「ーようこそ、-証-を求めし方々。それでは、『ご案内』致します」
『……っ』
博物館の中に入ると、やや古いタイプのガイドアンドロイドが俺達を出迎えた。流石、『アンドロイドの歴史』を識る場所なだけはある。
そして、ガイドは歩き出したのでその後に続いた。
だが、直ぐに『行き止まり』が見えて来た。
『-管理者確認-。一般進入禁止エリアノ封鎖ヲ一時解除シマス。
ゲートオープン、ゴ注意下サイ」
すると、天井からアナウンスが流れデカいエレベータードアが突如出現しゆっくりと開いていった。…どうやら、『偽装』が展開していたようだ。
「どうぞ、お乗り下さい」
『……』
ガイドの言葉に、メンバーは硬い表情のままエレベーターに乗り込んだ。
「ーそれでは、下に参ります」
そして、全員が乗り込んだ事を確認しガイドはエレベーターの操作を開始した。…なんか、ウチの『クルー』を見ているようだな。
そんな事を考えながら、『試練のフロア』に到着するのを待った。
「ー到着致しました。それでは、『目の前』のドアにお進み下さい」
それから少しして、エレベーターはゆっくりと止まる。…そして、ドアが開くとガイドの言うように目と鼻の先に『いかにもな古いデザインのドア』があった。
「ー楽しみだな」
『……っ』
メンバー…特に同年代の奴らはベテランが躊躇いなく堂々と降りていくなか少し気後れしていた。しかし、俺が『ワクワク』しながら降りるのを見て意を決して降りた。
「ー…っと」
そして、俺はドアの中に入る。…直後、『予想』していた通り俺は『飛ばされた』。
『ーチャレンジャー、オリバー=ブライト確認。
-コピードール-起動』
そこは、プレーンなフロアではなくポターランで見たような今風の巨体『コロシアム』だった。…当然だが、ギャラリーは居ない。
ーそうこうしているうちに、アナウンス通り床からアンドロイドが姿を現した。…まあ、『バトルタイプ』だよな。
『ターゲットスーツ、装着』
すると、ガードスーツの上に胸部プロテクターが転送されオート装着された。それには、セサアシス基地で見たような『ターゲット』がセットされていた。…ホント、『配慮』上手だよな。
俺は心底関心しながらロングバトンを取り、メタリックシルバーのボディのアンドロイドに先端を向ける。
『ーロングバトン、セット』
すると、向こうもロングバトンを構えた。…『ミラーコロシアム』とは良く言ったもんだよな。
『両者、スタンバイ確認。
ーバトル、スタートッ!』
直後、開始のブザーが鳴ったので俺と相手は瞬時に互いに向かって駆け出したー。
◯
ーSide『ヤング』
「ーせいっ!」
アンドロイドの距離が近付き、『リーチ』に入った瞬間。ホムラは、細長い長方形のソード型武装…『スタンキャリバー』を横に振るう。
しかし、彼女の攻撃は相手のスタンキャリバーで防がれてしまう。
「…(こっちは両手だってのに、相手は片手でっ…。コイツホントに、私のコピーなの…)…っ!」
勿論、彼女は事前のミーティングで今回の『試練』の内容は聞いてはいたが、実際に相対してみて到底信じられなかった。…そして、だんだん押され始めたので彼女は『ショックスタンプ』を仕込んだセーフティーブーツで蹴りを入れて牽制する。
すると、相手はすかさず離れた。
(…いや、やっぱりお姉様と『ボス』の情報に間違いはないみたいだね。
ー『ショック系の攻撃に弱い』のは、間違いない。ただ、問題はー)
相手の挙動をしっかりと見ながら、彼女は攻略を考える。すると、相手はまるでそれを妨害するかのように再度こちらに向かって来た。
(…っ)
しかし、彼女はその場から動かず待ち構えー。
(ーっ。此処っ)
そして、相手は走りながら武器を構え横に振るうがその瞬間を見計らった彼女は瞬時に身を屈め、素早くメタリックシルバーの足目掛けてスタンキャリバーを振るった。
(ーっ!?嘘っ…)
しかし、『それを予想していた』相手はヒット直前でジャンプしそのまま武器を振り下ろした。
「っ!(…そう簡単にはいかないか。…というか、『バトルスタイル』が完璧にコピーされてるから当然かな…。…どうする?)」
彼女もまた寸前で回避し、素早く立ち上がって相手を見る。…勿論、頭を回転させる事はやめない。
すると、相手は『攻めの挙動』を始めた。
(…とりあえず、動こう)
身を引くした相手を見て、彼女は動き始めるがー。
(ー……え?…っ!)
次の瞬間、相手はさっきよりも速く彼女に接近していた。だから、彼女は咄嗟に逆走をする。
「っ!(あ、危な…。…っ!)」
数秒後、相手のスタンキャリバーは彼女のガードスーツを掠める。その時、彼女は咄嗟に足を振り上げる。
『ーヒット確認』
直後、相手は僅かに浮き上がりつつボイスを流す。…その反撃が、見事相手の腹部にヒットしたからだ。
だが、相手はその場からアクロバティックな動きで離れた。
(…なんか、大して効いてないように見えるんですけど……)
相手のボディの『ガード性能』の高さに、彼女は冷や汗を流す。…そして、距離を取った相手はー。
『ーギアアップ』
「っ!?(避けらないっ!)」
そう言った直後、相手は先程よりも早く彼女に迫った。その速さに、彼女は回避を諦めガードを固めるがー。
「ー…っ」
相手は直前で足を止め『両手』でスタンキャリバーを振り上げ、容易く彼女から武器を奪った。…そして、すかさず彼女の『ターゲット』を軽く突いた。
「……あ」
『ゲームセット』
その瞬間、彼女の敗北が確定してしまったー。
◯
「ーせいやっ!」
その頃、別のフロアで戦っていたジャスティンはスタンハルバードを振り下ろし相手の攻撃を防ぐ。
「っ!(なんつーパワーだ…。…本人にコイツ、『俺』のコピーなのか…。正直、『兄貴』並みだぞ…)」
直後、互いのスタンハルバードはぶつかり合い数度目の押し合いが始まる。…正直彼は、『ボス』の言葉を疑っていた。
ー明らかに、相手が『自分以上の実力』を持っているからだ。…そして、ふと彼は歳の離れた兄を思い出した。
「…っ(…蹴りは『判定』だけあって効いてるようにも見えないし、マジでジリ貧だ……)」
先程から何回か蹴りを叩き込んでいるが、相手の攻撃やアクションは衰える事はなくむしろその度に『強化』されていっているので、このままではいずれ追い込まれるだろう。
「っ!」
冷や汗を流していると、相手は力を抜いた。だから、彼はすかさず離れる。
直後、強烈な攻撃が身体を掠めた。
(…危な……っ!)
しかし、すかさず相手は距離を詰め胸のターゲットを狙って来たので咄嗟に彼はハルバードの切っ先を向けた。
「っ(…攻撃を止めた?)」
すると、相手は急ブレーキを掛けてバックステップで距離を取った。…まるで、『何かを避ける』ように。
(……まさか、『そう言う事』なのか?)
その行動の『真意』を直感的に悟った彼は、相手の『胸部』…自分の『ターゲット』がある位置を見る。
『ーギア-ダブル-アップ』
その瞬間、相手は突如『2段階強化』を宣言した。
「ーっ!?」
そして、相手は視界から消える。…しかし、彼は直感でその場から離れた。
(…マジかよ……)
直後、相手は上から落下して床にスタンキャリバーを振り下ろしていた。…その威力は、床に亀裂を入れる程だ。
(…っ!また…)
引いている内に、また相手は消える。…なので、彼は耳に意識を集中させる。
「ーふんっ!」
数秒後、彼は瞬時に右を向き武器を構えた。…すると次の瞬間、攻撃が来たので渾身の力でガードする。
(…っ。…重い…っ)
攻撃自体はなんとか防げたが、インパクトは殺しきれず僅かに後ろに押される。…すると、相手はそれをチャンスと捉え高速で2度目の攻撃を放つ。
「っ!?……がっ」
彼は再び渾身の力でガードしようするが、直前で相手は一瞬攻撃を止め…ガードの空いている横からの攻撃を放った。
ー彼はなんとか反応するが、咄嗟だったのでしっかりと構えられずそのまま横にぶっ飛んだ。
「ーっ!」
数秒間空中を飛んだ彼は、壁にぶつかる…事はなく武器を床に擦り付けなんとかスピードを緩め床に落ちる。そして、素早く立ち上がり武器を構えー。
「ーっ!?(…くそっ……)」
身構える直前、相手はその武器を振い彼の武器を奪った。…おそらく、『先回り』をしたのだ。
「…っ」
『ゲームセット』
そして、『ターゲット』はその切っ先によって『撃破』されてしまったのだったー。