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もう一人の家族

 ー直後、俺達はまるで宇宙港のように広大な『ロビー』に居た。そして、そこには『連盟中』から沢山の人が集まっていた。

「うわ、凄い人の数ですね…」

「これくらいは普通だよ。…2人共、こっちに」

 驚きならがらキョロキョロするリコに、この光景に慣れているロランは平然としながら言う。そして、スタスタと中央にあるカウンターに向かった。

『ーようこそ、-サイバーフロンティア-へっ!今日は、どんな-サイバーアクティビティ-で遊びますかっ!?』

 すると、カウンターに立つアンドロイド『風』の受付NPCが元気良く聞いて来た。…サイバーテクノロジーって凄いよな。

「とりあえず、僕達は3人なんで『個人競技』にしたいと思います」

「ああ」

「ですね」

 ロランの言葉に、俺達は頷く。…そして、ロランがそれを受付に申請しようとしているとー。

「ー…奇遇ですね。貴方達も此処に来ていたなんて」

「「っ!ウェンディー姉さんっ!?」」

 ふと、後ろから超聞き覚えのある声が聞こえたので俺達は振り返る。…そこには、『サイバー仕様』のウェンディー少尉が居たので兄妹は凄く驚いた。

「(…そういえば、今日は『中尉以下』のメンバーは1日オフって聞いてたな。)おはようございます、『アルスター』少尉」

 対して、俺は事前に報告を受けていたのでそこまで驚かなかった。そして、念のため『ファミリーネーム』で呼ぶ。

「…おはようございます、『キャプテン・ブライト』」

 …すると、ほんの一瞬少尉は『しょぼん』とするがすぐに気を取り直し挨拶を返して来た。どうやら、『ちょっと』対応を間違えたのかもしれない。

「…あれ、お2人は知り合いだったんですか?」

「…っ」

 まあ、当然親しげする俺と少尉を見てロランは疑問を口にした。…その時、少尉は『どうしよう』という顔をした。

「…とりあえず、後ろ詰まりそうだから先に『ゲーム選択』しようか?…『話し』はそれからでも良いだろう?」

「…っ。ですね」

「という訳ですので、少尉。

 ー宜しければ、私達と一緒に来ませんか?」

「…へ?…で、でも良いんですか?

『ご家族の輪』に私が入ってしまって…」

 少尉を招待の意を伝えると、当人は困惑してしまった。…しかしー。

「ーもうっ、なに言ってるんですかっ!

『父さんの部隊に入る前からの付き合い』なんですから、姉さんも立派な『家族』ですよっ!」

 それを聞いたリコは、ずいっと少尉に迫りそのたくましい手を握りながらはっきりと宣言する。…この辺りは、ホント『母親』に似たよな~。

「リコの言う通りですよ、『姉さん』」

 ロランも頷き、少尉を『家族の敬称』で呼んだ。…ホント、レーグニッツ家は『この辺りの教育』はしっかりしてるよな~。だから、自然と祖父ちゃんも彼らの事を『信頼』したんだろう…。

 なんとなくそう予想していると、少尉は少し微笑んだ。

「…変わりませんね、貴方達は。

 分かりました。一緒に行かせて貰います」


「やったっ!」

「嬉しいです。

 ーあ、すみません。それでは、『4人で遊べるアクティビティ』を希望します」

 返事を聞いたリコは飛び上がり、ロランもとても嬉しそうに笑う。そして、彼は受付に要望を伝えた。

『畏まりました!

 ー現在、利用可能なエリアはこちらになります!』

 すると、俺達の目の前にエアウィンドウが展開した。そこには、幾つかの『スポーツエリア』が表示された。

「そうだ。『セサアシス』出身が3人もいるんだし『これ』にしたらどうだ?」

 俺は、その中にある『ビーチバレー』のエリアを見て提案した。…すると、3人の目が『マジ』になる。

「僕は構いませんよ。…ちょうど久しぶりに、『ガチ』でやりたかったところなので」

「良いね。…それに、此処なら『ハンデ』を貰う必要もなさそうだし」

「私も異存はありません。…そういえば、キャプテン・ブライトはこれの経験はあるのすか?」

 ふと、少尉が確認して来たので俺はにこりと笑う。…何せー。

「ーハハハ、『経験』がなければ提案はしませんよ。…第一、『海辺の砂浜』だけがビーチバレーの『バトルフィールド』ではありませんよ?」

「「っ!」」

 ロランとリコは、その言葉でハッとする。…そう、ライシェリアにも『レイクビーチ』という立派な『砂浜』が存在しているのだ。そして、夏の盛りにはそこは『バトルフィールド』と化し様々な『ドラマ』が生まれたりしているのだ。

「…そう言えば、昔カーリー夫人に聞いた事がありましたね。これは、大変失礼しました。

 ーでは、『遠慮』は必要ないようですね」

 そして、少尉はきちんとした謝罪をして…顔を上げると『ソルジャー』の顔でこちらを見た。…昨日は、フルフェイスだったから表情は見れなかったけど多分今と同じ表情だったのだろうな。

「ーじゃあ、『ビーチエリア』にしますね」

『オーダー承知しました!

 それでは、-転送-致します!』

 そんな事を考えていると、ロランはエリアを選択した。すると、受付はそれを受理しコールする。

 ー次の瞬間、俺達はロビーから『ビーチエリア』に移動していた。…いや、ウチの『サポーター』と遜色ないな。

『ーご到着、確認しました!

 ビーチエリア専用のコスチュームに着替えますか?』

 すると、突如俺達の前にそれぞれエアウィンドウが出現し先程の受付のボイスが聞こえて来た。…せっかくだし、ありかな?

 他の3人を見ると、皆も迷わず『OK』ボタンを押したので俺も押す。

『了解しました!

 カウント、3。

 ー3、2、1、チェンジ!』

 そして、3カウントの後俺達の衣装は変わる。まあ、俺とロランはブルーの膝上丈の『ウォーターパンツ』で、女性陣はライトブルーのノースリーブのウォーターウェアにハーフパンツというスタイルだった。

「へぇ、なかなか良いデザインですね……?」

「「「……」」」

 感心していると、ふと3人は衝撃のあまり固まっていた。…何があったのだろうか?

「…どうしました?」

「…っ。いや、このデザイン『セサアシス』の一般的な『ユニフォーム』をモデルにしているみたいなので、驚いてしまって……」

 聞いてみると、ロランはハッとして答えてくれた。…なるほど。

「…いや、まさか『これ』を再び身に付ける日が来ようとは。

 ーこれは、ますます『負けらません』ね」

「「ええ」」

 すると、少尉は感動しながら目を閉じ……非常に好戦的な笑みを浮かべながらカッと目を開いた。それに同意する2人も、瞳に闘志の炎を燃え上がらせる。


「では、盛り上がって来たところで『チーム決め』と『ルール』決めてしまいましょう」

 かくいう俺も、『ワクワク』しながらそう言い最初にメニューウィンドウの『ランダムシャッフル』という機能を使う。

『了解しましたっ!ランダムシャッフル、スタートッ!』

 直後、コートネットの上に俺達4人の顔が表示されたかと思ったらその上に『カーテン』が被せられ、それぞれがコートの上を『ランダム』な動きを始める。…凝った演出だな。

 やがて、『ブラインドウィンドウ』はだんだんゆっくりな動きになり2:2に分かれて言った。そしてー。

『ーシャッフル完了!ブラインド、オープンッ!』

 ノリノリなテンションなアナウンスが入り、『カーテン』は取り払われた。…ほう。『一回目』はこうなったか。

『ーライトサイド、ロラン・リコリスペアッ!

 レフトサイド、オリバー・ウェンディーペアッ!』

「宜しくお願いします、キャプテン・ブライト」

「こちらこそ、宜しくお願いします。少尉殿。

 いや、まさか『また』少尉と共同戦線を張れるとは思いもよりませんでしたよ」

 それを聞いた少尉は、ビシッと敬礼した。だから、『それ』に合わせて俺も敬礼する。…その際、『ちょっとだけ強調』するのを忘れない。

「…『また』?」

「…しかも、『共同戦線』?」

『ゲームモードを決めて下さい』

 当然、兄妹は勢い良く『食い付く』が……俺はその時『妙案』を思い付きニヤリと笑いつつ、一番短い『7ポイント・ワンセットマッチ』を選択しー。

「ー…そうだな。せっかく『こういうステージ』に立つんだから、ちょっと趣向を凝らしてみよう。

 ー『ワンポイント』。俺と少尉の『アダルトチーム』から一点でも取れたら詳しく話してやるよ」

「「っ!」」

 その言葉で、2人は分かりやすく『ヒートアップ』した。…すると、少尉はー。

「ーお優しいですね、キャプテン・オリバーは。

『ワンセット』とは、言わないのですね」

「ハハハ、俺も流石にそこで『スパルタ』じゃありませんよ」

「「上等です」」

 俺達の会話を聞いた兄妹は、それだけ言ってポジションに着いた。…さて、どうなるかな?

 俺は更にワクワクしながら、少尉と共にポジションに着いた。

 すると、上空からボールを持った『ジャッジドローン』が出現した。

『どちらからゲームを始めますか?』

「「『チーム・レーグニッツ』からで」」

「「……」」

 ウィンドウからの質問に、俺と少尉は間髪入れずに答えた。…そしてボールは2人の手に渡るのだが、ついに2人は何も言わなくなった。

『それでは、ゲームを開始しますっ!

 ーレディ、ゴーッ!』

 直後、気合いの入ったコールが入り戦いの火蓋が切って落とされた。


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