「ーありがとう、キャプテン・プラトー」
「恐縮です、大統領閣下」
オレンジのタブレット…『感謝状』をこちらに渡して来た大統領は、心底感謝した様子でそう言った。…それを俺は、マジで恐縮しながら受け取る。
すると、同席者達が拍手をした。
ー地上に戻って来た俺は、政府が手配してくれた送迎車で大統領府に向かい非公式の『感謝』を受けていた。
「…以上で、感謝状授与を終了します」
…ふう。緊張した…。
「ー済まないな。いろいろと忙しいなか、足を運んで貰って」
そして、司会の言葉で非公式の式典は終わる。…けれど、直ぐに大統領が声を掛けて来たの再度気を引き締める。
「お気遣い、ありがとうございます。…まあ、既に私の『やるべき事』は終わっていますのでそこまで忙しくはありませんので、ご心配には及びません」
「…そう言ってくれると、助かるよ。
ー特に、『彼ら』は…」
そう言って、大統領は同席者の方を見た。そこには、ブラウジス閣下や政府高官に星系軍のトップ陣営。…それに加えて、こちらに物凄く『アツい』視線を向けてくる数名の男女が居た。
「…ああ、あの方達が『例の方々』ですか」
「…実はな、今回の『非公式の表彰』は彼らの提案なのだよ」
「(…まあ、文字通り『人生のピンチ』を救ってくれた訳だしな。…そりゃ、閣下も折れるわな。)
……」
『ーっ!?』
そんな話を聞いたので、ゆっくりと彼らに近く。…まあ、当然彼らはビックリした。
「ーこんにちは。…その後、『大丈夫』でしたか?」
「…っ。…はい、キャプテン・プラトーのおかげで今の所『トラブル』は起きていません」
「こ、今回は、本当に有難う御座いました」
『有難う御座いました』
とりあえず、『報復』がないか確認してみると彼らは緊張しながら大丈夫だと返した。…そして、成人したばかりの俺に深く頭を下げた。
「どういたしまして。…まあ、ほとんど『新入り』の手柄ですので『この後』にでも褒めてやって頂ければと思います」
感謝は素直に受け取り、そしてきちんとデバイスを併用しながら『誰の功績』かを伝えた。…ちなみに、『この後』は『公式』の表彰式があったりする。
対象は、『ボス』を除く『プレシャス』メンバーと現地『サポーター』になる。
「…っ!分かりました。
必ず、その方にも感謝をお伝えします」
すると、彼らの1人がしっかりと約束した。…さてとー。
「ーご歓談中、失礼します。
同志プラトー、少し良いだろか?」
彼らとのやり取りが終わったの見計らい、ブラウジス閣下が声を掛けて来た。…実は、『変装解除』の場所を用意して貰っているのだ。
「あ、はい。
…それでは、失礼します」
「…失礼します。」
ーそれでは皆様、私達はこれにて失礼致しますっ!」
「失礼しますっ!」
そして、彼らや他の同席者誰一礼し閣下と共に執務ルームから出た。
「ーどうぞ」
それからおよそ10分後。官邸の地下パーキングに停められた閣下の車に乗り込み一旦官邸から離れた場所に移動する。…すると、そこには既に『ウマ』が待機していた。
「ーお疲れ様です。マスター」
そして、『ウマ』に乗っていたカノン(オリバーモード)が降り一旦こちらに乗り込み『プラトー』に成り変わる。
後は、俺が素顔に戻り『直接』向こうに戻れば
入れ替わりは完了だ。
『それでは、私はこのまま閣下と共に地上警備隊に向かいます』
「ああ。…閣下、ありがとうございました」
『なに、無理を言って来て貰ったのだから当然だ。
ーそれでは、また後で』
「はい」
その後、閣下の乗る車は出発し俺は再び官邸に戻る…前に地上警備隊基地に向かった。
「ーあ、こちらキャプテン・ブライトです」
『はい。…あ、レンハイ少佐よりお話は伺っていますよ。
ーそれでは、スミルノフ殿にお伝えしておきまましょう』
道中、向こうに連絡を入れると手筈通りオットー隊長が話を伝えていてくれたので、向こうの人は直ぐに察し行動を開始した。
「すみません。お願いします」
『お任せを。…ではー』
そこで通信は切れたので、到着までの短い時間俺はのんびりとする事にしたー。
○
「ー…いや、本当すみません……」
そして、ヒューバートと合流した俺は再度大統領府に向かっていた。…その道中、彼は非常に申し訳なさそうにしていた。
…というのも、彼も事件解決後から慌ただしく動いていたのだ。
まあ、当然『サイバー方面』だがそれでも現場担当と同様に今日まで時間を削って役割を果たしてくれた。…ただ、やっぱり徹夜作業に慣れていないのかついさっきまで寝落ちしていたのだ。
そして、基地の人が呼びに行っても起きなかったので、俺が『サポーター』と彼の『デバイス』とをリンクさせて起こしたのだ。
「…まあ、『オーダー』は完遂してるから良いんだけどな。…しかし、つくづくお前は『イメージ』とかけ離れているな」
「…なんか、私達『情報屋』って変なイメージがあるんですね。
ランスターの2人も、『アジト』が市街地にあった事に驚いてましたし…」
俺は後ろのシートに居る彼を見ながら、『イメージ』とのギャップに触れた。…すると、彼は苦笑いしながらそう返す。
「それにも驚いたな。…何で、『そういうイメージ』がついたんだろうな?」
「…多分、『シークレットナイト』の前に流行したスパイ系のデータノベルやホロムービーがきっかけだと……」
そんな疑問を口にすると、彼は自分の予想を出した。…というか、どうやら彼は『そっち』のファンでもあるようだ。
「…ふむ。……まあ、この件は時間がある時にでも確かめるとするか」
そうこうしている内に大統領府が見えて来たので、『解決』は後回しにする事にしたー。
「ーあ、こんにちは」
「こんにちは」
『っ!こんにちは』
そして、何事もなく再度中に入りスタッフ…というか情報班のレイラ少尉の案内で『集合場所』に入る。すると、既に大半の『現地サポーター』が集まっていた。
「それでは、時間までお待ち下さい」
「「ありがとうございました」」
『ー……』
少尉にお礼を述べた俺と彼は、適当に空いてるソファーに座った。…すると、他のメンツがチラチラとこちらを見て来る。
「ー失礼します」
『ーっ!?』
だが、彼らの意識は直ぐに別の方に向いた。…何故ならー。
「ー失礼します」
まず、最初に入って来たのは『プレシャス』の顔役の一人にして銀河連盟で活動する女性船乗り達の『お姉様』である、クルーガー女史だった。…当然、ルーム内の女子達は全員女史に熱い視線を注いだ。
「ーあら、オリバーにヒューバート。こんにちは」
「「…こんにちは」」
女史はこちらに気付き、気品溢れる所作で挨拶した。…なので、俺達は直ぐに立ち上がり小さく会釈をする。
それは、周りに『緊張』していると伝わった事だろう。いや、事前に決めておいて良かった。
『……』
おかげで、更に注目を浴びる事も嫉妬される事もなかった。
「ーおお、居た居た」
『……っ』
次に入って来たのは、筋骨隆々に加え俺以上のタッパを持つ壮年…『害獣ハンター』の業界は勿論、『秘宝ハンター』としても超有名な大将が入って来た。…すると、他のメンツは正装越しからでも分かるその凄まじい身体に釘付けになった。
「早いな、2人共。うん、良い事だ。
あ、女史もお疲れ様です」
「…ありがとうございます」
「…恐縮です」
「どうも。…あら、同業者の方は?」
当人は慣れているのか、視線をスルーしこちらに挨拶する。当然、この人にも緊張した様子で返した。
けれど、女史は優雅に返し…事件当日大将と共に現場で『害虫駆除』をしていた『業者』が居ない事に触れた。
「まあ、『理由』は女史の所とだいたい同じですよ。
ーウチは、大所帯な上『働き者』が多いですからな」
「本当に、貴方達の仕事に対する姿勢は頭が下がりますわ。…つまり、貴方が代表で受け取るのですね」
「ええ。…おやー」
「ー失礼する」
『……っ』
2人が話していると、またドアが開かれた。そして、同時に中に居たメンツはヒソヒソ話を止めた。
…何故なら、いかにも厳格そうな顔つきの『ベアアーツ道場』の当主たるマオ老師が入って来たのだから。
「「こんにちは、マオ老師」」
「ごきげんよう、マオ老師」
「こんにちは、老師殿」
老師は素早くこちらに向かって来た。…そして、当人が立ち止まると同時にこちらから挨拶した。
「うむ。…何だ、『2人』のところもか」
「「はい」」
老師は、女史と大将が自分と『同じ』だと瞬時に悟った。…いや、本当にお3方やその周りの人達ってビックリするぐらい『優秀』な人だよな。
『ーお待たせ致しました。これより、会場へとご案内致します』
改めてそんな事を考えているとアナウンスが流れ、直後案内役のスタッフ達が入って来るのだったー。