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『当日・反転』-ナイスアシスト-

『ー間も無く、第1ターゲットに到着!』

 エリアを駆け抜ける事、数分。俺達は、最初のターゲットに迫っていた。

 …まあ、当然連中もただガクブルしながら待ってるハズもなくー。

『ーっ!?また来たっ!』

 連中は、度々こちらに『害虫』の群れを来ていたのだ。勿論、こちらも余裕で突破して来たが…。…何だか、『嫌な予感』がする。

『ーGAU!』

 そうこうしている内に、『トラ』はシールドを展開しエネミーから俺達を守ってくれた。そして、俺達は安全にエネミーの妨害を突破する。

『ーっ!ターゲット、移動を開始っ!

 エンゲージまで、残り30カウント』

『…カウントタイマー、セット』

 直後、姉はターゲットの移動を確認し妹は即座にカウントタイマーをセットする。

『ーっ!?』

 それからきっかり30カウントの後、大型バイク

 が目の前を通過した。…そいつは、ご丁寧にパワードスーツを装着してる上に背中に『マシン』的なモノを背負っていた。

『…すみません。カウントが-短かかった-みたいです』

『なに、向こうはアクセル系統を-違法チューニング-してたんだから気にする事はないよ』

 そのまま追跡を始めるなか、アイーシャは少し申し訳なさそうにした。なので、俺はしっかりとフォローする。


 ー…ちなみに、なんで敵の姿がはっきり見えたのかというと『トラ』が見た映像を見ているからだ。いや、本当に助かる。

『…もしかして、-レプリカ-搭載型?』

『だろうな。

 ーそのせいか、-チルドレン-の気が立ってるんだよな…』

『ー……』

 妹の確認に、俺はチラリと『トラ』を見る。…ソイツから確かな『不機嫌』さを感じた。

『…ああ、だから何にも言わなくても敵の姿をしっかり捉えた上に、その姿を直ぐに見せてくれたのですね』

『…全く、頼りになるコ達だー』

 俺はそう返しながら、『サポーター』をそっと撫でる。…当然、『ウマ』も『ウサギ』も『スワロー』も不機嫌になっていた。

『ー…っ!敵のスピードが更に上がった。

 このままじゃ、-拠点-に逃げらてしまう』

 そんな時、妹は敵の様子を報告した。…しかし、俺はそんなに慌てていなかった。何故ならー。

『ーお任せをっ!』

 ふと聞き覚えのある声が聞こえたかと思った直後、『カインドダック』が頭上に出現し敵に向かって『白い光』を照射した。


『ークソッ、どうなってるっ!?』

 数分後、俺達はターゲットに難なく追い付く事が出来た。…ターゲットは、ウンともスンとも言わなくなったバイクをガンガン叩いたり蹴ったりしていた。

『…こんの-クソバイク-、さっさ…っ!?

 ギャッ!?』

 そんな暴言を吐いていた敵は、即座に沈黙した。…だって、俺達が無力化する前に『トラ』達が敵を襲撃したのだから。

 ーまあ、『ライン越え』だったから当然だな。

『ーターゲット沈黙完了っ!』

 ちょっぴりスッキリしていると、再度通信が入った。…なのでー。

『ー若獅子頭殿、協力感謝する』

 俺はサポーターに礼を言った。…そう、先程ナイスなアシストをしてくれた『トリ』にはリーベルトさんが乗っていたのだ。

『いえ、お役に立てて何よりです』

『ーキャプテン。敵の拘束を完了しました。…それと、-ターゲット-ですが…』

 そうこうしている内に、ランスター達は敵を拘束していた。…そして、肝心の『ターゲット』に触れるが何か困った様子になっていた。

『…あ、もしかしてさっきのでショートしたか?』

『…いえ。…私達もそう思っていたのですが、まだ-生きてる-ようです』

 一応確認するが、姉は驚くべき事実を口にした。…ほう、『トラ』の全力のエレキショックを受けてもまだ活動しているとは。

 いや、本当に『人員』より『モノ』にミールを掛けるカンパニーだな…。…まあ、今回はその方針に助けられたな。


『…ビックリだよね』

『…全くだ。

 とりあえず、そいつは時が来るまで-厳重-に保管しておけ』

『…っ!イエス・キャプテン』

 俺のオーダーを聞いた姉は、『ウマ』に収納してあるケージを取り出した。…勿論、これには複数の『トリ』のシールドと『ドラゴン』の便利システムをインストールしてる。

『ー良し。…回収、完了です』

『サンキュー。…じゃあ、次のポイントに行こう』

『イエス・キャプテンッ!』

『私も引き続き同行補佐をー』

『ーこちら、-スピカサイド-。キャプテン・プラトー、応答して下さい』

 そして、次のポイントに行こうとした矢先『スピカ』…すなわちクルーガー女史から通信が来た。

『こちらプラトー。どうしました?』

『すみません。…まずは-こちら-をご覧下さい』

 すると、ヘルメット内に『件の装着』が表示される。…これは、非常に良い流れだ。

『これは、誘導中に遭遇した-不審者-が装備していたマシンです。…これが何か、分かりますか?』

 女史は、確実にこちらが知っていると確信した様子で聞いて来た。…まあ、多分『トリ』のサポートがあったから気付いたのだろう。


『助かりました。…実は、今私達はそれを回収しているんです。

 ーそれ上手く活用すれば、この後の-スケジュール-を大幅にショートカット出来ると思います』

『っ!…まさか、-ワープ系統-のマシンだったとは。良かった、-ブレイク-しなくて』

 こちらの解答を聞いた女史は、本当に意外そうに返して来た。…そして、かなりホッとした様子になる。

『…ああ、ソッチでも-チルドレン-が暴れたようですね?』

『…ええ。

 ーまあ、正直私兵に関しては-当然の報い-なのでスッキリしていますけど』

 一応聞いてみると、女史は非常に清々しい笑顔を浮かべた。…それに関しては、俺も同意だった。

『…っと。

 では、とりあえず-コレ-は-厳重-保管しておきますね。それと、我々-フェイス-も-指定ターゲット-の確保に協力します』

『感謝します。…ただ、少し-嫌な予感-がするので一旦-それ-を誘導先にいるクルーに渡してからでお願いします』

『…っ。了解ですわ。

 それでは、またー』

 すると、女史は真剣な表情で頷き通信を切った。

『良し。それじゃ改めて、俺達も行くぞ』

『イエス・キャプテンッ』

 そうして、俺達は改めて『ターゲット』の確保を始めるのだったー。



 ○



 ーSide『イリーガル』



 ーその空間には、非常に緊迫した空気が流れていた。…何故なら、尋常でない『苦労』をして準備した『兵器』がことごとく破壊されているのだから。

 例えば、一番のターゲットである『後援会』の面々に『脅し』を掛けている群れは巨体なシールドに阻まれ次々と破壊されていった。

 あるいは、殲滅対象である『第1遊撃部隊』はあえて群れを誘導し、エリア郊外に待機している2つの『サポーター』に纏めて破壊させていた。

 それだけならまだしも、最大の憎悪を抱く『プラトー』と『プレシャス』は厄介な現地のサポーターと共に『マーカー』の確保まで始めていた。

 …こんな状況で、焦らない方がどうかしていえるだろう。

「ー……(…『起動』までは、スムーズだったのに何だこの劣勢は。おまけに、宙域と他エリアの陽動も容易く鎮圧されて…)」

 実際、今回の『報復』の指揮を任されたサーシェス幹部は、非常に焦っていた。…これも、『カノープス』の新たな『ツバサ』のせいだと思いながら。

「ーほ、報告っ!マーカー3~5ロストッ!」

「報告っ!近隣エリアの航空戦力、当エリアに向けて進軍を開始っ!と、到着予定、残り1時間っ!」

「報告っ!防衛軍本体、ち、地上へ降下開始っ!」

 そうこうしている内に、状況は刻一刻と悪化の一途を辿っていた。


「……。

 ー現存チームに通達…。『プランC』を発動する」

『ーっ!?』

 故に、幹部は『最後の抵抗』を始める事を決めた。…その根底にあるのは、何が何でも敵に『スパイクを打ち込んでやる』という純粋な悪意だった。

 だが、当然オーダーを聞いた部下達は驚愕する。…何故なら、『そのプラン』は下手すれば自分達も危機に追い込まれる可能性があるからだ。

「…どうした?聞こえなかったか?

 とっとと『プランC』を実行しろと行っているんだっ!」

『り、了解っ!』

 そんな部下達に、幹部は怒号を飛ばす。直後、部下達は速やかに準備を始めた。

「げ、現存部隊に報告っ!

 これより、『プランC』を実行する。…速やかに、『安全エリア』まで退避せよっ!」

『ーっ!?』

 勿論、報告を聞いた残りの味方も困惑した。…だが、ある意味『場馴れ』している私兵達は直ぐに撤退行動を開始した。

「ーぷ、『プログラム』、セット完了っ!」

「『プリズン』、展開っ!」

 それと平行して、着々と『カウントダウン』していく。…そしてー。

「ーせ、『セッティング』、完了っ!」

「ー『プランC』、発動っ!」

 遂に、『最後の抵抗』の準備が整ったので幹部は怒号を発したのだったー。

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