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Seven Mystery⑤-対決-

「ーっ!また消えた…」

 俺達の前に居た巨大かつ金色の『トラ』のようなクリーチャー…『ゲートキーパー』は右肩から生える『金のドラゴンの頭』のエフェクトをまた使い、姿を消した。…どうする?

 奇襲を防ぐ為背中合わせになっている俺達は、周囲を警戒する。そんな防戦一方の状況に、俺は頭を回転させる。

「…ホント、厄介ですね……。…攻撃しようにも、直ぐに『アレ』で消えられてしまう」

「…攻撃をガードしようにも、左肩の『金のトリ』のエフェクトでガードを『飛び越え』て来ますし……」

「……回避しようとしたら、胸の『金のウシ』で『行動制限』が掛けられるし」

「…デバフを入れようにも、シッポの『金のヘビ』がハッキングして強制停止して来ますせ」

 …そう。俺達が相手にしているのはまるで『5隻の大型サポーター』が一体化したような『ゲートキーパー』なのだ。…勿論、『それぞれの弱点』は把握しているが『1つ』になると難攻不落になるのだ。

「ーっ!『上から』来ますっ!」

 打開策をなんとかひねり出そうとしていると、『データ・マグネットバトン』が振動する。…どういう訳か俺達のチームにはこの最終関門前の『アイテムボックス』が2つ出て来たのだ。1つは、多分他チームも手にしているであろう『回復セット』。そして、もう1つは『いつもの3つの特殊ガン』が人数分入っていた。…まあ、実際こうやってなんとか猛攻を凌げているのでありがたいが逆に考えれば『戦術が筒抜け』だという事だ。

『GUOoOOOoーーーー!』

「散解っ!」

 そうこうしている内に、真上から咆哮が聞こえて来た。すると女史は、直ぐにオーダーを出す。

「「「了解っ!」」」

 俺達は返事をしつつ、3方向に分散する。直後、巨大なゲートキーパーが轟音を上げて床に降り立った。…さて、また『回避』の時間だな。


『BMOー!』

「『フロート・リスタート』ッ!」

 すると、予想通りゲートキーパーは『ウシ』の口を開いた。直後、『プラトー』がオーダーを出した。

 まあ、『彼』もそうだが俺も大体『行動パターン』は理解していたのでオーダーを聞く前に既に行動を起こしていた。…ホントは、『見られている』から少し『待つ』べきなんだろうが反射的に動いてしまうのでしょうがない。…いや、もしかしたら『既に』ー。

 考えている内に少し冷や汗が出て来たが、一旦考えるのを止めてとりあえず『次』に備える。

『GAOー!』

 直後、『大負荷』の中『トラ』は自らの口を開けそのまま床に顔を付けた。…その少し前に、俺は渾身の力を込めてジャンプする。

 ー次の瞬間、床全体に『スパーク』が放たれた。…ホント、エグいコンボだよな~。

 数秒後、スパークが収まったギリギリのタイミングで床に着地した。…うん、やっぱり『数秒』が限界か。リアルと同様『トラ』のシステムは『負荷』が掛かるようだ。

 冷静に分析していると、フロア全体に掛かっていた『負荷』も消えた。…一番良いのは『オーバーヒート』させる事だけど、ヘビが『キャンセル』して来るからなー。第一、成功したとしても向こうの『出力が上がる』から一気にピンチに追い込まれるだろう。

「リトライッ!」

「今度こそっ!」

 浮かんだ作戦の『リスク』を考え即頭の隅に追いやる。すると、わりかしゲートキーパーの近くにいた女史と『プラトー』が攻撃を仕掛けた。

『GUGOー!』

 だが、2人の攻撃が当たる直前で『ドラゴン』が大きな瞳を輝かせゲートキーパーは消えてしまう。…うーん、『ループ』だな。『マグネットフィールド』で捕らえたいところだけど、そうすると『予想』が出来なくなるし。…いや、待てよ?

「集合っ!」

 ふと、『ルート』が見え始めるなか女史は直ぐにオーダーを出した。そして、また俺達は背中合わせで備える。

「ー1つ提案があるのですが、良いですか?」

 そのタイミングで俺は切り出した。…『プラトー』から伝えて貰うのも考えたが、時間の短縮と『どうせ-ほとんど-筒抜け』になっていると、思い開き直って直接言う事にしたのだ。

「…っ。…聞かせて下さい」

 それを悟った『プラトー』は、少し冷や汗を流し続きを促して来る。


「とりあえず、『足』を止めましょう。…その為には、全員『自分』にマグネットフィールドを使って下さい」

「「…な……」」

「「……。…っ」」

 まあ、当然クルーの2人はそのプランに唖然とする。しかし、『プラトー』と女史は少し考えた後ハッとした。

「なるほど。…私達4人で、『引き付ける』んですね?」

「……え?」

「…い、いや、ちょっと待って。…それ、自滅行為じゃない?」

 女史の噛み砕いた解釈に、アイーシャは更に唖然としイアンは冷や汗を流しながらツッコんで来る。

「それは大丈夫でしょう。『パターン』を見ている限り『直接的』な攻撃はして来ていません」

「……っ。…そういえば、こちらの攻撃は『爪や牙』で反撃せずに『回避』していましたね。………」

 続けて『プラトー』が補足すると、彼女は納得しこちらをチラリと見た。…まあ、『サポーター』の習性もプログラムされているのは間違いないだろう。ただ、あんな風に『別種族』が一体化はしないから……いや、まさか『そういう事』か?…まあ、何にせよ『足』を止めないとな。

 考えている内に1つの『可能性』が頭に浮かんで来るが、まずはマグネットフィールドを自分に向けて発動した。

「…良し」

「発動完了」

 それを見て、女史と『プラトー』は何も言わずともメンバーから距離を取り自分にマグネットフィールドを展開した。…一方クルーの2人はー。

「ー…っ。ええいっ!」

「…やるしか、ないみたいだね」

 2人も離れた位地に向かい、覚悟を決めてマグネットフィールドを展開した。…直後、俺達はデバフ効果でその場から動けなくなった。


『ーGAOoOO!』

「…っ!?『マグネットドーム』、フルパワーッ!」

 次の瞬間、アイーシャの背後にゲートキーパーが現れる。だか、彼女は一瞬びっくりするだけで直ぐに新たなオーダーを出した。

 すると、彼女を中心とした『マグネットドーム』が展開した。

『GAO!?』

『GUO!?』

『BMO!?』

『PYE!?』

『KSYA!?』

 次の瞬間、ゲートキーパーはその場に押し付けられた。…『トレーニング』の効果が出てるな。

 実は、昨日までやっていた『スペシャルトレーニング』の3つ目の目的はクルーである彼女達に特殊ビームガンの『様々な使い方と対策』を、実戦形式で学習して貰う事だったのだ。

 勿論、『カリキュラム』はカノープス『専属講師』のセリーヌの謹製だ。…いや、流石沢山の優秀な人材を育て上げただけあって凄く頼りになるな~。

 そんな呑気な事を考えながら、俺は『サイレント』…『手動操作』でマグネットフィールドを解除し一気に『ドーム』の縁まで距離を詰める。

「ー良いぞっ!」

「交代だよっ!」

「イアンッ!」

「…はいっ!」

 少し遅れて『プラトー』と女史が駆け寄り、俺同様既にパージしていたグラビティガンを構えた。一方、俺はイアンを呼んだ。

 それだけで彼は『汲み取り』、フロートガンを姉に向ける。

『ーK……SYAAAAA!』

 そして、アイーシャがドームを解除しようとしたその時。床に顔が押し付けらていた『金のヘビ』は渾身の力でアイーシャの方に顔を向け『ハッキング』を試みる。


「ーそりゃ『バットムーヴ』だろ、ゲートキーパー」

「フロート、フルパワーッ!」

 直後、ドームは消えるがすかさずイアンは姉を天井ギリギリまで浮遊させる。そしてー。

「「「ー『グラビティドーム』、フルパワーッ!」」」

『!?』

 直後、『トリプル』かつ最大出力のグラビティ

 ドームが発生しゲートキーパーを容赦なく床に押し付けた。

「キャプテン・プラトーッ!」

「了解っ!」

 その隙に、『俺達』はロングバトンを構築し…ドームの天井に向かってブン投げる。すると、2本のバトンは回転しながら『そこ』に向かい、天井に触れた瞬間一気にドームの中に落下していった。

『ーKSYA!?』

『ーGUOo!?』

 数秒後、1本は『ヘビ』にもう1本は『ドラゴン』の頭に直撃する。

「「「!?」」」

 直後、『トラ』の胴体から『ヘビ』と『ドラゴン』が分離した。…やっぱり、『ドッキング』してたのか。

「『ロングバトン』、スタンバイ!

 アイーシャは『そのまま』落とし、イアンはキャプテン・オリバーに。そして女史は私に『投げて』下さい!」

「っ!了解!」

「「り、了解っ!」」

 そして、『プラトー』は続けてオーダーを出した。すると、既に女史はバトンを構築していてそれを『彼』に見事なコントロールで投げる。

 一方、クルーの2人は慌てながらバトンを構築しそれぞれ言われた通りにした。


『ーPYE!?』

『GAO!?』

 直後、アイーシャの落としたロングバトンはギリギリ『トリ』の頭に命中し女史からバトンを受け取った『彼』は、またも見事なコントロールでそれを『トラ』の頭に命中せた。

『ーB…MOooOoO!』

 すると、『トリ』と『トラ』も分離し残るは『ウシ』だけとなる。…その瞬間、『ウシ』は雄叫びを上げて『中和』を始めた。だがー。

「ー『本物』に勝るとも劣らない、見事な『根性』だ。だか、『これで』終わりだ」

「「っ!」」

 俺がそう告げた瞬間、『プラトー』はグラビティを解除しこちらをフロートさせる。

 そして真上に着いた瞬間、『それ』を解除した。

「『落雷』」

『ーBMOoOOo!?………』

 直後、俺は急速に落下し『ウシ』の頭にロングバトンの先端を叩き付けた。…当然、『ウシ』は悲鳴を上げ直後に『ノックアウト』するのだった。


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