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特訓-驚きの施設-

 ー翌日。既に今日の『代理業務』は終わっているのだが、俺は拠点には帰らずに起動エレベーターに向かっていた。

「ーあ、ブライトッ!」

 そして、起動エレベーター前のリニアステーションで降りると後ろからロックスミスさんに声を掛けられた。

「どうやら、たまたま同じリニアだったみたいだな」

「ですね。…あ」

 そのまま並んでゲートを出ると、駅前ロータリーにシュバルツさんが居た。どうやら、待ってくれていたようだ。

「や、昨日振りー」

「こんにちは、シュバルツさん」

「こんにちは。…さて、それじゃせっかくだし3人で行きましょう」

「うん」

「はい」

 そして、3人で固まって移動を開始した。

 ー…さて、何で昨日の今日でまた顔を合わせているのかと言うと。…まあ、昨日の『情報提供』がきっかけだ。

 あの後、セリーヌは『いろいろ』と教えてくれたのだが……次の『試練』は、かなり『実戦的』な内容なのだ。

 それを女史に話した所、『特訓をしましょう』と仰ったので今から『その場所』に向かうのだ。

「ー…それにしても、まさか『快諾』するとは思わなかったなー」

 エレベーターステーションに入り『上行き』の到着を待っていると、ふとシュバルツさんがポツリと呟いた。 

「…ええ。…正直言うと、かなり『ワクワク』しています」

「私もー」

 すると、ロックスミスさんは胸の内を明かした。それを聞いたシュバルツさんはニッコリと笑う。


「オリバーは?」

「…ワクワクしない方が、どうかしていますよ(…はあ、防衛軍本部のトレーニングルームがお借り出来なかったのは痛かったな……。…くそ、これも『連中』せいだ)」

 彼女はこちらにも振って来たので、内心毒づきながら『ワクワク感』を纏った。…まあ、要するにー。

『ー宇宙港行キ、出発シマス』

 そんなこんなで、俺達は宇宙港に到着した。…すると、エレベーターホールには既に『迎え』が来ていた。

「ーこんばんは。ロックスミス様、シュバルツ様、ブライト様ですね?」

「「…っ!こ、こんばんは」」

「こんばんは」

 その人…『戦闘班班長』のスターリン大尉はこちらに気付くと、畏まった『敬礼』をしながら挨拶する。まあ、当然見ず知らずの軍人がいきなり声を掛けて来たので流石に2人は緊張しながら返した。

「あ、申し遅れました。

 私、銀河連盟独立遊撃部隊第1分隊戦闘班班長のクルツ=スターリン大尉であります。

 それでは、ご案内致します」

「「…お、お願いします」」

「お願いします」

 そして、大尉は気さくな感じに名乗りそう言った。…2人は恐縮しながら、俺は素知らぬ顔で頭を下げ歩き出す大尉の後に続いた。


 ーそして、宇宙港の中を進む事数分。俺達は一見何の変哲もない『個人所有の停船スペース』の前に立っていた。

「ーこちら、スターリン。『送迎態勢』に移行して下さい」

『ラジャー』

 すると、大尉は『目的地』に連絡を取る。…直後、俺達の目の前に『翼の生えたウマ』…宙域専用の送迎船『リムジンレッグ』が出現した。

「「…っ!?」」

「…おお」

 突然出現した『ウマ』に、2人は仰天する。…一方、おれは『一応』驚いた。…しかし、『個人所有の場所』な上に『フェイク』も使っているとは『随分』と慎重に事を運んでくれたようだ。

「…っ。……」

 感謝を込めて小さく頭を下げると、『察した』大尉は小さく首を振った。…そして、今だぽかんとしている2人に視線を戻す。

「さあ、どうぞお乗り下さい」

「「…っ、は、はい……」」

「…ありがとうございます」

 すると、2人はハッとしてペコペコしながら『ウマ』に乗った。俺は、『感動』しながらその後ろに続いた。

『ー予定乗客ノ搭乗ヲ確認シマシタ。-リムジンレッグ-発進シマス』

 そして、広々とした客席エリアに入り全員が品の良いシートに座るとオートでシートベルトが展開し、直後に電子…に加工したカノンのアナウンスが入った。

「…いや、それにしても『こんなの』まであるとは思わなかったな」

「…ホント、とんだ『ビックリ箱』だよねー」

『ウマ』が全く揺れずに動き出すと、ロックスミスさんとシュバルツさんは呟いた。…やっぱり、『こういう』のに乗り慣れていないせいか2人はやや緊張していた。


 ーそれからおよそ、15分後。

『ーリムジンレッグ、止マリマス』

『ウマ』は、そのまま軍港の『予備発着スペース』に停泊させている『ドラゴン』の中に入り、ゆっくりと床に着地した。

『オ足元ニゴ注意シナガラ下船シテ下サイ』

「…もうか」

「…てか、普通に軍港入っちゃったけど大丈夫なんですか?」

 シートベルトが消えたので、俺達はシートから立ち搭乗口に向かう。…すると、ロックスミスさんはまたも驚きシュバルツさんは若干不安になる。

「問題はありませんよ。

 実際立ち入るのは、『軍港』でも『本部』でもなく『カノープス』ですからね。ですから、簡単な審査で入れます。

 そもそも、その辺りの『準備』は『同志プラトー』の指示の元『情報班』がしっかりと完遂しておりますので、ご安心を」

「…なるほど」

「…やっぱり、キャプテン・プラトーって『政府の人』なんだねー」

 すると、大尉は簡潔に説明した。…いや、『指示』はしてないんだけどな。てか、『ドラゴン』のトレーニングフロアを使うって話をキャンベル小佐にしたら、『委細は任せて下さい』と言ったので任せただけなんだが…。

『凄い説明』を聞いた2人が感心する後ろで、俺は少し冷や汗をかいた。…そして『リムジン』を降りると既に他の『リムジン』も来ていた。

「ーあ、ロックスミスさん達も今来たんですね」

「よう、お疲れさん」

「「「お疲れ様です」」」

 そのまま大尉の後に続いていると、ハウ少佐とセカンドグイラのメンバー…モデルのグローリーさんや傭兵のグリフォンさん等数名と合流した。


「ーこんにちは、皆さん」

 そして、ドアを通りトレーニングフロアの『サブルーム』に入ると女史率いるファストディーンのメンバー数10人が出迎えてくれた。…ちなみに今回集まっているのは、『傭兵』と『戦闘が得意』なメンバーだけだがそれでもかなりの数だ。

『ーこんにちは、皆さん』

 そう考えると、なんか『こっち』の方が良かったのかと思う。…っと。

 俺は『予め準備していた船内放送』に意識を向けた。

『本日は、お疲れの所また遅い時間にも関わらずお集まり頂きありがとうございます。

 ーそれでは、早速-本題-に入るとしましょう』

 すると、アナウンスが一旦切れるのに合わせてメンバーの目の前にエアウィンドウが展開した。

『ー昨日お伝えした通り、今日から-攻略日-までの間皆さんには次の-試練-の-対策訓練-を受けて頂きます』

『……』

 その瞬間、メンバー全員の表情が引き締まった。…勿論、俺も真剣な表情で聞く。

『まず、初日の今日は…。

 ー失礼ですが皆さんの実力を図らせて貰います』

『……』

『こちら』の物言いに、メンバーは誰1人として反感を抱いた様子はなかった。…いや、ホント『人間出来てる』人達ばっかりで良かった。

『…では、どうぞお入り下さい』

 …実際、セリフの最後の方はちょっとびくびくしているが気付かれてないよな?

 そんな事を考えながら、俺は流れに身を任せてトレーニングフロアに入る。


「ー総員、敬礼っ!」

『サー、イエッサーッ!』

『……っ』

 直後、レンハイム少佐とハウ少佐と…屈強な『戦闘班』達がメンバーを出迎えた。しかもー。

『ーBOW!』

 レンハイム少佐の号令に合わせて、『イヌ』達も一斉に吠えた。…オーダー権限を渡してあるからっていうのもあるが、まるで『部下』のように振る舞っているように見るのは気のせいではないと思う。

『ーそれでは、初日の-訓練-を開始します』

「総員、スタンバイッ!」

『サー、イエッサーッ!』

『…っ!』

 メンバーが動揺する中、『アナウンス』が流れる。すると、レンハイム少佐は躊躇いなく『準備の号令』を出した。勿論、ハウ少佐や戦闘班の人達は素早く武装を構えた。

 だから、メンバーも覚悟を決めて武装を構える。

『ルールは簡単です。

 カウントが切れるまでの間、-多く残っていた方-が勝ち。

 ーバトル、スタートッ!』

『っ!?』

『俺』がスタートを宣言した直後、両陣営は『プレーンエリア』から『バラバラ』に転送された。


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