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Seven Mystery③-技能の箱庭-

「…やはり、本番の試練は『3つ』あるようですね。

 右の通路の先は『端末操作』。左のルートには『機械操作』。

 そして、中央のルートは『工作技能』。

 …なので、その3グループに分かれましょう」

 その3つのエアウィンドウを見たアイーシャさんは、通路の入り口上部にある『電光掲示板』に表示を読んだ上でグループに指示を出した。

『…じゃ、俺は右ルートかな』

『私は、左ルートだね』

『中央ルートは、ミーにオマカセネ』

 そして、彼らは素早く3つのグループに別れた。…尚、アイーシャさんは左ルート。アインさんは中央ルートの纏め役になった。まあ、つまり残りの左ルートは必然的に俺になる訳だ。

「ー…それでは、『技能の箱庭』の攻略を始めます」

『了解』

 そして、アイーシャさんが号令を出すと3グループは一斉にドアの前に移動した。…しかし、『技能の箱庭』とは絶妙なネーミングだよな。

「ー…っ、これはまた随分とデカイですね」

 改めて『此処の名前』について考えていると、少し先を歩く『ブライト』がドアについて言及した。…まあ、多分この通路は連絡通路だから『資材』や『試作機』の通りを良くするのに広く作っていたんだろう。その分、『防衛ドア』もデカくなるのは当然だろうが……にしても、デカいな。

 そのドアを間近で見た俺は、『ブライト』と同じ感想を抱いた。…さて。

 俺は意識を切り替え、ドアの分析を始める。…ふむ、どうやら『機械操作』のルートなだけあって沢山の入力ボタンがドアの表面にあった。


「…これは、どうするべきでしょうか?」

「…とりあえず、ボタンを手分けして分析しましょう」

『了解です』

 オーダーを出すと、『ブライト』を含めたメンバーは散らばりライトを使ってボタンをまじまじと見る。…しかし、前2つと違って設備照明がぼんやりとしかないのはちょっと不便だな。技術棟なんだから『フルタイム』で点いててもおかしくないと思うんだがな…。

 内心ちょっと不満を抱きながら、自分の担当する数個のボタンを見た。…うーん、『色付きの1文字』だけか。そうなるとー。

『PYE!』

 俺は少し後ろに下がり、バックから背中にライトを装備した大型鳥『アシストホーク・チルドレン』を数羽取り出した。すると、事前にオーダーをしておいたおかげかサポーター達は直ぐに飛翔した。

『…うーん?』

 サポーター達がドア上部を照らすと、そこには『ヒント』が記されていた。だが、メンバーは首を傾げるがー。

「ー…これ、ひょっとしなくても『そういう事』ですよね?」

 すると、隣に居た『ブライト』は確信を持って言った。…いや、ホント『ファン』だな。

「…あのさ。2人だけで分かり合ってないで、ちゃんと説明して欲しいんだけど?」

『3人目』の熱の入れようになんだか嬉しくなっていると、シュバルツさんが呆れながら言ってきた。

「すみません。

 ー皆さん、ちょっと良いですか?」


『……?』

 とりあえず、『左ルート攻略チーム』の意識をこちら向けさせる。

「まず、皆さんに聞きたいのは『ボタンの配列』です。

 私の担当する部分は、左から『ブルー・S』、『イエロー・F』、『ヴァイオレット・H』、『オレンジ・W』、『レッド・E』です」

「…ちなみに私は、『最初』と『最後』だけ逆ですね」

「…私のは、『2つ目』と『4つ目』が逆だわ」

「…こっちはー」

 すると、他のメンバーも報告する。…うん、どうやら『俺』がアタリを引いたようだな。

「…んで、『何』を意味しているの?」

「おや、キャプテン・シュバルツ達はまだ『そこまでたどり着いていない』のですね」

 メンバーが報告を終えるが、シュバルツさんや他のメンバーもピンと来ていないようだったので『ヒント』を出す。

「……?『そこまで』?……あ、『そういう事』?」

 すると、シュバルツさんはハッとした。そう。つまり、これは『プレシャス』のとある事柄…かつて先代プラトーが『サポーター』を手に入れた順番を意味しているのだ。

「…まあ、まだ読んでいないのならネタバレを避ける意味でも説明は省いた方が良いですかね?」

「…そうね。ちなみに私は、『ブルー・S』…エピソード2の『青の銀河で潜航の鱗を手に入れた』のところを読んでる途中よ」

 シュバルツさんは少し興奮気味に、何処を読んでいるかを語った。…そういえば、『レーグニッツ家』との関わりもその時からなんだよな。いや、ホント最初はなんで祖父ちゃんを訪ねて来たか分からなかったけど、改めて(40回目)読んでみると『なるほど』と納得したもんだ。…んで、それが縁でカーリー従姉さんは向こうに嫁いだんだから本人にしてみたら凄い『アシスト』を受けた事になるんだろうなー。


「…なるほど。あそこは、『何10回』と呼んでも未だに興奮しますね」

「へぇ、やっぱり『ベビーユーザー』は違うねぇーっ!……コホン」

 ぼんやりと『楽屋裏話し』的な事を考えていると、『ブライト』は(当事者だから当然だが)『心の底』から同意した。すると、シュバルツさんは、凄く感心し…メンバーの視線を感じて赤面しながら咳払いをした。…勿論、他のメンバーもプレシャスを購読勧めたのはクルーガー女史しているが、此処までハマッたのは今のところ彼女を含めた3割のメンバーだけだ。

「…でも、『管理者』も『それ』を問題にするなんて意外と『素敵』な性格をしているのね。

 いや、多分全員が『そう』なのかな?」

「だと思いますよ。…お」

 俺はボタンを順番に押して行きながら、ニヤニヤする彼女に相づちを打つ。そして、最後のボタンを押すと上の『ヒント』…簡易的な『ワールドマップ(当時)』の内の『5つのポイント』に該当する『惑星』だけが光輝きー。

「ー第1フェーズ、クリア…ですね」

 重厚なドアが開いていくのを見た俺は、そう宣言した。…そして、それとほぼ同じタイミングで右と中央ルートも開いた。

『ー…驚イタナ。所詮、-名ヲ借リタ-ダケノ集マリカト思ッタガ誤リダッタヨウダ』

 すると、直後エントランスと正面から奥に伸びる通路に明かりが灯ると共に再びアナウンスが流れた。

『…先程ノ非礼ハ詫ビヨウ。-同好ノ志-達ヨ。

 サア、先ニ進ムガ良イ』

 だが、先程とは違って礼節のある対応をしてくれた上に奥にあるドアも開けてくれた。…いや、ホント『プレシャス』って偉大だ。

「ーでは、各チーム健闘を祈りますっ!」

「…頑張って下さい」

『了解!』

 最後に、ランスター姉妹はメンバー全員にエールを送りそれから俺達はそれぞれのルートを進み始めた。



 ーそして、長い通路を歩く事数分。…おお。

『…スッゲー』

『…え、これ、マジで-アンティーク-?』

「…これは、凄いですね」

「…同感」

『機械操作ルート』先にある、広大なルームに足を踏み入れた俺達はとにかく圧倒された。何故なら、『データライブラリー』や『昔の特番』の再放送だったりでしか見た事のないよな正真正銘の『アンティーク』な『スペースワークマシン』が大量にあったからだ。しかも、どれも非常に手入れが行き届いていて新品同様にピカピカな状態だ。

「…これは、『マニア』が見たら迷わず政府と交渉しそうね……」

「ですね。…まあ、俺達が情報開示しない限り世間に知られる事はないでしょう」

「…もしかして、『あいつら』をハブったのって『こういうモノ』を守る意味もあったの?」

『……』

 シュバルツさんの問いに、他のメンバーも気になってこちらを見た。…やはり、彼らも薄々と気付いていたようだ。

「…いや、ホント皆さんは素晴らしい。

 ーなるほど。どうやら皆さんは、『周り』に配慮出来る方々のようだ。

 …まあ、『手掛かり』がある場所を『荒らされる』のは『誰だって』いやですから。けれど、中には『ミール(連盟通貨)』欲しさにマニアに情報を売る不届き者も居る訳で…。

 勿論、『彼ら』全員がそうと決め付けたくはないですが『リスク』を考えた結果、ああいう処分を出した次第です」

「…確かにね」

「…さて、話しが逸れてしまいましたが『第2フェーズ』に移るとしましょう。

 ーそれで、『どんな試練』なのでしょうか?」

 俺は近くのテーブルの上にあった『マイク』を手に取り、『管理者』に質問するのだったー。


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