「…それって、『管理者』じゃないの?」
すると、シュバルツさんは真っ先に俺と同じ予想を抱いた。…だよな。けどー。
「…だとしたら、どうして姿を出さないんでしょうか?」
「…それなんですよね。まあ、『見極め』の途中だからかもしれませんが」
「…『見極め』?…『どれだけ-プレシャス-を愛しているか』とかか?」
ロックスミスさんは、ピンポイントな予想を立てた。まあ、それしかないだろう。
「…はあ、そうなると『残り3つ』もお姉様やルイゼ達クルーに、アイーシャやブライトがキーになりそうね」
「まあまあ、そう落ち込まないで…。…『アレ』はなかなか読み応えがあるから、どうしてもじっくり読んでしまうのだから忙しいとどうしても時間が掛かってしまうんですから」
しょげるシュバルツさんに、ロックスミスさんはフォローした。…ああ、『楽しんでくれて』いるな。
俺はそれを聞いて、また嬉しくなった。
「…さて、『あまり彼らの足を引っ張らない為』にもそろそろ攻略を再開しよう。
それで、次は?」
彼はそう言って素早く切り替え、確認して来る。やはり、高いランクの傭兵は切り替えが凄く早い。
「次は、このまま逆走した先にある『マテリアルコーナー』です」
「分かった」
「了解です」
「…っ。分かった」
先に2人が返事した後、シュバルツさんはハッとして表情を切り替える。彼女も、女史の『教え』を受けているだけあってなかなかに『強い』ようだ。
ーそして、俺達は素早く移動し『マテリアルコーナー』にたどり着いた。…果たして、今度の『スイッチ』はどこなのだろうか?
「…で、ブライトはどう『予想』しているんだ?」
「…そうですね。
『2つ目』で、『3つのサポーター』が一気に出たので後は『1つ』だけです。
ーすなわち、『万能の眼』に関するモノだと予想しています」
「…なるほど」
「…そうなると、『オレンジ』か『ドラゴン』的な『何か』という事でしょうか?」
「でしょうね」
「…良し、では早速手分けして探そうか」
「「「
ロックスミスさんの号令で、俺達は適当に分散して探索を始めた。…さてー。
俺は、目の前にある『資源マテリアル』…それも、『古代文明』に使われたとされるモノが展示されている場所をじっくりと見た。
…確か、今とは違って1日の採掘量は『少なく』速さは『遅く』、『精製』に『かなり時間が掛かった』らしいんだったよな。けれど『宇宙進出』する頃には『ある程度』は解消され、そして今は『多く・早く』出来るんだから凄い進歩だよな~。…んでー。
ぼんやりと歴史を思い出しながら次のエリア…『星系固有の鉱物マテリアル』のところで足を止めた。…それにしても、『サポーター用の-好物-』ってこういうのから作れるんだが、『どんなところのモノ』でも『受け付ける』ってのはどういう事なんだろうな?
勿論、『カノープス』自体が相当特殊な存在だからってのもあるが……『固有マテリアル』にも、なんか凄い秘密があるように思えてならない。例えばー。
俺は1つ前の『最古のマテリアル』に視線を向ける。
そもそも、『サポーター』は『古代文明にいたとされる-伝説の獣達-』の姿をしている。まあ、『ドラゴン』を除いた『11体』は現代も『子孫』となる種が現存しているけど。つまり、各『固有マテリアル』には『古代文明のマテリアル』に似た成分が含まれているかも知れないって事だ。…それかー。
「ーこっちは『ハズレ』だっ!」
「こっちもーっ!」
「同じくですっ!」
「(…っといけないいけない……。…でも、おかげで『糸口』が見えた)となると、ここが『アタリ』のようですね」
深い思考をしていると、メンバーからの報告が続々と上がったので頭を『攻略』に切り替える。けれど、思考の中で『予想』が立っていたので俺は自信を持って報告した。
「良し、それじゃあブライトの元に集合して下さいっ!」
「はーいっ!」
「了解ですっ!」
すると、ロックスミスさんは即座にオーダーを出し3人がこちらに集合した。
「…それで?」
「多分ですけと、この『古代のマテリアル』の中にあるのが『アタリ』でしょう」
「…っ。なるほど、此処に展示されているのは『古代語の読み方』が判明している物ばかりですね。
…しかもー」
「ーええ。全部、『サポーター』達のモチーフとなった『伝説の獣達』の名前が組み込まれています」
「…マジか」
「…てか、2人共『古代語』が分かるんだ……」
俺とバンネットさん達の会話に、残りの2人は唖然としていた。まあ、俺の場合は『プレシャス』で学んだようなモノだが。
「お姉様の船のクルーとなった時から、それも徹底して鍛えていただきましたので」
「…やっぱり、『秘宝』って『古代文明』に関わっていたりするのかな?」
「…どうでしょうね。
で、話しを戻すが『それ』の中にある『ドラゴン』の名前の入った『マテリアル』が、『アタリ』って事か?」
「…いや、『最後の最後で引っ掛け』があるかもしれません」
ロックスミスさんの立てた予想を、俺は否定する。…まあ、あくまで可能性だが『結果を急く事も』ないだろう。
「…あり得えるな。…なら、まずは他のやつの『解説ボード』の近辺を探ってみよう」
「「「
なので、俺達は再び手分けして探し始めた。すると直ぐに、『ドラゴン』の両隣にある『ヘビ』と『トラ』の解説ボードの根元にスイッチがあるのを見付けた。
「ーあったっ!」
「あったよーっ!」
「ありましたっ!」
「こっちも、見付けましたっ!…あの、『1つ思い付いた順番』があるのですが試してみても良いですか?」
「ホントか?」
「じゃあ、任せたー」
「私も、信じます。…というか、申し訳ない事に『心当たり』がないので」
「ありがとうございます。…では、まずは『ネズミ』から押して下さい」
3人が了承したので、早速オーダーを出した。すると、右に居たロックスミスさんが動く。
「分かった」
「…っ」
彼がスイッチを押した直後、先程から感じていた『視線』が強くなるのを感じた。…多分、俺に『ロックオン』したからだろう。
「…次は、『ウサギ』を押して下さい」
「了解ー」
次に応えたのはシュバルツさんだった。…そして、彼女がスイッチを押すと『マテリアル』の入った展示ケースから『仕掛けの音』が聞こえた。
「…次は、『ウマ』です」
「…っ、了解ですっ!」
3つ目のスイッチは、バンネットさんの所だ。…っ!
直後、『その』展示ケースだけが独りでに『後退』していった。
「…相変わらず、『凝った仕掛け』だな」
「…だねー。ま、『面白い』から良いけど」
「…『危険』がある物よりかは、こっちの方が良いですね」
既に『見慣れた光景』に、3人は感心したり楽しんだり過去を思い出したりと様々な反応を見せた。
「(…もしかしたら、『友人』ってが『アイデア』を出しているのかな?)っと、次は『ヒツジ』ですね」
「っ、はいはーい」
再びシュバルツさんが反応し、スイッチを押す。すると、床の一部が開いた。
「(…なんか、実家の納屋を思い出すな。……まさか、『同一人物』?)次は、『イヌ』です」
「俺だな」
なんとなくの予想を立てつつ、オーダーを出す。そして、彼がスイッチを押すとー。
「ーうわっ!」
「凄…」
地下に降りる階段が一瞬にして出現した。…しかし、随分と細分化された仕掛けだな。
「しかし、『階段』とはまた随分『古風』な仕掛けだな…」
「ですね。…あ、次は『ドラゴン』ですので私の番ですね」
俺はそう言って、スイッチを押した。すると、『地下』に明かりが灯った。
「…次は、『サル』ですね」
「あ、はい」
バンネットさんも2度目の返事をして、スイッチを押した。すると、通路の奥から重々しい音が聞こえた。
「…かなり『厳重』だな」
「(…というよりー。)…あ、また俺の番ですね」
『管理者の性格』を予測しつつ、『ヘビ』のスイッチを押した。すると、また通路から音が聞こえた。
「あ、ラストは『ウシ』と『トラ』と『イノシシシ』と『トリ』を同時押しでお願いします」
「…ここに来て、『変化球』か」
「…『イジワル』にも程があるねー」
「……」
当然、3人は苦いをしてポジションに着く。そして、全員『カウントウィンドウ』を展開した。
「ーセット、『カウント3』」
「「「ラジャー」」」
「『スタート』」
ロックスミスさんのオーダーで『スリーカウント』を設定し、そして号令と共に全員が起動した。
ーそれからジャストスリーカウントの後、俺達は同時にスイッチを押した。