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『当日・発生』-端末-

「…はあ、やっぱり『こうなった』か……」

 ー『コンディション・レッド』発令」

「「…っ!」」

『イエス・キャプテン』

 俺はため息を吐きながら『緊急事態宣言』を行う。すると、ランスターの2人は真剣な顔になりカノンは頷き迅速に各方面に通達を出す。

「「「ーっ!?」」」

 直後、会場のアラートが発動したので『新入り』の3人はビクッとした。

「…さて、本当に申し訳ないですが今から手伝って貰います。

 ーヒューバートは、情報チームと共に『ブレイクターゲット』の解析を。

 ミリアムは、所属道場の有志メンバーを率いて『指定ポイント』の制圧を。

 エリゼ博士には、地上基地にて『エネミー』の情報を集めて頂きたい」

「っ!お任せを」

「イエス・キャプテンッ!」

「…は、はいっ!」

 俺は申し訳なくなりながら迅速にオーダーを出すと、3人は直ぐに切り替えしっかりと頷いた。

『それでは、私はこれにて。

 ーマスター、そして皆様。武運をお祈りしております』

「ああ」

「…っ。は、はいっ!」

『はいっ!』

 すると、カノンは通信終了間際に俺達にエールを送ってくれたので俺達は力強く頷いたー。


 ーそれから、俺達は慌ただしいスタッフエリアを通り抜け地下パーキングに向かう。…そこには既に、『ビッグ』と『ミドル』が1台、『リトル』が2台あった。

「ーこれが……」

「…『ウマ』達ですか……」

「ーっ!お疲れ様です、エージェント・プラトーッ!」

『ファン』2人が感動する中、『ビッグレッグ』からレナート班長補佐が近いて来た。

「お疲れ様です、レナート大尉。

 ーヒューバート。お前は『ビッグ』に乗ってくれ」

「ーっ!す、すみませんっ!」

 俺は大尉と手短に挨拶を交わし、未だ『ウマ』達の前で感動している『情報担当』を呼んだ。…直後、彼はハッとし慌ててこちらを向いた。

「…なるほど。この方が『例の人物』ですが」

「ええ。…まあ、このように『大ファン』なので全力で役立ってくれるでしょう」

「…そうでなくては困ります。

 ーでは、自己紹介は後にして早速『任務』を始めましょう。…ああ、そういえば『貴方の端末』はー」

 大尉は、そんな彼をじっと見つめる。…とりあえず、一応フォローをしておいた。すると、大尉は静かにそう返して彼に告げる。

 その際、彼の『特殊な端末』の事を聞くがー。


「ーああ、いつ『コト』が起きても良いように『運んで』来てますよ。

 今、『呼びます』ね」

「…はい?」

『……』

 彼はさも当たり前な様子で、『ビックリ発言』をした。…そして、更に驚く事が発生する。

「ーっ!」

 不意に近くからモーター音が聞こえ、1台の小型キャンピングカーがやって来たのだ。

「ー紹介しましょう。これは、私の『愛車』…『カシオペア』です」

 やがて、『カシオペア』は『オーナー』の横で止まった。

「…っ!まさか、『フルオートパイロット』…」

『ーっ!?』

 すると、アイーシャは的確な予想を口にした。…当然、他のメンバーも驚いた。

「ーいや、なかなか『面白いモノ』を持っているな」

「…もしかして、『アレ』が反応していたの?」

「いや、ただの『カン』だ」

 しかし、俺はあんまり驚いてはいなかった。…何故なら、『コンパス』を見るまでもなくカノープスと『同じ』だと分かっていたからだ。


「…『アレ』?」

「……?」

「…まあ、その辺りは『後始末』が終わってからゆっくり話すとしよう。

 ーじゃあ、『カシオペア』を『ビッグ』に乗っけてくれ」

「了解ですー」

 彼は頷くと、小型端末を操作した。…すると、『カシオペア』はオートで動き出し『ビッグ』の後ろに回り乗り込んだ。

「それじゃあ、ミリアムとエリゼ博士は『ミドル』に」

「…っ!分かりました」

「は、はい」

 未だ疑問を抱いている2人にオーダーを出すと、2人は直ぐに切り替えて速やかに『ミドル』に乗車した。

「それでは、私も失礼します」

「ええ。…頼みましたよ」

「お任せをー」

 そして、ヒューバートが『ビッグ』に乗り込んだのを確認した大尉もそれに乗り込む。…俺は出発の直前、改めて『オーダー』を出した。

 すると、大尉は自信に満ちた顔で敬礼した。

『ービッグレッグ発車シマス』

 直後、ドアは閉まり俺は『ビッグ』から距離を取る。それを感知した『ビッグ』はアナウンスを流した後ゆっくりと駐車スペースから発車した。

 ーそして、『ミドル』も発車したので俺達3人も『リトル』で地下パーキングを後にした。


『ー…あ、もう避難は始まってるみたいですね』

 地上に出ると、会場前では民間人の避難誘導が行われていた。…それを見て、ある事に気付く。

『…それにしては、何か落ち着いてる?』

 すると、イアンも同じ事に気付いたようだ。

 …そう、アラートが鳴り響く非常事態にも関わらず大人達はとても落ち着いて地上警備部隊の誘導に従っていたのだ。

 まあ、勿論子供達は本当に不安そうにしていたがそれでもきちんと保護者の言う事を聞いていた。

『…もしかして、ナイヤチの方って冷静な人が多いのでは?』

『…そういえば、カーファイ老師が言っていたな。

 ーあの忌まわしい事件の後から、国を上げて-次-に備え始めた…と。

 例えば、政府から-非常事は地元当局の指示に従って冷静に行動する事-を発表したり、避難訓練も地方自治体単位で定期的に行われるようになったとか。

 …その理由は、-前回-民間人がパニックを起こした事でかなり-ギリギリ-の戦いを強いられたからだろう』

『……え?』

『…あれ、お姉様から-聞いた-のと随分違う?』

 俺の言葉に、2人は呆気にとられる。


 ー実は『プレシャス』における『ナイヤチパート』はかなり『アレンジ』が入っている。…具体的には、アーツ道場が昔っから抱えていた『トラブル』と一番手に汗握る『防衛パート』の部分だ。


『ー…え、-フィクション-混じりって事ですか?』

『…マジですか……』

 その事を話すと、2人は心底驚いたようだ。…まあ、俺も知った時は愕然とした。

『…確か、-此処-の防衛パートは……。

 ー深夜に発生したので住民は気付く事はなかった。…と、ありましたが……』

『カノンのログでは、ちょうど-ディナータイム-に発生したようだな。

 …-当時-を知る老師達によれば、非常警報を聞いた住民達はまるで山に住まうアニマルのようだったそうだ。しかも、地元当局の避難誘導にも従わず右往左往しあわや-大惨事-になる所だった…との事だ』

『………』

『…そりゃ、国を上げて-備える-よね……』

 アイーシャは言葉が出ず、イアンは何とか納得の言葉を絞り出した。

『……っ。…本当、良く-犠牲ゼロ-で乗り越えられましたね』

 そして、少ししてアイーシャもコメントをした。

『…いや、ホントそれな。

 もしかしたら、-ナイヤチパート-は…いや-プレシャス-自体世に出る事はなかっただろう』

『…確かに、絶対に発売許可は出ないでしょうね』

『……。…やっぱり、サポーターとドラゴンが居たからなんとかなったのかな?』

『…-そこ-変わってないんですよね?』

『ああ。

 ー…っと』

 2人の確認に頷いていると、地上警備部隊基地が見えて来た。…案の定、基地周辺は非常に慌ただしかった。


『ーッ!そこのバイク、止まって下さいっ!』

『…えと……』

『とりあえず、指示に従おう』

『…了解』

 すると、こちらに気付いた隊員が拡声器で制止を呼び掛けた。なので、一旦ゲート前で止まる。

「ーお忙しいところ、失礼します」

「ーっ!?エ、エージェント・プラトーッ!?し、失礼しましたっ!」

 そして、ヘルメットを外して敬礼する。…当然、隊員は驚愕し即座に謝って来た。

「いえ、お気になさらず。…あ、ちなみに後ろの2人は『私のクルー』ですので」

「…っ!

 ハッ!了解でありますっ!どうぞ、お通り下さいっ!」

 彼は後ろの2人を見た後、直ぐに切り替えて敬礼し入る許可を出した。

「ありがとうございます。

 ー良し、行こう」

 そして、俺は2人を引き連れて基地内に入って行ったー。

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