「ーお待たせ」
「っ!マスター、お待ちしておりました。…おや?」
そして、コクピットに入るとカノンが出迎えてくれた。…当然、彼女は俺が持つ2つの装備に首を傾げた。
「…ああ、この2つはさっき『サポーター』が持って来てくれたんだ」
「……。…っ、マスターどうぞシートへ。
とりあえず、その2つは一旦私が預かります」
それを聞いた彼女は、驚いた顔をした。まあ、彼女もオーダーを出していないのだから当然だろう。
けれど、彼女は直ぐに切り替えてコクピットを丁寧な所作で指し示した
「頼む」
俺は彼女に2つの装備を預け、ドライバーシートに座る。…直後、アラートがコクピットに流れた。
「カノン」
「イエス・キャプテン」
俺が『オーダー』を出すと、カノンは直ぐに『現場』の様子をモニターに映し出した。…当然、そこには先程『飛ばした』巨大なボックスがあるのだが既にその硬質の全面はボロボロだった。そしてー。
「ー…デカイな……」
『ボックス』の上部は中から破壊され、『それ』が姿を現した。…そのサイズは、展開中の戦艦より遥かに巨大だった。
『ーこちら、ナイヤチ防衛軍っ!
これより、第1攻撃部隊が超巨大エネミーの誘導に入るっ!』
その圧倒的なサイズに引いていると、ナイヤチ防衛軍の旗艦から通信が来た。
「お願いします」
『お任せをっ!』
すると、複数の攻撃艦が『害虫』に向けて砲撃を『1発』だけ行った。…すると、『害虫』はブルブルと震えながらそちらを向き『ハネ』を羽ばたかせた。
直後、攻撃艦はトップスピードで『誘導』を始めた。
「これより、当船は『先回り』を開始する。
ー『ダイレクトワープ』、スタンバイッ!」
「イエス・キャプテン。
ー『リンク』完了。エネルギー残量、問題無し。
いつでも行けます」
カノンはオーダーに応じ、直ぐに『準備』を整えた。
「『ダイレクトワープ』、スタートッ!」
直後、『ドラゴン』の目の前に『ゲート』が出現しその向こうに『目標ポイント』…第1惑星付近に点在している小惑星の中で、『ちょうど良いサイズ』のモノが見えた。
そして、ドラゴンはゆっくりと『ゲート』をくぐり抜け『そこ』に先んじて到着する。…さてー。
「ーっ!…そんな、どうして?」
俺はなんとなく、後ろを見る。…すると、カノンは珍しく困惑していた。
ーその理由は直ぐに分かった。だって、コクピットの中心はパックリと開かれ下から『光を放つ何か』が、リフトアップされて来ていたのだから。
「ーやあ、『エージェント・ドラゴン』」
そして、『代理人』はコクピットに現れた。…カノープスがドッキングしているにも関わらず、『代理人』はやって来た。
「カノン、『アレ』を」
「…っ。イエス・キャプテン」
カノンは直ぐに先程預けた2つの装備を持って来て俺に渡した。…そして、俺は『代理人』の前に立つ。
「…あ、すまないが『レクチャー』を頼む」
『ー……』
すると、『彼』は自らの顔の前にエアウィンドウを展開した。直後、短いムービーが流れる。…えっとー。
俺は直ぐに再現を始めた。…まず、『ドラゴシューター』を変形させ『真っ直ぐ』の状態にする。そして、銃口の部分に『紅天棍』をあてがうと銃口が『消えて』穴が出来たのでそのままバトンを押し込む。
ー…ビックリするぐらい、『ピッタリ』だな。
そして、いつの間にか後部にも穴が出現しておりバトンの先端が出てきた。…直後、『ドラゴシューター』が淡く光る。
「…まさか、こんな機構があったなんて……」
一連の流れを見守っていたカノンは、驚きを隠せなかった。…もしかしなくても、『初代』の時にはなかったんだな。
まるで、今までは『条件』が整ってなかったかのような……ー。
『ーGOU!』
そんな事を考えていると、『代理人』の傍に居た2匹の『チルドレン』が浮遊し『はみ出した部分』に巻き付いた。…なるほど、通常のより一回り小さいのはこの為か。
『ー……』
『装飾』に変化したサポーターを見ていると、『代理人』もまた急速に『変化』を始めた。
「ー…こいつは……」
「…『トレースユニット』……」
光が収まると、『代理人』の姿はなくドライバーシートも『シャワーユニット』のような形をした『トレースユニット』に変化していた。…いや、本当にビックリだ。
『ーこちら、ナイヤチ防衛軍第1攻撃部隊っ!カノープス、応答願せよっ!』
俺とカノンが心底驚く中、再度緊急の通信が入ったので俺は素早くユニットに入りカノンが応答する。
「こちら、カノープス」
『間も無く、指定のポイントに到着する。
カウントは60だっ!』
「了解しました。
カウント、60」
『頼んだぞっ!』
「「お任せを」」
俺達が揃って応えると、隊長と思わしき人は敬礼した。そして、通信が切れるとー。
『ートレースシステム、起動。
-イメージビジョン-、投影』
コクピット内に、電子的なアナウンスが流れた。
「ーっ!」
直後、俺の目の前に指定の小惑星が出現した。勿論、周辺は本当に真っ暗で微かに星々が煌めいていた。…スゲェ。本当に、宙域に居るみたいだ。
驚愕と感動に胸を踊らせていると、視界の端で『超光速ドライブ』の前兆反応を捉える。…勿論、俺が実際に捉えた訳ではなく『ドラゴンの瞳』がキャッチした反応を、『ユニット』を通して見ているだけだが。
そうこうしている内に、第1攻撃部隊所属の戦闘機が次々と到着していく。…その僅か数秒後には、『害虫』もワープアウトして来た。
やはり、『そういうのも』搭載していたようだ。
ー…っと。まずは、『移動』させないとな。
とりあえず、俺は『そこ』に向かって歩き出すと高速で『前』に進み始める。
「ーふんっ!」
そして、『俺と同じくらいのサイズ』の『害虫』の横っ腹を『ロングバトン』でおもいっきり殴った。…すると、『害虫』は勢い良く目標の小惑星までぶっ飛んだ。
そして、俺も直ぐに小惑星に向かった。
「ーっと」
到着直後、『害虫』が襲撃して来たのでバトンを前に構え防ぐ。…すると、バトンは真紅に輝き出した。
ー…おお。
次の瞬間、『害虫』のキショいフェイスは爆発する。…そして、身体のあちこちからも爆発が発生した。
恐らく、中で『オーバーヒート』が発生したからだ。…『何処まででも追い掛けられるように』するために、中のほとんどを機械にした事が逆に『ウィークポイント』になったのだ。
実に気持ちの良い、『皮肉』だ。
ーっ…。
すると、『害虫』は直ぐに『俺』から離れ…『何か』をしようとした。
「リンク、『グラビティフィールド』」
なので、『害虫』の周囲にグラビティフィールドを展開する。当然、『害虫』は身動きを止めたが…。…直後に、キショい機動でもがき始めた。
「ーよっ!」
俺は、精神を落ち着かせ跳躍する。…そして、ロングバトンを『ソレ』に向けながら落下しー。
「ー『紅天・流星衝』っ!」
そのまま真紅に輝くロングバトンを『ソレ』に突き刺した。直後、グラビティフィールド内で大爆発が発生した。
『ー……っ。マスターに報告。
エネミーの再生反応無し。排除完了です』
少しして、ハッとしたカノンが報告して来た。…ふう。
『ーキャ、キャプテン・プラトーッ!』
俺もホッと一息ついていると、ふとクローゼが慌てた様子で通信を入れて来た。
「ーどうした?」
『た、たった今、地上に展開中の遊撃部隊から通信があったのですが…。
ー地上の敵拠点の一部が、-突如爆発-したようです』
「……。…被害は?」
『…現場周辺やサポーターは無事が確認されてます。ただ……っ。
ー最新情報来ました。…ウソ……』
通信の最中、新たな情報が来たようだ。…それを見て、彼女は驚愕の表情を浮かべる。
『…中に立て籠っていた-主犯グループ-も、重装備だった為無事なようです……。…これってー』
「…『おかしな話』だな。
まあ、とりあえずー」
俺と彼女は揃って疑問を抱くが、とりあえず俺は通信を『オープンチャネル』に変更する。
「ーこちら、カノープスッ!
超巨大エネミーの、完全排除完了っ!…よって、『ミッションコンプリート』を宣言するっ!」
『っ!オオオオ~ッ!』
『スゲーッ!』
すると、様々な所から雄叫びや歓声やらが聞こえてくるのだったー。