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『後日』-戦力強化-

 ーそれから、数時間後。カノープスに戻って来た俺達は直ぐに『保管ルーム』の隣にある『特別なルーム』に入る。

「お帰りなさいませ、皆様。

 ーそして、改めて宜しお願い致します。ミリアム様」

「…は、はい」

 すると、既に準備を終えたカノンが出迎えてくれた。…こういう対応に慣れていないのか、彼女は少し緊張した。

「…あ、カノンさん。『コレ』です」

「…おお、これが……。…それでは、お預かりします」

 そんな彼女をよそに、アイーシャはマネージャーに例の物を渡した。…そして、それを恭しく受け取ったマネージャーはルーム内にあるドアを通り、『オープン』に適した環境が整えられているルームに入る。

『ーそれでは、慎んでオープンさせていただきます』

 直後、壁にあるモニターが起動し向こうの様子が映し出された。…本当、生真面目だな。

 モニターの向こうで深くお辞儀をするマネージャーを見て、そんな事を考えた。

 一方、向こうではマネージャーが慎重に保存ケースをオープンしていく。…どうやら、保存ケース自体は『ちょっとオールド』なタイプのようだ。


『ー……ふう』

 少しして、マネージャーは無事に保存ケースをオープンした。…そして、いよいよ『中身』のオープンに取り掛かる。

 まあ、綺麗な形でバインドされたオレンジのヒモを解いていくだけなので保存ケースより簡単だろう。

「…っ。……あ」

 実際、予測通りオープンはたったの数秒で終わりマネージャーは横長のテーブルの端にスクロールの端を固定し、残りの部分をゆっくりと左に転がして行った。

 ーやがて、スクロールに記された『モノ』が姿を現していく。

「…あれは、『手甲』?」

 新入りの言うように、スクロールにはナイヤチ意匠の『ガントレット』が描かれていた。…しかも、それだけではなかった。

「…今度は、ナイヤチの古いタイプの『ブーツ』か」

 スクロールの後半には、これまたナイヤチ意匠の『ブーツ』が描かれていた。…というか、どちらもナイヤチのヒストリーミュージアムで見た事がない非常にオールドなデザインだった。

『ー…っ。とりあえず、フォトを撮りますね』

 マネージャーは、俺達同様若干困惑していたが直ぐに撮影を開始する。…そして、ゆっくりとクローズ作業を始めた。


「ー…いや、なんだってあんなオールドなアイテムが?」

「…うーん……」

 すると、モニターの画像は先程の『アイテム』の絵に切り替わりった。…けれど、ランスター達は困惑する。

「(…アーマーなら『ウサギ』で事足りるのに、何で『コレ』なんだ?……いや、『ファインドポイント』に『ハズレ』という概念はない。思い出せ、全ての『関連エピソード』を。…その中に『答え』がー。)

 ー…ああ、そういう事か……」

 一方、俺は記憶のサルベージを始め…そして、直ぐに『答え』を見つけた。

「…へ?」

「…どうしたの?」

「……」

「…多分、あの2つは『アイデア』だ」

「「「『アイデア』?」」」

「そう。

 ー実際、カノープスの武装は『ファインドポイント』で見つけた何らかの『アート』から『アイデア』を得ているんだ」

「…え!?…本当ですか?」

「…驚きだね」

「…だから、今回のも『アイデア』だと?」

 割りと衝撃を受けたランスター達はぎょっした。一方、新入りは冷静さを保ったまま聞いてくる。


「俺はそう考えている。

 …そして、『アレ』はきっとランスター達の為のモノだろう」

「「…え……」」

「……」

 当然、当人達は困惑した。…けれど、新入りはそれを聞いて何か考える。そしてー。

「ー…もしかして、2人用の『武具』が生み出せるのではないですか?」

「「…っ!?」」

「正解」

「ーなるほど…。…シャロン、応答を」

 すると、ちょうどそのタイミングでマネージャーがこちらに戻って来た。…そして、ついでに『シュミレーション』担当にも繋げる。

『ーはい。話は聞いていました』

 直後、モニターはまた切り替わりシャロンの顔が映し出される。

『…あ、はじめまして。

 私は、シュミレーションフロア担当のシャロンと申します。

 宜しお願いいたしますね、ミリアム様』

「っ!あ、はい。どうもご丁寧に…」

 まず、彼女は新入りに丁寧な挨拶をした。…すると、新入りはまたまたキョドりながら返す。

「シャロン、オーダーだ。

 さっきのデータから、『イメージ』を作っておいてくれ」

『イエス・キャプテン。

 出発の時間までに、作成しておきます』

「頼んだ」

『では、失礼致します』

 そして、シャロンは深くお辞儀してから通信を切った。…さてー。


「ーっ。マスターに報告。

 政府官邸より、通信が入っています」

「ありがとうー」

 とりあえず用事は終わったので、地上に戻る準備をしようとしているとカノンが報告して来た。

 なので、素早く『変装』し通信に出る。

「こちら、キャプテン・プラトーです」

『こちら、ブラウジスだ。すまないな、急に』

「いえ、ちょうど今『一区切り』付いたところですので(…なんだろう?)」

 通信の相手は、上司であるブラウジス閣下だった。…既に『報告』は済んでいるので、内心首を傾げる。

『…いや、実はな……。

 ーナイヤチ政府が、どうしても君の事を表彰したいと言って来ているのだよ。…勿論、非公式にだがな』

「…っ!」

『…っ!?』

 閣下の口から出た衝撃の内容に、俺も後ろのクルー達も驚いた。…それにしても、閣下が熱量に負けるとはな。

 ー実際、今までも『こういう話』はあった。…けれど、俺は『ジョブ的』にあんまり目立つ訳にはいかないのでメディア出演は勿論、公の場での顔出しは宰相閣下がうまい事断ってくれていたのだ。

『ー恐らく、同志プラトーの活躍に感動したのだろう。…いや、あれは-崇拝-の域に達しているな。

 そして、そうなった理由は同志プラトーが-伝説を越えるチカラ-で-過去以上-の事をやり遂げたからだろう』

「…あー、なるほど。…いや、なんかすみません」

 俺は、なんか急に申し訳なくなった。…つまり、ある意味俺自身のせいだ。


 ーまあ、政府の心情も分かる。…だって、最悪『過去以上の事態』になり掛けていたのをまた防いで貰ったのだから。

 それも、かつてナイヤチを救った『ドラゴン』の『新たな姿』によって。…しかも、その姿は猛々しい『炎のドラゴン』と来ている。

 故に、崇拝の念を抱いても仕方ない事だ。…はあ。


『ー…いや、-あの姿-でなければ-害虫-は駆除出来なかったのだろう?…なら、謝る必要はない。

 …それで、どうする?』

 すると、閣下は首を振った。まあ、同時の状況は事細かに伝えてあるからってのもあるが…やっぱり、『ドラゴンの意思』だと分かっているからだろう。

 そして、閣下は返答を求めて来た。

「謹んで、表彰を受けたいと思います」

 俺は、真顔で答えた。…まあ、向こうの気が済まないだろうしな。

『…分かった。

 それでは、なるべく早くこちらに来てくれ』

「了解です」

『では、また後でー』

「ーてな訳で、至急地上に戻る。…まあ、君達はゆっくり戻ってくれ」

「…っ!は、はい。

 …その、おめでとうございます」

「「…っ、おめでとうございます」」

 通信が切れたのを確認し、俺は後ろを振り返りポカンとしているアイーシャ達に告げた。…すると、彼女達はハッとして称賛の言葉を口にした。

「ありがとう。

 じゃあ、一旦解散だ」

『お疲れ様でした』

 そして、俺は一足先に首都惑星へと降りるのだったー。

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