『ーフルファイアッ!』
「(…あ、此処にいたのか。なら、『慌てる』か。)…っ!?ちょ、ちょっとタンマッ!」
数分掛けてドアが開き切った直後、生徒付きのボディーガード達は一斉にショックガンのトリガー引いた。…本来なら『イーグル』が居るから平然と出来るが『カンが鋭い』フェンリーさんの姿が見えたので慌てふためくフリをする。
『…っ!?しま………え?』
ボディーガード達は驚愕するが、直後『イーグル』達が光線を『飲み込んで』何処かに飛ばしたのを見て唖然とした。
「…っ。あ、危なかった……」
「ーっ!す、すみませんっ!お怪我はありませんかっ!?」
そのまま『腰を抜かし』床に座り込むと、ボディーガードの1人が慌ててこちらに駆け寄って来て、手を差し出した。
「…あ、すみません。…っと」
「…誠に申し訳ありません……。…てっきり暴徒かと……」
その人の手を借りて立ち上がると、凄く恐縮した様子だった。…勿論、そっと近いて来た他のボディーガード達も同様の様子だった。
「…いや、勘違いさせてしまった俺も悪いですから。
ーそれに、『例の遊撃部隊』が貸してくれた『彼ら』のお掛けで怪我はしていませんから安心して下さい」
『……っ!』
そう言いながら視線を上に向けると、『イーグル』達が頭上を旋回していた。
『…う、嘘、あれって……』
『あの-プレシャス-の?』
『実在したんだ……』
こちらのやり取りを心配そうに見ていた生徒達も、ざわざわとし始めた。…しかしー。
「「………」」
フェンリーさんと…そして『やっぱり』リコの2人は物凄い疑問顔でこちらを見ていた。…あの様子だと、『確信に近い予想』を立てていたようだな。危ない危ない……。
「ー…っ!こ、『こいつら』が……」
割と危ない状況が一応は解決した事にホッとしていると、別のボディーガードが廊下でノビている『暴徒』達に気が付いた。
「…あの、一応『確認』なんですけど『見ない顔』ですよね?」
「…はい。…『他のスクール』でも、『見た記憶』がありませんね」
なので、先程の『準備』がきちんと機能しているかを『確認』すると『パーフェクトな返答』が返って来た。…まあ、念には念を入れたから当然だが。
ーまあ、要するに『一般ハンター』達には変装を施しているのだ。…今の彼らの風貌は、例え『カタギ』と言っても信じて貰えない『アウトロー』チックなモノになっているから、そりゃ『見覚え』もないだろう。
「…とりあえず、拘束はしておきましたし大丈夫でしょう。…問題は、どうやって『外』にー」
『ー居たっ!大丈夫ですかっ!』
そう言い掛けた矢先、通路の奥から『ホンモノ』に身を包んだ『ストライクチーム』がこちらを発見し駆け付けた。
「…っ!はいっ!こっちは問題ありませんっ!」
『……良かった。…っ、貴方がこいつらを?』
すると、チームの隊長…多分『現地隊員』の人…がホッとしつつ訪ねて来た。…うん、此処は誤魔化しておこう。
『ーGAW!』
『PYE!』
「…ええと、『彼ら』と一緒に何とかですがね」
サポーター達をチラ見すると、『空気読んで』一斉にアピールした。そして、俺は少し頼りなさそうに言った。
『…なるほど。…やはり、-彼-のサポーターだけあって強力ですね……』
「…所で、一体『何』が起きているんですか?」
隊長がポツリと呟いていると、ベテランの風格を漂わせるボディーガードが隊長に確認した。
『…お察しの通り、-不法入国した反社会勢力-が星系全土のスクールを襲撃しています』
「…っ!やはり、ですか……」
「………。…『他』がどんな感じか分かりますか?……って、そういえば『一体どうやって』入って来たんですか?
…確か、『いろいろと遮断するバリア』が展開していたと思うんですが……」
『…まず1つ目の質問ですが、今の所生徒・職員・関係者に被害者は出ていません』
「…良かった(…いや、マジで良かった)」
『そして、2つ目の質問ですが……実の所、我々の力で突破した訳ではないのです』
「…え?」
「…っ!まさか、先程の『アクシデント』がきっかけに……」
文字通り『すっとぼけて』いると、ベテランボディーガードはハッと推測した。…良し良し。
『…というと?』
「…実はー」
ベテランボディーガードは、班長に先程の『アクシデント』の事を説明した。…すると、班長やチームメンバー達は『……まさか』とか『-彼-は一体何処まで…』という驚愕の感想を呟いた。
『ー…間違いなく、-それ-がきっかけとなっていますね。…まさか、-彼-は-不確定要素-までを計算に入れていたとは……』
話しを聞いた班長もその推測を肯定し、チームメンバー達と同様の感想を口にした。…まあ、実際はさっきの『同志討ち』で事足りたんだけどな。
「…っ、すみません。足を止めさせてしまって。
…我々は、このまま此処で生徒達を警護しています」
『お願いします。…えっと、確か貴方はブライト教諭でしたね?』
内心で独りごちていると、ベテランボディーガードと班長は短いやり取りをした。…そして、班長は身分を確認して来た。
「はい。…あ、勿論『手伝います』。…えっとー」
最初から『そのつもり』だったので、俺は答えを先にして『少しもたつきながら』あるモノを出した。
「ー『フリーダムスーツ・セットアップ』」
そして、『やや緊張しながら』装備を装着するフリをした。…実際は、『透明化』を解除しただけだ。
…まあ、流石にやり過ぎかもしれないがフェンリーさんがいるのでちょうど良いのだ。
『…流石は、デビュー直後に-プレシャス-に勧誘された逸材だ。実に察しが早い』
『恐縮です(…凄く感心しているな。これは、間違いなく『俺が責任者の1人』だとは思っていないな)』
「…皆さん、どうか気をつけて下さい」
『ありがとうございます』
『では、行きましょう』
『了解です』
そして、俺は『ストライクチーム』に加わり残りの暴徒の鎮圧に向かった。
『ーぎゃあっ!?』
『チクショウッ!星にしてやるっ!』
『……っ!まさか…』
駆け出して数分後。通路の奥から『予想通り』の怒声が聞こえて来た。…すると、最後尾の俺の前に居る『プレシャス』のロックスミスさんがハッとしていた。…まあ、当然だが前日に『計画の全貌』は『過不足なく』説明しているので『何が起きている』のかを察したのだろう。
『…もしかして、-これ-が?』
『…だろうな。…全く、敵に大してはとことん容赦が無いヤツだぜ』
ロックスミスさんは、『俺』に畏怖を抱いた。…ちょっとやり過ぎたかな?
「ー喰らえっ!」
『タダでやられっかよっ!』
若干反省していると、いよいよ怒声が近くなって来た。…いや、でもただ『停止させる』だけだと簡単に『脱がれる』から結果『計画が失敗』するんだよな。…っと、思考はここまでだー。
俺は意識を切り替え、そっと手元にある『サイバー用のヘビ』にオーダーを出す。
『ー総員!ショックガン、セット!』
『ラジャーッ!』
直後、廊下の曲がり角に差し掛かる手前で班長がオーダーを出したので素早く従い『配布された』ショックガンをホルスターから抜く。
『ーフルファイア』
『ーっ!?』
そして、曲がり角を左折した直後。まさに、『激突直前』な状況が目に飛び込んで来た。勿論、班長は迷う事なく攻撃オーダーを出した。…一方、暴徒達は完全に油断していたようで咄嗟に動く事が出来ずー。
『ーイギャーーーーーッ!?』
全員『仲良く』悲鳴を上げ、そしてその場に崩れ落ちた。…その時には既に、『スーツのレプリカ』に潜入していた『ヘビ』が『こちら側』にもそっと潜入しており、『ヘルメット』から見える外の映像は『一部』偽装されていた。
『ーこちら、ストライク13(サーティン)!暴徒の鎮圧完了!』
そんな事が起きているとは夢にも思っていない班長は、迅速に他のチームに通信を入れるのだったー。