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思い出

『ーゲームセット!WINNER、オリバー・ウェンディーペア!』

 それから数10分には、最初のゲームが終わった。勿論、俺と少尉は宣言通り兄妹に一点も奪われる事なくゲームを運んでいった。

「「…ありがとうございました」」

「良く頑張ったな」

「ナイスファイト」

 兄妹は少し悔しそうにしながらペコリと頭を下げた。実際、ゲーム中はかなり激しい攻防が繰り広げられ何度もヒヤリとさせられた。だから、決して『余裕』で勝利した訳ではないので俺も少尉も2人の健闘を心の底から称えた。

「じゃあ、ブレイクタイムがてら約束通り少尉との関わりを話してやるよ。

(ーお、『良いの』があるな)『チェア・セット』」

「「ありがとうございます」」

「ありがとうございます。……ー」

 そう言って、サイバーな『イス』を用意した。…すると、ロランは座りつつ不思議そうな顔をしていた。

「どうした?」

「…なんか、『慣れて』ますね?…確か、オリバー兄さんも此処は始めてですよね?」

「(…ふむ。あー)

 ー良し、じゃあ次は『それ』を『目的』にしてみるか?」

「「…っ。はいっ!」」

 その提案に、兄妹は元気良く頷いた。…これは、次も楽しめそうだな。

「…キャプテン・ブライトは、本当に『勝負事』がお好きですよね」

「多分、『故郷』の環境がそうさせたのでしょう。…まあ、『お手伝いの合間』とかにお話ししましたが『ライシェリア』って娯楽はスポーツくらいしかないんですよね。

 だから、必然的に『そうなった』んだと思います」

「なるほど…」

「…もしかして、2人は『セサアシス』で顔を合わせてるの?」

 すると、リコが察したので俺と少尉は頷いた。…だが、流石に『全部』は言えないので『ぼかした』感じで話し始める。


「少し前、そこで『トラブル』があったのを覚えてるか?」

「…あ、確かフェンリー先輩とご家族が巻き込まれたやつですよね?……まさかー」

「ーそう。実は、ちょうどその時お前達の家を訪ねようとしていてな。…んで、向かう道中『たまたま怪しげな取引』を目撃しそれに気付いた『オールドバンデット』が口封じで襲って来たんだが、難なく撃退したんだ。

 その後、お前達の親父さんの部隊に連絡し『連中』を回収に来たのがアルスター少尉達だったんだよ」

「…『たまたま』って、良く無事でしたね」

「…姉さんとか傭兵の人達だったら分かるけど。…ホント、身近な『男性血縁者』の『メンタルと実力』がヤバい……」

『説明』の途中、案の定ロランは冷や汗を流しリコは唖然とした。…まあ、彼女達の『父』と『祖父』は勿論の事だが『こっち』も祖父ちゃんだけでなく叔父さん現在も現役や従兄連中も全員害獣対策チームに参加してるし、なんなら全員『制圧アーツ』の上級者だし『ならず者慣れ』もしてるしな…。…うん、リコの言う通りだな。

「…いや、私も『最初』は度肝を抜かれましたね。…しかも、隊長の『親族』だと言うから更に驚きました」

 すると、『話しを合わせてくれた』少尉は当時の事を思い出していた。…すると、リコが『おや?』っという表情になる。

「…なんか、ウェンディー姉さん『変わり』ました?」

「…はい?」

「…言われてみれば。

 だって、いくら父さん達の親族とはいえ『民間人』…てか『余所者』の介入に凄く否定的だったじゃない?」

「…っ!」

 その言葉に、少尉は『今それを言うの』的な表情をした。

「そういえば、その『トラブル』の後調書を作るのに一緒に基地に行ったけど……『最初』は少尉含めたほとんどの人達に、『めっちゃ睨まれて』たな」

「…っ!?」

 なんか、意外な一面を見たせいか俺も少し乗っかる。…当然、少尉はやや赤面しながらこっちを見た。

「…やっぱり」

「…た、大変でしたね」

「…お恥ずかしい限りです」


「…まあ、その後直ぐに『荒めの交流』で俺の『実力』を認めてくれて『そういうの』はなくなったがな。

 ー…んで、最終的には『協力を求められた』ので『解放作戦』の『手伝い』をさせて貰ったのさ」

「…それもまた、凄い話ですね」

「…ホント、オリバー兄さんは私達をサラッと驚かせますよね……」

 勿論、直ぐに『不和』がなくなった事を話し『説明』を終わらせる。…勿論、2人は唖然としていた。

「…まあ、まさかその後直ぐにポターランで再会するとは思わなかったけどな」

「私も、驚きました。…でも、『嬉しさ』のほうが勝りましたね」

「…え、ウェンディー姉さんもあの場に居たんですか?」

「お前達の親父さんもな」

「…マジですか……」

 当然、それにリコが思いっきり食い付いた。無理もない。あの事件は『フェスティバル』の最中起きたから、かなりのビッグニュースになったのだ。…そもそも、『色々あって』箝口令が敷かれていたから2人共話していないのだろうが。

「…あんな危ない場所に、3人が……。…そう考えると、やっぱり最近『多い』って考えちゃいますね……」

「…ついこの間までは、此処も『そう』だったからな……」

 すると、兄妹は不安そうな顔をした。…だから、俺は2人の頭に手を置く。

「大丈夫だよ。

 少尉の所属する『独立遊撃部隊』みたいに銀河連盟には沢山の『エリート部隊』があるんだし……『この間みたい』に、『微力な戦力』だが俺の所属する『プレシャス』も有事の際は協力する手筈になっている。

 だから、お前達のような人達の『安心出来るテリトリー』には『これからも』危ない連中に踏み荒らさせはしないさ」

「「………」」

 安心させようとしたその言葉に、2人はぽかんとした。…あ、最後の『セリフ』は完全にー。

「ーなんだか、兄さんって『キャプテン・プラトー』みたいですね」

「…ああ。今の言葉も、良く『彼』が口にしていたセリフですし。…でも、不思議だな。

 ー兄さんがそう言うと、『ホントに大丈夫』って思えるんです」

 2人は心底安心した様子でそう言った。…なんか、思わず『素』で言っちゃったな。

 俺はちょっと『熱』が入ってしまった事に若干反省しつつ、チェアから立ち上がる。

「…さて、あまり長話してると『利用時間』が終わってしまうのでそろそろ『第2ゲーム』を始めましょうか?」

「…自分は構いませんよ」

「「私達も大丈夫です」」

 勿論、3人は賛成し立ち上がる。…てか、なんか少尉凄く『感銘』していたようにみえたが。

「…あ、ところでチームはどうしましょう?さっきと同じっていうのも、なんかつまらないです…」


「…そうだな。

 ーじゃあ、次は単純に『同性同士』で。…その次は、『教員&生徒コンビ』というのは?」

「「「賛成ですっ!」」」

 ふと、リコが『シャッフル』を提案したので俺はウィンドウを展開し無難かつ最適な答えをだした。すると、3人は即答で賛成してくれた。

『ーそれでは、セカンドゲームを開始します!

 オリバー・ロランペアはライトサイドに。ウェンディー・リコリスペアはレフトサイドに移動をお願いいたします!』

 すると、直ぐにコートの上に新たな『チーム分け』が表示される。…それにしても、凄い『レスポンス』だな。…これはー。

 俺はとある予想を立てながら、コートに移動するのだったー。



 ◯



 ーSide『ガーディアン』



 オリバー達がサイバー空間で新たな激闘を繰り広げている頃。朝は晴れ間が広がっていた首都の空模様は、すっかり曇り中心の天気となっていた。

「ー…うわ、すっかり曇ってますね」

 そんな空を見たブラウンの短髪のガッシリとした体躯の男性…『第1遊撃部隊・攻撃班』に所属するゼノ=アランドールはぽつりと呟いた。

「まあ、本格的な雨期が迫っているので当然だろうね。…うーん、一応確率的には降らないみたいですけど」

 それを聞いた黄緑の髪の男性…同じく攻撃班に所属するミヒュト=アーヴィングは直ぐに『ウェザーサイト』で確認する。

「…まあ、全員コンパクト収納の雨具を携行しているから一応大丈夫でしょうが。…『スコール』並みだったら、あんまり役にたたないかも知れませんね……」

「…あの、もし皆さんさえ問題ないようでしたら、エレベーターステーションに近いていく『プラン』に変更しましょうか?」

 すると、後ろに居たミハイルが若干不安そうに呟いた。…そんな時、情報班のトマスがふと提案をした。

「…え、そんな事出来るんですか?」

「はい。一応、『下調べ』はしていますから」

「…いや、ホント今日はレッドフィールド少尉が居てくれて良かった」

 ゼノが驚きながら確認すると、トマスは何気ないように言った。…それを見て、ミハイルは改めて感謝した。

 ー…というのも、今日は『少尉』メンバーは1日オフシフトなのだが『どう過ごす』かを前日まで丸っきり考えていなかったのである。

 それを聞いたオリバーは、『じゃあ、せっかくの機会ですし-此処に始めて来た人-同士でチームを組んで友好を深めてみてはいかがですか?』…と提案した。なので、こうして『初訪問同士』班の垣根を超えて行動している訳である。

 尚、ウェンディーのように『来た事のある人』もしくは、『目的を持っている』メンバーはソロかペアで行動している。


「お役に立ててなりよりです。…良し。

 では、変更したプランを皆さんのデバイスに転送しますね」

「「「ありがとうございます」」」

 トマスは微笑みながら素早くプランを組み立て直し、それを同行する3人に転送する。…此処まででたったの1~2分しか経過していない。

「…うわ、凄……」

「…流石ですね」

「…じゃあ、引き続き貴重なオフを堪能しましょう」

 ミヒュトとゼノは『それ』を見て驚く。何故なら、直前までのプランと同じように『しっかりと楽しめるプラン』だったからだ。

 そして、同じくそのプランに素早く目を通した『臨時小隊長基準は年功序列』のミハイルは3人に告げ、先程までいた屋内スポーツセンターを背にして歩き出す。

「「「了解」」」

 3人は敬礼し、その後に続いた。…しかし、『変更されたプラン』は直ぐにボツになる事になる。

 その事を、彼らは知る由もなかったー。


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