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Seven Mystery⑤-電脳迷宮-

 ー楽しい『家族の休日』から、数日後。俺達『プレシャス』メンバーは、総出で『セカンドグイラ』の郊外に来ていた。

「ー此処が、『5つ目の試練』の場所か…」

「確か、ココって旧『シュミレーションセンター』でしたよね?」

 メンバーが目の前の建造物にあれやこれやとコメントする中、俺とカノン(プラトーフェイク)は固く閉ざされたゲートに近く。

『ーっ!』

 すると、『いつも通り』俺達の持つ『コンパス』(俺の持つのはイミテーション)が光りゲートが独りでに開いた。

「…ホント、『それ』どういう仕組み?」

「実の所、私もさっぱりなんですよ。『先代』のログにも詳しい事は記載されてなかったですし……」

「俺もです。『船を譲ってくれた人』も単なる付属パーツだと思っていたようで、『こんな事』が出来るとは夢にも思っていなかったようです」

 ふと、同世代の女子メンバー…ライムグリーンのショートヘアのリーサ=ピーリスさんが聞いて来るが『嘘混じり』の回答を返した。…まあ、『良く知らない』のは本当なんだかな。

「…なるほどね。てか、2人共『チートな船』を持ってる人が『親しい関係』にあるって、なかなか『ラッキー体質』だよね。

 …正直、羨ましい」

 すると、彼女は艶っぽいため息を吐いた。…しかし、直後に彼女はびっくりする事になる。

「ーあら、貴女も『ラッキー』体質ではありませんか。

『傭兵デビュー』してから今まで一度も『被弾』と『負傷』なく、しかも過去最速で『ゴールド』にチェックメイトを掛けているのですから」

「っ!?」

 いつの間にか、一番後ろでベテラン勢と最終打ち合わせしていた女史がこちらに来ていた。…ホント、全然気付かなった。なんというか、群衆を『すり抜ける』のが上手いよな。


「私達からすれば、貴女も十分羨ましいですよ」

「…だね」

 そして、その後ろから名目上女史の『従者』であるランスター姉弟は羨望の目で彼女を見た。そう、結局の所彼女も『持っている』方なのだ。

「…第一、この『プレシャス』に選ばれてる時点で『私達』は銀河中のハンター達に相当羨ましいがられているんじゃないでしょうか?」

「「…間違いない」」

「ふふ、『お声掛け』した我々も信じられないくらいの『奇跡』に立ち会えてとても幸せですよ」

 俺の言葉に、姉弟は直ぐに同意し女史は凄くキラキラとした表情で感想を述べた。すると、カノンも同意を込めて口を開く。

「全くその通りだと思います。

 私も、『貴方達のような素晴らしい方達』と一緒に夢を追えるこの状況に幸福を感じています」

「…はあ、確かに『羨む』のはちょっと違うか。…にしても、お姉様もランスターも『ボス』も随分とブライトの肩を持つのね?」

 彼女は憧れの存在や同じ若手…更には『実質的なリーダー』である『プラトー』が、ついこの間まで全くの無名だった『俺』に賛同している事に単純な興味を持ったようだ。

「簡単な事です。

『かの大会』で、彼は『凄まじい実力』を見せました。それに、とても『紳士的』な方ですから」

「私達は、大会前に『何度か助けられた事』がありますから」

「まあ、『あのノベル』のファンですから。その時点で、俺としてはかなりポイント高い」

「…やっぱりちょっと『羨ましい』かな。…っと、ごめんなさい。

 あんまり無駄話ししてる暇はなかったわね」

 3内2人は身内がそれぞれ『理由』を語ると、彼女はまたほんの少し『羨む』。…だが、直ぐに『切り替え』話しを切った。

「大丈夫ですよ。

 以前説明したように、此処は『現実的に時間』は掛かりませんから。…ですが、『管理者』を待たせるのは悪いので入るとしましょう」

「ですわね。

 ーさあ、皆さん。お邪魔するとしましょうか?」

『はいっ!』

 女史の言葉に、メンバーは一斉に応えた。そして、俺達は『旧シュミレーションセンター』に足を踏み入れる。


 ー中に入ると、ライトが起動し綺麗に清掃された受付フロアが姿を現した。そして、受付カウンターに待機していた旧式のガイドロボットが起動する。…ふと思うんだけど、何で最新式のアンドロイドかガイノイドを雇用しないのだろうか?

『オ待チシテオリマシタ、-証-ヲ求シ方々。

 私ハ、此処ノ管理ト-シュミレートクリエイト-ヲ任サレテイル者デス』

 謂わば、『プログラマー』か。…そうか。『ワクワク』で頭がいっぱいであまり意識しなかったけど、旧式とは思えないこの『ワントーク』の長さ。ガワは旧式でも、中身は相当カスタマイズされているのかも。

 それに、アンドロイドやガイノイドだと諸々の『コスト』が掛かるし…何より、『外』に情報が漏れるリスクがある。

 いや、実に合理的だ。

『ソレデハ、-ダイブルーム-ヘトオ進ミ下サイバ』

 自己完結しているとカウンター右側のドアが開いたので、俺達は速やかに移動を開始した。

『ーっ。…これは……』

『こりゃまた、随分な-アンティーク-な…』

 そして、短い通路を歩き『ダイブルーム』に足を踏み入れた。…そこには、『ちょうどピッタリ』の数の『カプセルタイプ』がセットされていた。…いや、マジでどうやって『リサーチ』したんだ?…考えられるのは、『今までの試練』から『割り出した』とかだろうか?

 何にせよ、凄まじい『自立行動』だ。…ホント『手強い』し『魅力的』なヒト達だ。

「さ、ちゃちゃっと入っちゃいましょう」

 今回の『管理者』も是非『ライトクルー』にしたいと思っていると、女史は目の前で起こる現実に大して驚きもせず俺やメンバーを促した。…こっちもこっちで、ホント頼りになるお方だ。

 俺もメンバーも女史に頼もしさを感じながら、入るポッドが被らないようきちんと整列して次々と順序良く入って行った。


『ープレイヤーノポッドインヲ確認シマシタ。

 ダイブマスクヲ装着シマス』

 すると、音声ガイドが流れ俺の顔にメカメカしいフルフェイスマスクが被せられた。…直後、カウントダウンの後にいかにもなムービーとサウンドが流れた。

 ー直後、ダイブポッドの中で寝ていた筈の俺はだだっ広いプレーンな空間に立っていた。…俺だけか?いや、セリーヌの話しだと『チーム』を組んで挑む『試練』の筈だ。だからこそ、今日まで『サポーター』に協力して貰ってバッチリ『スペシャルトレーニング』をして来たんだから。

「ーっ!…おや、キミとですか」

 すると、少し離れた場所に『プラトー』に変装したカノンが転送されて来た。勿論、カノンは『プログラマー』に見られている事を想定し『アクト』をする。

「「っと。……あっ!」」

 それからさほど時をおかず、ランスター姉弟が俺達の後方に転送されて来た。…なんだろう。凄く『気を遣われてる』気がする。…カノンは『フェイク』がきちんと再現されているし、ランスターの2人をこっちに転送してくれてるし。あれ、ひょっとしてそれも『リサーチ』済みなのか?…いや、もしかしたらー。

「ー…っと。おや、これはまた『ステキ』なメンバーになりましたね。……どうしました?」

 とある予想が頭に浮かんだその時、俺達の前に現れた。…そして女史は、俺の思案顔に気付き近いてくる。


「…いや、もしかしたらこの『采配』は『プログラマー』が考えたのではないのかと思いまして」

「…へ?このチームって、偶然じゃないんですか?」

 それを聞いたアイーシャは、ぽかんとしていた。まあ、いきなり過ぎたな。

「…ふむ。つまりは、『プログラマー』は『同志』の協力を得てこの『メンバー』にしたと言う事だな?」

「……」

 すると、『プラトー』がこちらの意を汲んだ適切な予想を口にする。それを聞いた女史は俺達を見た。

「確かに、このメンバーは『互いを良く知っています』ね」

「…あ」

「…でも、仮にそうだとしてどうやって調べたの?

『他のヒト』から聞いたの?」

 そこで、アイーシャ達もようやく理解した。…そして、新たな疑問をイアンが口にする。

「いや、多分『我々が此処に来た時から』観測を始めそしてそこからこのメンバーを構成したのだろう」

「それが妥当でしょうね」

「俺もそう思います」

 当然、『プラトー』はその予想を否定し俺と全く同じ予想を口にする。すると、女史も賛同したのでそれに乗っかった。

「…今までのが、『見られていた』?」

「…それ、かなりの『権限』がないと難しいのでは?」

「だろうな。…まあ、あくまでも予想だが『彼女』は単なる『7人目』ではないのだろう」

 少し衝撃だったのか、イアンは唖然としていた。一方、アイーシャは1つの予想を口にする。

 それを『プラトー』は、肯定しつつこれまた同じ予想を口にした。

「…っ。まあ、予想はそのぐらいで。

 ーそろそろ、『攻略』を始めるとしましょう」

 その時、女史は後ろを振り返りそう言った。…良く見ると俺達の居るフロアの中心に『ゲート』が出現していた。

「ですね(…SEがなかったのに、良く気付いたな。…この辺りは流石としか言い様がない)」

「了解です」

「「はい」」

 俺達は即座に意識を切り替え、円柱状の光る『ゲート』の中に入ったー。


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