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「ようこそ、エグゼクティブラウンジ『カルナック・E』へ。

 オリバー=ブライト様とご友人の方々ですね?」

「はい」

 深いお辞儀をした彼女は、口頭で確認をして来た。なので、俺はIDカードを出しつつ頷いた。

「「…っ」」

「お待ちしておりました。それでは、失礼ですが規則ですので『スキャン』をさせて頂きます。あ、『お手数は取らせません』ので大丈夫ですよー」

 俺や少尉や学長は『慣れて』いる為か自然にカードを準備出来ていたが、ロラン達は慌ててカードを出そうとした。…すると、彼女はそう言いほんの一瞬『瞳』を輝かせた。

「ーご協力、誠にありがとうございます。

 それでは、どうぞお入り下さい」

「「「ありがとうございます」」」

「「あ、ありがとうございます」」

 再度、彼女が深く頭を下げるとドアが開いた。なので、俺達『大人』達は普通にロラン達『子供』は緊張しながら『エグゼクティブラウンジ』に入った。…えっと、女史達はー。

「ーあれが、最近導入された『ニューチェックシステム』ですか…」

 広く贅沢な空間の中を進みながら、女史達の元へ向かっているとふと少尉が先ほどの事に触れる。

「流石、『セキュリティ関連』のデータニュースは良く目を通しているようですね」

「…そういえば、私達はカードを出していないのに『OK』が出ましたよね。

 …あ、もしかして『クリアカメラ』を?」

「あっ、そう言う事か」

「お、2人共良く知ってんな」

「『施設警備』の授業で習いました」

「私は、校外学習で実際に見ました。

 …あれ、でも『クリアカメラ』って『小型化』が難しいんじゃなかったでしたっけ?」

「…いや、本当に此処の学生さんは『勉強熱心』ですね?」

 リコの抱いた疑問に、俺は嬉しくなりながら学長をみた。

「ええ、とても素晴らしい事です」

 学長も、誇らしげに頷いた。…しかし、俺も実際見るの初めてだがマジで『成功』していたんだな。


「ー確かに、『クリアカメラ』のメインである『クリアレボヤンスシステム』は、かなり複雑な機構を必要とするので小型化…セキュリティタイプのアンドロイド・ガイノイドへのインストールは無理だと言われて来ました。

 ですが、今年に入って状況は『激変』しました」

「…へ?」

「去年まで全く進捗のなかったのに、一体どうして?」

 少尉は、首を傾げる2人に説明を始める。…だが、それでますます2人は困惑する。

「…分からないか?『今の2人』は、答えへの『ルートマップ』を持ってる筈だ」

「…嘘。………っ」

「……『此処』でもか」

 俺のアドバイスを聞いた2人は、ハッとした。うん、流石は俺の『弟妹』だ。

「そうです。『手掛かり』の『副産物』によって小型化は急速に進んで行ったんです」

 ニッコリしていると、少尉もニッコリしながら説明を締めた。…いやー、『一体どんなイケオジ』なんだろうな~?

「…その『手掛かり』を持ってた人、良くそんな『ピンポイント』な『副産物』を手に入れましたよね?」

「…ああ。というか、『クリアカメラ』の小型化なんて『必要』としている人達や俺達みたいに『学ぶ必要』のある人間以外、興味も持たないと思うんだがな……」

「(ーあ、『ちょうど良いな』。)…というコメントが若者から出ていますが、実際のところどうなんですか?

 ーキャプテン・グリフォン」

「「…っ!?」」

 歩いているうちに、指定された『プライベートエリア』に入ったので真っ先にグリフォンさんに聞いてみた。…当然、まさか彼が見つけたと思っていなかった2人はぎょっとする。

「そうですね……。『色々な制約』故あまり詳細に語る事は出来ませんが…『友人に頼まれたから』とだけ言っておきましょう」

 彼は、少し考えた後に非常に簡潔に答えてくれた。…なるほど、『防衛関係の技術者の友人』か。いや、ゴールドともなると人脈も凄いワイドだよな。


「…へ、へぇ……」

「…そ、そうなんですか……」

 感心している一方、『本人』から回答を聞いた2人はだらだらと冷や汗を流していた。まあ、さっきまでの2人の会話って聞きようによっちゃ『変人』って言ってるみたいだしな。

「ーあら、いらっしゃったのですね。先ほど振りです、キャプテン・ブライト」

 すると、ちょうど良いタイミングで女史がこちらに気付き近いて来た。…そして、直ぐに2人の様子に気付いた女史は笑顔を浮かべる。

「そう緊張なさらないで下さい。

 ー『よほどの事がない限り』は威圧したり声を荒げるような真似はしませんから」

「「…っ」」

 流石だ。こっちが説明しなくても、2人の表情だけで『状況』を察するとは。…お、2人の『ビクビク感』が急速に落ち着いた。

「あ、初めまして。私、『プレシャス』にて『宣伝リーダー』の任を拝しておりますクルーガーと申します」

「…これは、ご丁寧に。

 私は、ファームスクール学長のシュミットです。

 お会い出来て光栄です、マダム」

 そして、女史と学長は挨拶を交わした。すると、女史はエアウィンドウを展開し何やら『オーダー』を出した。

 ー直後、プライベートルームの中心に新たなチェアとティーテーブルが2セット出現した。…おわ、流石『メンバーシップ制』の高級ラウンジだな。

「さあ、どうぞ。あ、ロランさんとリコリスさんはそちらに」

「「ありがとうございます」」

「「…は、はい」」

 学長と俺は平然と兄妹は緊張しながらそれぞれ席に座る。…そして、学長と俺がチェアに座るとベテランメンバーが一斉にこちらを向いた。…いや、改めて見ると壮観だな。どの人も、傭兵業界やトレジャーハンター業界のみならず『銀河中』に知らない人が居ないくらいの有名人だ。


「ー初めまして。私、第3都市サードニスリのファームスクールにて学長を務めさせていただいております、シュミットと申します。

 本日は私の話しに貴重な休日のお時間を割いていただきまして誠にありがとうございます」

 改めて感動していると、学長は非常に慣れた様子で初めの挨拶を始める。…その表情には、僅かな緊張が見てとれた。やはり、学長という肩書きを持つ人でも『このメンツ』には押されてしまうようだ。

「…えっと、どこから話した方が良いですかね?」

 すると、早速学長はこちらに振ってきた。…すると当然、メンバーの目線はこちらに集中する。

「(…急過ぎたせいか、授業と同じように『準備』が出来てなかったな。…『次』の反省点だな。)ランチまでまだ余裕はありますから、『最初』…学長先生が『国家プロジェクト』に参加していた所からお願いします」

『……っ』

「分かりました。

 それでは、そこから話させて頂きますー」

 学長は、さっき聞いた話を再び語った。それが終わるとまたこちらを向いた。

「ーでは、次は何をお話したら良いでしょうか?」

「(…やっぱ、『あれ』だよな。)

 ー学長先生が勤務していた『スペースファーム』の『責任者』の方の事を簡潔に教えていただけると助かります」

「…?…分かりました」

『……?』

 俺の要望に、学長は勿論兄妹やメンバーでさえも意図が分からず首を傾げる。…しかしー。

「……」

「…えっと、それではお話ししましょう。

 ーその方は、各実験プラントの責任者達の中で数少ない『女性』の方でした。

 当然、その実力は『責任者』の大任を任せられる程なので彼女は紛れもない『本物の天才』と言って良いでしょう。

 けれど、彼女は『そんな感じ』がまるでしない『純朴』な雰囲気を纏う方でしたし何より優しい方だった」

「…っ」

 すると、リコは目を見開きながらこちらを見る。…いや、驚きだね。まさか、『そこまで』の大物だったとは。


「…ブライト先生、本当に『これ』が貴方達の活動に役立つのですか?」

「勿論ですとも。

 ーさあ、皆さん。『何か』気になった事はありますか?」

 学長の言葉に力強く頷き、俺は立ち上がる。…すると、1人の女性傭兵が手を上げた。

「どうぞ、キャプテン・エルスマン」

「っと」

 ロングの髪の先端がチェリー色に発光するその女性傭兵…今回『此処の攻略』に来た女性メンバーでは文句なしの『2番目の活動歴』を持つ、ゴールドランク傭兵のカルナ=エルスマンさんは礼儀良くチェアから立つ。

「私が聞きたいのは、その数少ない『女性』の管理者が『何人』いたのか。

 …まあ、当然アナタは『予想』がついているんでしょうけど一応念のために聞いておきたいわ」

「分かりました。

 …それで、学長先生。どうですか?」

 後半ややジト目で聞かれたので、苦笑いになりながら頷き学長に振る。…すると、この時点で『気付いた』のか学長は『信じられない』といった表情をした。

「…っ。

 ー……『7名』です。…ブライト先生、まさか?」

「これで『無関係』と言い切れる人は、『プレシャス』には居ませんよ。

 …間違いなく、『セブンミステリー』と深い関わりがあるとみて良いでしょうね」

「やはり……」

「…という訳ですが、よろしいですか?」

「ええ」

「…さて、他には?」

 エルスマンさんが座ったのを確認し、俺は再度振る。…次に手を上げたのは、グリフォンさんだった。


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