぁに? あたしに伝えたいことがあるの?」
「にゅ! にゅ~!」
「ん~? ……もしかして書くものが欲しい? ……ボク、喋れないのに字は書けるの?」
「にゅわっ!」
店員の子はメモでも取りにいくのでしょう。チェリーちゃんに待つように言うと店の奥へ行ってしまいました。
……おいクラゲ。
「にゅ?」
…………覚えとけよ。
「…………にゅ~」