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Seven Mystery③-煌めく才能--

ーsaid『アイーシャ』



『ー諸君等ニ課スルノハ、-コレ-ダ』

『……』

 アイーシャの問いに、管理者はルーム内の端末を全て起動させた。…それを見て、数人の『端末オタク』が瞳を輝かせた。

(…『賢者の塾』の時もそうでしたが、凄く『大切』にしてますね。一体、どうやって整備しているのでしょうか?)

 そんな中、最大の疑問について考えつつ先陣を切ってルーム中心に設置された端末の元に近付いた。

(…『ガワ』は何とか整備出来ない事もないですが、どう考えても『中身』は替えが効かないと思うんですよね……。

 勿論、『外』から持って来たとも考えられますが…確かキャプテンの話しでは『外部との通信は取っていない』という事でしたし。

 …まあ、ならどうして『同志』から何も聞いていないにも関わらず『我々』の事を認知しているのかとか、『プレシャス』の事に詳しい『友人』と知り合えたのかとか…という疑問が浮かんで来るのですが……。

 恐らく『彼女達』は、『教えるつもり』はないのでしょう…。…はあ、ホント『秘宝』に関わる『様々なモノ』には秘密がイッパイですね)

『プレシャス』を読んでいた時や、実際に『追い求めている』時に度々『出くわしたり』した『謎』を此処でも感じ、気付けば彼女はワクワクしていた。

『ー…ヨシ、全員スタンバイガ出来タヨウダナ』

 そして、興奮していたメンバーもハッと我に返り慌てて端末の前に移動しいよいよ『本番』が始まろうとしていた。


『……っ』

(…それにしても、『これ』もしっかりとアンティークなんですね)

 意識を切り替えモニターを見たアイーシャ達は、少し複雑な表情を浮かべる。

 …何故なら、そこに映し出された『コマンド設定』は『スペック』と同様にかなり古いモノ…つまり、かなり単純な『プログラム』しかセッティング出来ないモノだったからだ。

『諸君等ニハ、-ソレ-デ-コノオーダーヲ実行出来ル-モノヲ作ッテ貰ウ』

『……』

 すると、彼女達の前にあるモニターが起動し『注文書』が表示された。…それを見たメンバーは、更に困惑する。

『ソレデハ、スタート』

『……っ』

(…なかなかに、『無茶振り』してきますね。…うん?)

 メンバーもアイーシャも頭を抱えながら『試練』を開始した。…そんな時、彼女はふとモニターに視線を戻した際に『違和感』に気付いた。…それは、画面端に『アイコン』があるというだけの事なのだかー。

(ーおかしい。…『このスペック』の端末に、『こんなのに割けるリソース』があるとは到底思えない。…

 これじゃまるで、『カノープス』みたいに………っ!こ、これは……)

 直後彼女は、アイコンにカーソルを合わせてそれを立ち上げる。すると、モニターの前に『エアウィンドウ』が複数展開し『メンバー』の作業状況や……『同調モードのON/OFF』というコマンドが表示された。

(…すっかり騙されてしまいましたね。…いや、『スペックが古い』という先入観に囚われてしまった私達が悪いのでしょう)

 彼女は短く反省し、そして気持ちを切り替えて改めて『試練』を見た。

(…そうなると、役割分担した方が良いですね。

 えっとー)

 彼女は今居るメンバーの顔と『スキル』を瞬時に思い出しながら、端末からオーダーを出す。

『ーっ!?』

『…な、何が……』

『…はあ、なるほどね』

 それを受け取ったメンバーは当然驚くが、直ぐに『理解』し振り分けられた作業を始めるのだったー。



 ○



 ーSaid『イアン』



『ーっ!うぉ……』

『……マジかよ』

 工作ルートに入ったメンバー達は、皆一様に興奮していた。…何せ、『博物館』でしか見た事のないような古のワークベンチの上にそれと並ぶ程の『アンティーク』な工具やマシンパーツが入った複数の箱が置いてあったからだ。

(…凄いな。こっちは、お婆様が現役時代の頃に主流だった『エレキドリル』だし……これなんてお姉様が『デビュー』したての頃に出始めた『マルチスパナ』だよね?

 …はあ、ヤッバ。…っと)

 勿論、生粋の『メカオタク』であるイアンも内心興奮していた。しかし直ぐに役割を思い出し、ルーム前方のテーブルに近付きその上にあるマイクを起動させる。

「ー…『マスタースミス』殿。聞こえますか?」

『アア、聞コエテイルトモ。

 ーソレデハ、諸君等エノ-試練-ニツイテ説明スル』

『……っ』

 すると、興奮したりメモリーフォトをしようとしていたメンバーは意識を切り替え着席した。

『サテ、既ニ-見テ貰ッテイル-通リ諸君等ニハ右ノ箱ニ入ッテイル工具デ左ノ箱ニ入ッテイルモノ達ヲ組ミ上ゲテ貰ウ。

 ーアア、-設計図-ハ-コレ-ダ』

『……』

 すると、各ワークベンチ脇のモニターに『完成予想図』が表示された。それを見て、メンバーは更に気を引き締める。…どうしてかというとー。

(ー…やっぱり、キャプテンの予想通り全員で力を合わせないと攻略出来ないタイプの試練か)


『デハ、試練開始ダ』

『……っ』

(…えっと、私の担当は。…うん、やっぱり『これ』か)

 そして、マスタースミスからの開始宣言が出されるとイアン率いる攻略チームは一斉に作業を開始する。

 まず、イアンは設計図を確認し左の箱からパーツを数個取り出し工具で使い分けて接続していく。

 ーそして、それを数10分掛けてやり遂げ完成したパーツをワークベンチ横の棚に一旦収納した。それから、次の作業に入るのだがイアンは今度は設計図を見ずに始めた。何故なら、最初に見た時点で大体頭にインストールし『手順』も組み上がっていたからだ。…しかし、その表情には焦りが浮かんでいた。

(…うーん、やっぱり『遅い』な。こんなペースじゃジョーク抜きで日を跨いじゃうよ……。…はあ、出来ればいつも使っているヤツに近いのを用意してー)

 無い物ねだりをしつつ作業をしていると、ふと『残りの工具』を見た。そして、念のため再度設計図を確認する。

(…これ、残りのは使う事はないよね。それに、パーツも。…そういえば、以前お姉様に聞いた事があるけど『当時』ってこういうロースペックなモノは『カスタマイズ』して使っていたって話しだったっけ。それに、更に詳しい事が『プレシャス』に出て来たような…。

 …というかこのモデル、まんま『それ』じゃない?)

 その事に気付いたイアンは、思い出しながらチャレンジを始めた。


(ー…良し。…うん、何とか形になった)

 数分後。イアンは、アンティークな工具をかなり『魔改造』…もとい『カスタマイズ』した。そして、直ぐに手元の『コール機』を鳴らす。

『ーっ。…どうした、ランスター』

「…さ、作業中すみません。ちょっと『作業効率向上』に関してお知らせしたい事がありましてー」

 勿論、いっぺんにではなくまずは近くのワークベンチで作業している人に通信を入れ、そして後ろの人に『回して』貰う。

『ー…なるほど。いや、助かったよ。…やっぱり、-お姉様-は凄いわね……』

「…どういたしまして(…まあ、推薦したのはキャプテンだと思うけど……)」

 最後に通信をしたベテラン女性ハンターは、イアンに感謝の言葉を述べつつクルーガーの『慧眼』に驚いていた。…しかし、当人はいつものクセで『レシーバー器』を持ちながらペコリとするが、その心中では『的確な予想』を立てていた。

(…どうしてあの人は、未だ未熟な私達を攻略のリーダーにしたんだろう。それに、お姉様もあっさりと推薦を承認したし…。

 …此処までで、『私達じゃないといけない理由』ってないんと思うんだけどな。

 …まあ、今は試練をクリアする事を考えよう)

 疑問は尽きないが、直ぐに意識を切り替えたイアンは作業を再開するのだったー。


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