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Seven Mystery⑦-最高のチーム-

 ーSide『ライト』



『ーっ!?クソッ…』

『…っ!?マジか…』

 右ルートを進むメンバーは、今まさに『壁』に直面していた。勿論、『それ』はただの壁ではなく鋼鉄の巨躯だった。

 そして、『それ』は身体から伸びる無数のマジックアームでメンバーを次々と拘束し天井からぶら下がる『ケージ』に閉じ込めた。

(…くそ、これで残るは俺を含めて8人。『あっち』はまだか!?)

 段々と追い込まれていく状況に、ジャスティンの焦りは募らせながら反対側に居るメンバーを見る。

『ー…っ。…良し、-2段目-終了っ!」

『-3段目-お願いしますっ!』

 その内の2人…イアンとルイゼは、フロートしながらタイル張りのような壁を上から次々『タッチ』していた。

 当然、ただ闇雲にスイッチを押している訳でもなくきちんと『正解』しか押していない。

「ー次は、右は1、5、9、12、14っ!

 左は3、7、9、13、18っ!…っ!」

 その2人に、アイーシャは的確なオーダーを出していた。…何故なら、彼女が『最適任』だからである。

 それは、単に『プレシャス』のファンだからという話しではない。

「ーっ。ナイスシュートッ!(…それにしても、恐るべし『ファン』だねー……。)」

「どうもっ!」

 何せ彼女は、敵のマジックアームをショックガンで的確に撃ち抜きながらオーダーを出しているのだ。

 …つまり、完璧に『答えを暗記』しているという事だ。

 彼女の左サイドでマジックアームを捌いていたホムラは、称賛の裏側でその『愛情』に若干引いていた。


「ーっ!『シールド』、展開しますっ!」

 そして、『3列目』の入力が終わり『4列目』に入る時…『ゲートキーパ』は残りのメンバーに差し向けていたマジックアームを一旦引っ込めた。

 ーそれを見たニールは、予め床にばら蒔いておいた『シールド』発生装置をリモートで起動した。

「ー…っ!大丈夫だと分かっていても、ビックリしますね……」

 直後、極太のポールのような形状の『ゲートキーパ』は上段から複数のショックビームを放って来た。だが、それらは全てシールドによって防がれた。

 それを見て、アンリは冷や汗を流しながらコメントする。

「…ホント、『あの人』は良く1人でこれを何とか出来たよね……」

 そしてリーサは、『初代プラトー』に畏怖を感じていた。…つまり、この状況もまた『プレシャス』のワンシーンに類似しているという事

 だ。

「ーああ、ちなみに『オリジナル』では『ギミック解除』と『バトル』は別々のシーンとして描かれていますよっ!…どうやら『管理者』によって『ミックス』されたようですねっ!」

 すると、『5段目』のオーダーを終えたアイーシャはすかさず『知識』と私見を口にした。

「…でしょうね」

「いくら『彼』が、『ハチャメチャ』な実力と『サポーター』を持っていたとしても流石…っ!?」

 その言葉の途中、リーサはゲートキーパを見てぎょっとした。…何故ならー。


「ーっ!?嘘っ!『ファイナルパート』に飛んだっ!?」

 直後、ゲートキーパが『短くなって』いるのを

 見たアイーシャも驚愕する。…その姿は本来、ゲートキーパが『追い込まれた』際に見せる『最終形態』なのだ。

「…っ!…まさか、『ギミック解除』が半分越えたからかっ!?」

「可能性大ですっ!

 ーニールさん、直ぐにシールドを解除して下さいっ!」

「…っ。了解ですっ!」

 アイーシャのオーダーにニールは一瞬躊躇うが、彼女を信じシールドを解除する。

『…っ!?』

「…なっ……」

「…嘘だろっ!?」

『…ふぇっ!?』

『ね、姉さんっ!?』

「…っ!?ちょ、大丈夫なのっ!?」

「説明プリーズッ!?」

 当然、地上のメンバーは勿論ケージの中に囚われたメンバーでさえも驚愕する。

「イアンとルイゼは、『作業』を続けてっ!

 …それに、『大丈夫』ですよっ!…むしろ、『シールド』を展開している方が『危ない』んですっ!」

「…は?」

「…どういう……っ」

 彼女の言葉に、メンバーは首を傾げる。…だが、そうこうしている内にゲートキーパは完全に『形態変化』を終え『1段』の状態になった。

「…『短く』なったとはいえ、それでもかなり大きいですね……」

「…小型の偵察船くらいはあるな……。…っ!」

 メンバーは、尚も存在感を放つゲートキーパをじっと見ていた。すると、『それ』はゆっくりとフロートする。…そして、その場でクルクルと横回転を始めた。

「…あれは、何をしてるんだ?」

 ジャスティンは、『6段目』の指示が終わったのを確認し彼女に質問する。

「『シールド』を探しているんですよ…。…そして、見つけた瞬間『破壊行動』に入ります」

「「…っ!」」

『『…マジですか?』』

「「…それでか……」」

「…なるほど。つまり、逆に言えば『それ』さえなければ『一応安全』という事ですか?」

 アイーシャの語る理由に、メンバーは驚きつつも納得した。すると、慎重派のニールが念のため確認をする。


「ええ。…ですが、あくまでも『一応』です。

 ー破壊行動に入らなくとも、『あの形態』自体相当に厄介です。…っ!」

 肯定はするが、その『強さ』を良く知る彼女は注意を促した。…そして、ちょうどその時ゲートキーパーは『検知』を止めた。

「…皆さん、いつでも動けるように。

 ーそれと、後ろの2人はここから『最優先ターゲット』になると思うので今まで以上にヘイト管理に気を付けて下さい」

『『っ!?』』

『分かったっ!』

 彼女が忠告した直後、ゲートキーパーは更に浮遊し真っ先に『ギミック解除』担当の2人の元に向かった。

「ー行かせるかっ!」

「その『性質』、利用させてもらいましょうっ!」

 すると、ジャスティンとニールはゲートキーパを挟み撃ちにするように取り囲んだ。そして、ニールは言葉の通り『シールド』を自分の下に発動させる。

『ーシールド検知、デストロイ開始』

 次の瞬間、ゲートキーパーは警告音を発し行動の切り替えを宣言した。

「…っ!あれは、『エネルギーネイル』っ!?」

「マジか…」

 ゲートキーパーは、下部から大量のマジックアームを出したのだが……先程までとは違い全ての指先に鋭利な『エネルギーネイル』が展開していた。

 ーそして、それらは全てシールドに向かって伸びて行く。

「(…だが、これで注意は…いや、待て。)。…せいっ!」

 ニールは油断せず、更に3つのシールド装置を味方の居ない3方向に思い切り投げリモートで起動する。

 ー直後、最初のシールドはあっさりと破壊された。

『ーシールド再検知、デストロイ続行』

 だが、シールドがまた発生した事でゲートキーパーはその場に留まり続け…彼の懸念通り、側面と上面からもマジックアームを出した。

「…ナイス判断っ!それじゃー」

『ー…良しっ!-7段目-完了っ!』

『-ラスト-、お願いしますっ!』

 そして、ジャスティンはそのタイミングでゲートキーパーに攻撃を仕掛けた。…一方、ギミック解除担当の方はいよいよ最後の段に突入した。


「最後は、多いよっ!

 ー右が、1、3、5、7、9、11、13、17、19、23っ!

 左が…っ!」

 オーダーの最中、彼女はゲートキーパーが床に落ちるのを確認し……『その場所』から全速力で待避する。

『ーっ!?アイーシャさんっ!どうしましたっ!?』

「大丈夫っ!

 ーアンリさんっ!ホムラさんっ!リーサさんっ!『5カウント』後に、私の居た場所に一斉攻撃をっ!」

「「「…っ!了解っ!」」」

 3人は戸惑うが、彼女を信じて行動を開始する。

「ーカウント5ッ!」

 5、4、3、2、1、アタックッ!」

 そして、ホムラのカウントの後3人は『そこ』に向かって攻撃を放った。

 ー直後、『そこ』から巨体なエネルギー体が飛び出したが3人の攻撃によりそれは破壊される。

「…『エネルギードリル』まで……」

『それ』は、エネルギーネイルと同じくドリルのフォルムをした『エネルギー体』だったのだ。

「…そうか。床に落ちたのを利用して、『下』からあれで堀りすすんだのか……」

「…いや、どんなプログラムをインストールせれてるのよ……」

「ー大丈夫かっ!?」

「ええっ!」

 3人は、ゲートキーパーの性能に驚愕する。…そんな中、ジャスティンとニールは駆け付け無事を確認する。

 勿論、アイーシャは笑顔で応えた。

「…すみません。まさか、『落下後』の対応があそこまで迅速だとは……」

「…てか、教えてくれよ……」

 ニールは申し訳なさそうにしているが、ジャスティンは文句を言った。


「…実は、『空中に居られる』たら『手が付けられなく』なっていたので結果オーライなんですよ。

 だから、あえて言いませんでした。すみません」

「…っ!」

「…はあ。まあ、それならしょうがないな」

『ー危険判定。リミットブレイク』

『ーっ!?』

 そんなやり取りをしていると、ゲートキーパーは先程とは違う警告音を出し床に突き刺していたアームを切り離した。…そして、下部から獣のような4つの足パーツを出した。

『ー皆さん、-落下-に備えて下さいっ!』

『ーそして、全速力で-ゴール-にっ!』

 そして、ほぼ同じタイミングでルイゼとイアンが全体通信でメッセージを送った。

『ーっ!うわっ!』

 直後、メンバーを捕らえていたケージと行く手を塞ぐ『壁』も消えていた。…要するに、2人は『それぞれ1つずつ』解除していたのだ。

『ー捕虜解放確認。アサルト』

 次々と床に着地し、奥に逃げるメンバーを見たゲートキーパーはブースターを展開した。

「ーっ!逃がさない気かっ!」

「大丈夫ですっ!

 ー『男性方』は、『エネルギードリル』に集まって下さいっ!そしてー」

『ーっ!?…応っ!』

「「了解っ!」」

 焦るジャスティンに、アイーシャは自信満々に告げる。…勿論、彼らはその言葉を信じてそこに向かい『オーダー』を遂行し始める。

 ー直後、ゲートキーパーは高速で駆け出す。

『ー来たぞっ!』

『引けぇぇぇぇぇぇーーーーっ!』

『おりゃあああーーーっ!』

 それに合わせて、男性メンバーはスクラップになった『ドリル』を左右から渾身の力で引っぱる。…すると、ゲートキーパーは勢いを殺されー。

『ーしゃあっ!』

『今だっ!』

 勢い良く、『反対側』に吹き飛ばされた。これは、アーム自体に弾性の性質があるからだ。

 そして、その隙にメンバー全員が安全に『ゴール』に入るのだったー。

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