すると、通路の奥から一際大きな音が聞こえたのでメンバーと顔を合わせ互いに頷き合う。そして、ロックスミスさんを先頭に俺達はゆっくりと階段を降りた。
「ー…ところで、さっきのは『どんな意味』があるんですか」
階段を降り地下通路を進み始めた時、ふとバンネットさんは聞いて来た。
「あれは、『作中で-通称-が出た回数』ですよ」
「…なるほど。言われてみると、『だいたいそんな感じ』ですね」
「…うわ、ガチだな」
「…そんなのも覚えてるんだ……」
簡潔に説明すると、彼女は納得する。…一方、2人は俺と彼女の会話に若干引いていた。
ーまあ、実際は『好物を生み出した順番』なんだろうけどね。…ちょうど『被って』いたから、使わせて貰ったのだ。
いや、もしかすると『カモフラージュの1つ』なのかも知れないな。
「ーっ!」
そんな予想を立てながら歩く事数分。ふと、先頭を歩くロックスミスさんがピタッと止まった。…あれはー。
なので、少し先を見る。…するとそこには、旧式の『ガイドロボット』が佇んでいた。
『ーヨウコソ、-試験エネルギープラント-ヘ。
ワタクシ、此処ノ管理者ヲ任サレテオリマス-現場班長-デス。ドウゾ、宜シクオ願イシマス』
電子音声による名乗りの後、ロボットは頭を下げた。
『ソレデハ、-スペシャルマイニングフィールド-ヘゴ案内致シマス』
そして、頭を上げたロボットは俺達に背を向けゆっくりと前進した。…俺達は少し遅れて、その後に続いた。
ーすると、また少し通路がありその奥に既に開いているドアが見えて来た。そして、そこをくぐり抜けると広大なルームに出た。
『ーサテ、-試練-ニツイテゴ説明シマショウ』
ルームの中心にたどり着くと、ロボットは前進を止め再びこちらを向いて説明を始める。…なんか、『予想』出来ちゃうな。
『皆様ニハ、コレカラ-トレジャーマイニング-ニ挑戦シテイタダキマス』
「「「…っ!」」」
…やっぱりか。
『現場班長』がそう言うと、俺達が立っている場所以外の床が壁に収納されて行く。…そして、だんだんと『床下収納』されていた様々な大きさの『石ころ』が見えて来た。
『ー尚、-対象マテリアル-ハ-コチラの4種類-ニナリマス』
「「「……」」」」
数分後。床が完全に収納されたのを見計らい、『現場班長』は後ろの巨大モニターに『それ』を表示した。…当然、俺達は直ぐにそれを記憶する。
『ソレデハ、スタートシテ下サイッ!』
「良し、それじゃ俺はあっちの方を」
「私は、あっちだねー」
「私は、こちらを」
「なら私は、こっちですね」
コールが出たので、俺達は分かれてマテリアルの敷き詰められた床下に飛び込む。勿論、着地するのは意図して作られた空白部分だ。…さてー。
俺は『探知機』を取り出し、とりあえず自分の担当箇所をざっと調べてみる。……?
その時ふと、『4回目の視線』を感じた。…なので、一旦ロボットの方を見る。
しかし、当然ロボット…『現場班長』はこちらを見てはいなかった。
ーどうやら、先程から『見ていた』のは『彼女』ではないようだ。…ひょっとして、『そういう事』か?
ワクワクが沸き上がるのを感じていると、ふと『コンパス』が淡い光を放った。……っ。
俺はなんとなく、『目の前』に探知機を向ける。…すると、反応があったので俺は『そこ』に手を伸ばした。
「……(マジか)」
直後、手のひらに『暖かさ』を感じたので更に驚きつつ『それ』をしっかりと握り手を山から引き抜く。
ーすると、手の中には『目当てのモノ』…『イデーヴェス固有のマテリアル』の1つがあった。
…やっぱり、『俺を見ていた』のは『コイツら』だったのか。
俺は冷や汗を流しつつ、一旦それを回収バックに入れる。なんだか『オカルト』めいた状況だが、一旦スルーして探索を再開…しようとしていると、後ろから『視線』を感じる。…その瞬間、俺はだらだらと冷や汗を流しながら振り返った。
『…………』
まあ、当然ロボット…『現場班長』がこちらをガン見していた。…なんとなくだが、『驚愕』が伝わって来る。
『…………』
「…………」
『………。……』
…しばらく互いに見合っていると、『現場班長』は他の所に『視線』を向ける。…間違いなく、『察した』な。
「ーっ!あったっ!」
「…嘘っ!?…って、こっちもあったっ!?」
「…えっ!?………あ、あ、あ、ありましたっ!」
すると、まるで『それがきっかけ』となったかのように他の3人の所でも立て続けに見つかった。
『…オ、オ見事デス。…デハ、-引キ上ゲ-マスノデ少々オ待チ下サイ』
まさか、こんなにも早く見つかると思っていなかったのか『現場班長』は少し動揺したような感じでそう言った。…するとー。
「ーっ!」
「うわっ!?」
「…こ、これは……」
次の瞬間、俺は『ルーム』から別の場所…『セキュリティルーム』に移動していた。…そして、案の定他の3人は居なかった。
「ー…いや、相変わらず見事な『マルチショートワープ』ですね」
『…ドウイタシマシテ。…マア、流石ニ-本物-ヨリカナリ-劣ッテ-イマスガ』
けれど、背後に気配を感じたので振り返りつつ称賛の言葉を口にした。…すると、『現場班長』は謙遜で返した。
「…あ、やっぱり気付かれてしまいましたか」
『…ヤハリ、貴方ハ-後継者-ダッタノデスネ。……ドオリデ、-意思ヲキャッチ出来ル-訳デス』
…やっぱり、『そういう類い』か。けれど、これで『何でサポーターの好物の原料となり得る』のかがなんとなく分かった気がする。
『…オット、アマリユックリシテイルト仲間ノ方ニ不審ガラレテシマイマスネ』
そう言って、『現場班長』はリモートしているロボットから箱を取り出した。そして、それを俺に差し出す。
『ドウゾ、オ受ケ取リ下サイ』
「(これで4つ目。)ありがとうございます。……あ、そうだ」
箱を受け取った時、『もう1つの目的』を思い出したのでとりあえず切り出す。
『…ドウカナサイマシタカ?』
「良ければ、私の船のクルーになってくれませんか?」
『………ハイ?』
まあ、いきなりそんな事を言われた『現場班長』は聞き返して来た。
「ああ、勿論『厚待遇』は約束しますし返事はー」
『ーチョ、チョット待ッテ下サイ…。…ドウシテ、私ニソンナ話シヲ……』
すると、『彼女』は俺の話しを遮って理由を求めた。…というか、どうやらそれも『共有』もされてないようだ。
「(まあ、今更頼むつもりはないし…何より俺が直接交渉するのが『筋』だろう。)
それは、『貴女の持つ-スキル-』がカノープスに…ひいては『秘宝』を探すのに必要だからですよ。
あ、ちなみにこの話しは『貴女達全員』にするつもりですよ?」
『…ッ!……』
そう言うと、『彼女』は考え始めた。…その時、ふと妙案が浮かんだ。
「…そうですね。なら、『貴女自身の目』で俺を『判断』してください。
ー『クルー』になるほどの、『価値』があるかどうかを」
『……。…分カリマシタ。
ーデハ、明日カラソウサセテイタダキマス』
すると、彼女はその丁寧を受け入れた。…ふう、『平行ミッション』の始まりだな。
『…ア、オ帰リハアチラデス』
「ありがとうございます。それでは、また明日」
そんな事を考えていると、『彼女』は『出口』を作ってくれたので礼と挨拶をして外に出た。
「ーあ、来た来た」
「あ、すみません。お待たせしてしまって」
「良いよ。多分、『ラグ』でもあるんだろう」
すると、やっぱり『遅れてしまった』のか先に3人が待っていた。…その時、ロックスミスさんが気になる事を言った。
「(なるほど。気を使わせてしまったようだな。)…っ!」
内心で感謝していたその時、ふと全員のデバイスからコール音が流れた。
「…これは、『全体メール』ですね」
「…もしかして、もう『次』が分かったんのかな?」
「とりあえず、見てみようー」
なので、俺達はメールを開いて中身を見るのだが……その内容に、俺達は驚愕するのだったー。