「結菜は累のどこがいいの?顔も声も身体も最高だけど性格はかなり難ありだよ?」
(花ちゃん累さんのこと好きなのに辛辣だなあ。誰にでもこんな感じのキャラなのかな?)
少し不思議に思いながら花の第一印象が悪すぎて余計なことは言えないと慎重に答える。
「ん〜やっぱり長く繋がっていたから内面が好きだし、累さんが私のこと大切にしてくれるのが嬉しいって言うのもあるかなあ」
それを聞いた花は複雑な表情をした。
「どうしたの?何か変なこと言った?」
「いや、あの累が…ちょっと驚いただけ。ねえ結菜はいつも累とどんなことしてるの?」
「実際に会ったのは数回だから水族館デートとかお家デートくらいかな?特別なことは特に何もしてないよ?」
花はふむと何か納得した様子だったが、私に色々と説明してくれた。
「今までの彼女と扱いが全然違うね。そもそもデートしてることにびっくりだよ。累かなり面倒くさがりだから彼女のこと放置してたからね」
「え?それって彼女って言えるの?」
「それな!だから私も今までこんなに深入りすることってなかったんだよねえ」
花ちゃんは私があまりに大切にされてることに腹を立てていたからあんな酷いことをしたらしく、そのことについては謝られた。
その後、花は一人では危ないから栄が家まで送り届けてくれることになって、
花は名残惜しそうに帰って行った。
「良平、さっきの話だけどストーカーのこと」
すると良平は苦虫を噛み潰したような顔をした。
(もしかして結構いたのかな?)
「お前鈍過ぎ。今まで何人もボコったぞ。高校の頃からちょくちょくそう言うやつが発生するからその度にボコってやめさせてた」
(そんな昔から!?本当に良平がお隣さんでよかった…)
もし良平がいなかったら私は今生きていなかったかもしれない。そう思うとゾッとした。
「今後は気をつけます」
「本当気をつけろよ。俺だっていつも守ってやれるわけじゃないんだからな」
「うん。あ、花ちゃんからLIME だ」
ぽぽぽとかわいいスタンプがついた後、“ちゃんと家に帰ったよ”
そう書かれていた。
「無事に帰れてよかった。おやすみなさい」
「おやすみ!」
花はまたかわいいスタンプを送ってくれた。
(なんだか急展開だったなあ。でも花ちゃんと仲良くなれてよかった。これで累とのことも許してもらえたよね)
私はホッとすると急に眠気がきて眠くなってしまった。
「花ちゃんも無事帰宅できたみたいだから今日はこれで解散かな?」
「そうだなお前、明日も仕事だしもう寝ろ
」
そう言うと良平は家に帰ってしまった。
私は夜は一才目が覚めずに朝はスッキリ目が覚めるタイプなので翌朝もスッキリと目を覚ました。
朝の準備をしていると累と花からLIMEが入っていた。2人とも義理とはいえ兄妹なのでまめなところは同じなのかもしれない。
「おはよう!仕事頑張ってね」
花はそっけなくも気遣ってくれるLIME
「会いたいよ。結菜と会えないから仕事に身が入らなくて困ってる。早く抱きしめたい」
塁からは熱いメールが届いた。
私は2人にLIMEを返信してから出勤した。
職場で昨日起こったことを愛花に報告すると愛花は無言で頭を撫でてくれた。
「本当に結菜の周りは大変な人が集まってるよねえ。うちのヒモも大概だと思ってたけど結菜の周りの人の前では霞むわ」
「うう。何も言えない。そういえばヒモさん仕事続いてる?」
「あ〜あれね。あっさりクビ。無断欠勤ずっとしてたらしくて。私、仕事できなくてしないのは仕方ないかなって思うけど、責任感ないことするのは許せなくてヒモは実家に送り返して今フリーになったんだ」
「えええー!結婚するんじゃなかったっけ?」
「ううん、こう言うことは早い方がいいのよ。私はもう吹っ切れて新しい彼氏絶賛募集中だし」
「あ!それなら栄さんとかどうかな?確かフリーだと思うけど、会ってみるならセッティングするよ?」
「わお。曰く付きの人なんて私にピッタリじゃん。是非是非〜」
私は良平に愛花を栄に紹介したいことを伝えると、今日仕事帰りに蓮花でどうかと返信が来た。
「今日帰りにどう?って、いいかな?」
「もちろん。わたし後を引かないタイプだからいつでもOKだよ」
「じゃあOKっと」
私は良平にLIMEを送って2人がうまくいけばいいなと内心ウキウキしていた。愛花も栄も良い人だから2人が上手くいってくれれば嬉しい。しかも2人とも私のストーキングの時に力になってくれた人たちだから尚更そう思った。
「あ!栄さんの顔見ておく?写真送ってもらおうか?」
「ううん。私見た目を気にしないの知ってるでしょ?中身とかフィーリングを大切にしているから」
ただ心配なのは愛花が栄のストーカーに狙われないかと言うこと。過激派もいるらしくてそれだけが心配だった。
「私の心配してくれてる?それなら大丈夫だよ。私喧嘩強いから」
「喧嘩?」
「元ヤンなんだ。殴り合いの喧嘩とか普通に負けたことないの」
「えええー!全然見えないよ!?」
愛花はいつも黒くて艶やかな長い髪にミニスカ、ピンヒールを履いて、歩く姿は迫力があった。
(あの迫力は元ヤンだったからなんだなあ。人ってわからない)
その後、ヤンキー時代の写真を見せてもらったら、特攻服を着こんでなんと総長だったことが明らかになってさらに眩暈がした。