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トゥルーチェイサー

 ーSide『ガーディアン』



 ー夏の足音が聞こえて始めたブルタウオ第3惑星『セサアシス』。その治安と安全を守る地上警備警備隊基地に一本の通信が入った。…その知らせは、早朝にも関わらず直ぐに基地の責任者たる『カール=レーグニッツ』に伝わった。

(ーやれやれ、『サーシェス』の件が一段落したと思ったらまた『トラブル』か…)

 彼は久しぶりの非番だったが、『本部』からの召集なので…内心うんざりしながら早朝の市街地を自家用車で駆けていた。

「ーおはようございます、少佐。車は、私が駐車しておきますので通信ルームへ」

「おはよう、大尉。頼んだ」

 数10分後。彼が基地に到着すると、この基地の『No.2』である男性軍人が正面口から駆け寄って来て車の移動を申し出て来た。

 なので、彼は車を任せ急ぎ足で基地に入り通信ルームに向かう。

「ーおはようございます、レーグニッツ少佐。『セッティング』、既に完了しております」

 そして、目的の部屋…通信器が『1つ』しかない『隊長専用通信ルーム』に入ると専任通信官が彼に報告する。

「ありがとう」

「はっ!それでは、自分はこれで失礼します」

 その通信官も、そのルームを出て行った。…つまり、これから『秘匿性』が高い通信をするのだ。

「ー……。…っ!」

『おはよう、レーグニッツ少佐』

 彼は直ぐに通信器に近付き、立ったまま通信を始める。…すると直ぐに、此処ブルタウオ星系の平和を守る星系防衛軍本部大佐のログナーがエアウィンドウに映し出された。

「はっ!おはようございます、ログナー大佐!」

 彼は上官の挨拶に、ビシッと敬礼をしながら挨拶を返す。

『すまないな、今日は非番だというのに。…だが、-帝国政府-からの通達なので申し訳ないが召集を駆けさせて貰った』

「お心遣い感謝致します!ですが、妻と両親は昨日から『私用』で出掛けて居るので問題はありません!」

 ログナーは少し申し訳なさそうに召集の理由を説明した。そんな上官の気遣いに感謝しつつ、彼は『大丈夫』だと返した。


『…そうか。

 ーでは、本題に入るとしよう。長くなるので、少佐も掛けたまえ』

「はっ!失礼します!」

 それを聞いたログナーは気持ちと表情を切り替え、先に自分が椅子に座ってから彼に座るよう促した。

『実はな……ー』

 そして、ログナーは帝国政府からの『通達』を彼に話した。…その内容を聞いた彼の表情は、みるみる『驚愕』に染まっていく。

「ー……なんと。『そのような者』が……」

 話しを聞き終えた彼は、そう言うしか出来なかった。それほどまでに、内容が衝撃だったからだ。

『…そして、帝国政府からの通達はもう1つある。

 ー少佐、君にはエージェント・プラトーにこの事を伝えて欲しいのだ』

「っ!自分が…でありますか?」

『…困惑するのも無理はない。勿論、政府は-君とエージェント・プラトーの関係-というだけで指名はしていない』

 彼は突然の事に驚いた。すると、ログナーは『理由』を説明し始めた。

『現在エージェント・プラトーは、イデーヴェスにて-手掛かり-の回収に挑戦している。…つまり、彼の同行補佐をしている-第1独立遊撃部隊-もそこに居るという事だ』

「…っ!…なるほど。我が隊のアルスター少尉に『連絡を取るついで』に、彼に伝えれば良いのですね?」

『理解が早くて助かる。…頼めるか?』

「イエス・マイロード!」

 ログナーの最終確認に、彼はまたビシッとした敬礼で応えるのだったー。



 ○



 ー…っ。…はあ、今日も雨か。

『6つ目の試練』の翌日。拠点で身支度をしていると、『レインコール』が部屋の中に流れた。…で、なんでそんな日にも関わらず外出の準備をしているのかと言うと、今日は地上に居る『サポーター達』のメンテナンスデー&『ご褒美デー』の日なのだ。

 ー…良し。そろそろかな。

 そうこうしている内に、『約束の時間』の10分前となったので拠点としている部屋を出て地下駐車場に向かう。

「ーおはようございます、キャプテン・プラトー」

「おはようございます、少尉」

 そして、エレベーターを出ると既にウェンディー少尉が待っていて俺を見るなり頭を下げた。

「おはようございます、少尉(…なんか、いつの間にか『専属ドライバー』みたいなポジションだよな。本人は、気にしてないどころか笑顔で引き受けてくれてるが…早めに改善しないとな)」

 挨拶を返しつつ、『専属ドライバー』の早期スカウトを心に誓う。

 そして、それから凡そ30分後。地上基地の地下駐車場に入ったのを見計らい『変装』をした。

「ーありがとうございました、少尉」

「いえ」

 少尉にお礼を言って、俺は車を降り『格納庫』に向かう。

「ーあ、来た」

「「「おはようございます」」」

 そして、そこに入るとティータとランスター姉妹とフェンリーさんが出迎えてくれた。…その後ろには、『4タイプのサポーター達』がこちらを見ていた。

「皆もおはよう。…じゃあ、まずは『メンテナンス』からだ」

『UKY!』

『BHI!』

『MEE!』

 俺の言葉に、3つの『サポーター』…『クリエイティブハンド』、『メンテナンスウォーカー』、成人男性並みの体躯の『ヒツジ』達は叫び一般的な『ラビット』より一回り大きな『ウサギ』達は一斉に跳び跳ねた。


 ー『ヒツジ』の群れは、カノープスのアイテムやガード素材の原料を生み出す『EJ-08:ユニークヘアー』。そして、『ウサギ』の群れは『フリーダムスーツ』の『ウェイトモード』だ。…普段は野生のラビットより一回り大きいメカニカルなデザインの『ウサギ』だが、『作戦中』は『スーツ』になるんだから不思議だよな。『中身』とかどうなんだろう?


「ちゃんと診て貰うんだぞ~っ!…じゃあ、頼んだ」

「「「はいっ!」」」

 後の事を整備士チームに任せ、隅のベンチに座るフェンリーさんの元に向かう。

「隣良いですか?」

「…は、はい」

 許可を求めると、彼女はやや緊張気味に了承してくれた。…最初に比べると、大分『慣れた』ようだ。

「ありがとうございます。本来なら、今日はお休みの日にするつもりだったのにわざわざ『ご褒美デー』に参加して頂いて」

「…い、いえ。

 なんとなく、『日頃のお礼』は私が直接した方が『あのコ』…『クリエイティブハンド』が喜んでくれると思ったので…」

「重ね重ね、ありがとうございます。

 ー間違いなく、『あのコ』は喜ぶでしょう(彼女を『サル』のパイロットにしたのは大正解だな。まさか、もうここまでの『愛着』を持ってくれるとは……)」

「ーはい、『開けて』っ!」

『UKY!』

 心からの感謝を述べていると、整備士チームはまず『サル』のメンテナンスから始めた。…彼女達も短い期間で随分と『メンテナンスウォーカー』と『友好』を深めているな。勿論、当人達同士も。

「(いや、実に良い傾向だ。…これなら、『残る2人』もー)……っ」

 これからの事を考えていると、エージェント用のデバイスがバイブする。…相手は、さっき別れたばかりの少尉だった。

「ちょっと失礼。

 ー……はい、こちらプラトー」

 なんとなく『察した』俺は、断りを入れて立ち上がりベンチから少し離れてから通信に出た。

『こちら、アルスターであります。…エージェント・プラトー、今宜しいですか?』

 エアウィンドウに映る少尉の顔は、少し緊張しているようだった。…多分、『アタリ』だろう。

「ええ、問題ありません。

 ーとりあえず、『個室通信ルーム』に向かえば宜しいですか?」


『ーっ!?…はい、-原隊の上官-が-お伝えしたい事があるようです』

「ありがとうございます。『少佐殿』には、直ぐに行くとお伝え下さい」

『はいっ!それでは、失礼致しますっ!』

 彼女は敬礼をした後、通信を切る。そして俺は、フェンリーさんに席を外す旨を伝え個室通信ルームに向かった。

『ー久しぶりですね、エージェント・プラトー』

 個室通信ルームに着くと、情報班のウォン少尉が居て椅子を指し示した。なので、礼を言ってから通信を始める。…すると、直ぐにレーグニッツ少佐の顔がエアウィンドウに表示された。

「ええ。お久しぶりです、レーグニッツ少佐。

 ーでは、『帝国政府』からの通達を教えて頂けますか?」

『……相変わらず、-先-を読んでいるのですね。

 …それでは、謹んでお伝えします。

 ー現在、-オメガデータベース-内の-信憑性の低い情報-を纏めたコーナー…通称噂コーナーと呼ばれるサイトに記載されてる、-キャプテン・プラトーに関する噂-は-何者-かが実際現場に居た民間人に聞き込みをした上でアップされている事が判明した。

 …との事です』

「…やはり、そうでしたか」

 その報告に、俺は思わず深いため息を吐いてしまった。

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