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鎮圧-悪あがき-

ーSide『ガーディアン-CYBER-』



『ークソッ!?何で解除されてんだっ!?』

『知るかっ!』

「(…ふう、何とか間に合いましたね……)。…あー、あー、犯人達に告げる」

 モニターの向こうで慌てる『クラッキング犯達』に、情報班の『サイバー担当』のディータ=ロウ中尉は内心ホッとしつつ勧告を始める。

『ーっ!?…バカな、-ハッキングされ返された-だとっ!?』

「ほう、状況は分かっているようですね。なら、話しは早い。

 ー数分後に、『制圧チーム』がそちらに突入します。…『痛い思い』をしたくないのなら、速やかに投降しなさい」

『っ!…クソ、やっぱり-チート野郎-が来てたんじゃないか……。…誰だ?-来てねぇ-って自信満々に行ったヤツはよっ!?』

 勧告を聞いた暴徒は、同じく『その安っぽいルーム』に居た『共犯者』達に八つ当たりした。

 ーそう、彼らは自分達の拠点からリモートで悪事を働いていたのだ。…最も、『プラトー』は最初から看破していたりする。

「…醜い内輪揉めは、後で好きなだけやってくれますか?

 今、貴方達に聞ききたいのは『投降する』か『投降しないか』です。…ああ、ちなみに言うまでもないですが『前者』をお勧めしますよ。

 …それが、貴方達の『罪が軽くなる』唯一の方法です」

『ーっ!…ハッ、此処までやった俺達がそう簡単に赦される訳ないだろうよ。なら……っ!?』

 すると、クラッキング犯達の中心人物とおぼしき男は『勧告』を受け入れず『抵抗の意思』を見せるが……彼以外の共犯者達は、一斉に彼にショックガンを向けた。

『悪ぃな、リーダー』

『アタシ達は、降りさせて貰うわ』

「(…可哀想なくらい人望がありませんね。)…どうやら他の皆さんは『まだ』賢い判断が出来るようですね。…なので、皆さんの事は『抵抗の意思無し』と判断させて貰いましょう」


『やりぃっ!』

『…ザケてんじゃねぇぞっ!』

 共犯者達が歓喜する中、中心人物の男は激昂した。すると、まるでそれがトリガーとなったかのようにルーム内部にスモークが吹き出した。

『うわっ!?』

「(…『キーワードタイプのボイススイッチ』か。…やはり裏切りの対策をしていたのか)『エスケープアシスト』、『サーチ』」

「ーっ!ラジャーッ!」

「分っかりましたっ!」

 モニターの向こうが混乱する中、彼は慌てず騒がず『メンバー』…金茶髪の髪に『いかにも遊んでます』な見た目のワジ=クロイス少尉と、ハニーブロンドのロングヘアーの髪をなびかせるルイゼ=バンネットにオーダーを出した。

 直後、ワジは現場付近に待機させていた『イーグル』を『直』でルーム内部に送り、ルイゼは『体温センサー』でルームを観測する。

「ーっ!窓側左手、確認っ!」

「ラジャーッ!」

 すると、彼女はその類い希なる『目』で素早く男の位置を確認しワジに情報を伝える。そして、ワジは即座に『イーグル』にオーダーを出した。

『ークタバレやっ!』

『っ!?わっ!?』

 直後、窓の付近からレーザーガンらしき強力な熱反応が感知される……だが、『イーグル』がターゲットの女性の前に立ちはだかり光線を別の場所…暴徒達の拠点となっている格安ホテルの上空に転送した。それと同時に、別のサポーターが女性を安全な場所…『地上警備部隊の隊舎』に転送する。


『ーっ!クソがっ!』

「『犯人』が移動を再開しましたっ!ターゲットは、シャワールーム前の男性…さっき彼に『言葉』を掛けた人ですっ!」

「ラジャーッ!」

 それを見て男は更に激昂し、直ぐ近くの男性に向かって駆け出した。…しかし、ルイゼが見逃す筈もなく今度は攻撃前にその男性は『エスケープ』をした。

『ーダアッ!?クソがクソがクソがクソがクソがっ!…っ!?』

 男の怒りのボルテージは超高速で高まっていき、最早手当たり次第に攻撃をしようとしていた。…だが、直後男の怒りは急速に冷める。

 ー何故なら、そのルームには男しかいなかったのだ。…そう、彼が怒りで周りが見えなくなっている間に既に他の人間のエスケープは完了していたのだ。

『ーっ!…い、いつの間に……っ!?』

 唖然とする男は、次の瞬間ぎょっとする。…ロックされている筈のルームのドアが開いたらだ。

 つまり、『時間が経っていた』事すら分からない程に我を忘れていたのだ。

『ー突入っ!』

『イエス、マムッ!』

『っ!…ぐわーーーーーっ!?』

 直後、戦闘班のレオノーラ=クラウゼル中尉率いる『制圧班』がルーム内に突入し男は素早く無力化された。

「(…実に、見事な『先読み』ですね。

『こうなる事』を見越して、昨日の時点で既に拠点を突き止めサポーターを配置していたのですから。)

 ー『ドラゴン』より『ストライク1』へ。拘束、お疲れ様です。…それでは、『ストライク

 1』はそのまま護送を開始しして下さい」

『はっ!』

 ロウはオリバーの先見性に改めて驚愕しつつ現場に連絡を入れ追加のオーダー出す。すると、向こうでレオノーラ達が敬礼し班員達数人が男を拘束し、そのまま男は担がれて行った。


「ーロウ中尉、『ストライク11』も無事制圧を完了しました。現在、数人の暴徒を拘束の上護送中です」

「『ストライク20』も、同じくです」

『制圧班』がルームから出るのを見届けているロウの元に、クールな雰囲気を漂わせるいかにも『インテリ眼鏡』というような男性軍人…トマス=レッドフィールド少尉とモンドが報告しに来た。

「分かりました。

 ー班員の皆さん。これにて、我ら『ストライク-CYBER-』の支援任務は終了です。お疲れ様でした」

『はっ!』

『お疲れでーすっ!』

 すると、彼は席から立ち上がり全員に終了宣言を始める。

「…しかし、念のため暴徒全員が地上警備隊隊舎に拘置されるまで観測を続けます」

『はっ!』

『分かりましたーっ!』

「それとー」

 彼が『この後』について話そうとしていると、『コール音』が流れメインモニターがオートで起動し、イデーヴェス政府官邸に詰めているイリーナが映し出された。

『ーこちら政府官邸。イリーナ=キャンベルです。

 アドベンチャーカノープス、応答願います』

「はい。こちらアドベンチャーカノープス号。ディータ=ロウであります。

 お疲れ様です、キャンベル少佐」

『そちらこそ、支援任務お疲れ様でした。

 ー今、通信問題ありませんか?』

「はっ!問題ありません。…察するに、『この後の対応』の話しでありますか?」

『ええ。

 ーあ、皆さん。お疲れ様でした』

『はっ!お疲れ様ですっ!』

『どうもーっ!お疲れでしたーっ!』

 彼女も班員に敬礼しつつ労いの言葉を描けると、情報班は一際ビシッと敬礼し『プレシャス』メンバーは元気良く返した。

『…どうやら、案の定あまり疲労はないようですね。

 ーならば、当初の予定通り-そろそろ官邸に殺到するであろうマスメディア-の対応補助をお願いします』

『イエス、マムッ!』

『お任せ下さーいっ!』

『ー…っ。そんな話をしていたら、ちょうど-来ました-よ。

 それでは、通信を一部そちらに転送します』

「イエス、マムッ!」

 彼女がそう言った直後、アドベンチャーカノープスの『コンタクトルーム』にある全ての端末からコールが始まるのだったー。



 ◯



 ーそれから数時間後。イデーヴェスで発生した『襲撃事件』は、銀河連盟の領域は勿論の事『トオムルヘ』を始めとする非加盟国家…すなわち、『全銀河』に知られる事となる。

 …勿論、イデーヴェス政府からの公式発表は『連盟議会とオリバーの用意したシナリオ』に沿ったモノだ。

 結果、連盟加盟国家全土にトオムルヘ並びにサーシェスカンパニーが『反社会組織』であると認知させる事が出来た。その上、『近い星系連盟加盟国家』はトオムルヘ方面の『ハイパーレーン』の封鎖対応を発表勿論、事前決定済み

 更には、全土の星系政府から『サーシェスカンパニーの行って来た-詐欺の手口-』が公表された(情報提供は、言うまでもなく『移民』の人達である。)

 これにより、民間から『関連組織』の情報提供が頻繁に政府に来るようになり摘発もかなり進捗するのだが…それはまた別の話しだ。

 …尚、実行犯に関しても当初の予定通り『同企業に雇われている私兵』と発表したので、『より危険な組織』と認知された事だろう。

 勿論、実際の犯人達の素性は『プレシャス』と遊撃隊しか知り得ない。



 ー…そして、『全てに被害を出さない』という『困難な任務』を無事やり終えた俺は、疲れた身体に鞭打って星系防衛軍の本部にある『特殊捜査ルーム』にたどり着きくと、ラダメス少尉とアマルティア少尉にロックを解除して貰った上で中に入った。


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