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解決-新たな手掛かり-

ーSide『エクストラチーム』



『ーっ!?…だ、誰っ!?』

「こんばんは、『お馬鹿さん』達。私は、フレイ=クルーガーと申します」

 すると、『実行犯』の女子生徒達はキョロキョロしながら質問して来たのでクルーガーは『端的な表現』を交えながら挨拶し、淡々と名乗った。

『…っ!…な、な、なんで……』

 当然、『その名前』を知っている彼女達は更に困惑した。

「…『それ』よりも、今は大事な事があります。

 …まさか、生徒自ら『襲撃』していたとは思いもよりませんでしたわ」

(…お姉様、相当頭に来ているね)

(…怒ってるの、久しぶりに見たな……) 

 それを後ろから見ていた姉妹は、ちょっぴり怖くなってしまった。…美人な上に、普段滅多に怒る事がない人だからか迫力が凄いのだ。

『…っ。……』

 一方、彼女に怒られている生徒達はその声だけでびくびくしていた。もしも、直接面と向かって怒らていたら腰が抜けていただろう。…まあ、『それだけ』の事をして来たのだから当然の報いではあるが。

「…そして、何よりも私が育ったこの学舎に、努力を嫌い卑劣な行いをする人間が日々ぬくぬくと怠惰な生活をしているのが、信じられない。…何と、不愉快な事でしょうか」

『…ち、違っー』

「ー何が違うのですか?…ああ、『先程の映像』の事ですか。

 …あれは、『起こり得た最悪の未来』ですよ」

『……え?……っ!』

 すると、ルーム内のモニターに映っていた『事故映像』にノイズが走り、直後『無機質な広いルーム』に切り替わった。

『…フェイクムービー……』

「その通り。『照明』が付いた直後から流れたムービーは、真っ赤な偽物です。…けれど、先程も言ったように『起こり得た最悪の未来』なんですよ?

 …その事を分かって頂きたい」

『…っ!』

 少し安堵していた彼女達だが、彼女の怒りを含んだ声に萎縮した。


「…第一、現在の貴女達には『襲撃の実行犯』という喜ばしくない『敬称』が既に付いてしまっています。

 …それが『何』を意味するか、流石に分かりますよね?」

『……っ』

 そして、彼女が『事実』を告げた事で彼女達は再び顔面蒼白になる。…つまりは、彼女達は既に『チェックメイト』が掛けられているのだ。

『……っ!……っ』

 その後に待っているであろう『バットエンド』に他の生徒がようやく後悔を顔に浮かばせる中、リーダー格と思わしき長身の生徒は何を思ったかズボンのポケットに手を突っ込み『スイッチのようなモノ』を取り出した。……しかし、それが使用される事はなかった。

「ー無駄な抵抗は良くありませんよ?」

 クルーガーは、『それ』が『ネズミ』によって壊されているのを見ながらそう言った。…当然の事だが、彼女達はきちんと『準備』して来ているのだ。

『…こ、コイツ等は、ファームスクールの-教材-……。…やっぱり、あのプラトーが貸し出していたのか……』

(…驚きだ。…もしかして、彼女『相当な訳アリ』さん?)

(…でしょうね。…まあ、間違いなく『悪い意味』でしょうが……)

 その洞察力に、2人はあれやこれやと女子生徒の経歴を予想する。

「…なるほど。どうやら、貴女と『彼』には浅はかなる因縁があるようですね。

 …まあ、『今』はそれよりも貴女達に『沙汰』をお伝えする方が大事です」

『……っ』

「…非常に残念ですが、貴女達にはじきに『退学処分』が言い渡されるでしょう。

 そして、遠からずご家族共々『法の裁き』が下り『今よりもっと過酷』な環境に移り住む事になるでしょうね」

『…っ。…あ、…あ、…あ』

 その瞬間。生徒達は膝から崩れ落ち、呆然としたり心底後悔した表情になった。

「ーですが、もしも『ご家族と共にかの企業の事を教えて』頂き『これから心を入れ替え真面目に勉学に励む』のであれば、『監視付き』ではありますがこの件は『私達の心の中に秘匿』する事を約束しましょう」


『……え?』

『……表に出さないって事……ですか?』

 彼女告げた破格の『沙汰』に、生徒達はぽかんとしていた。

「あくまで、先程の『条件』を守るなら…ですがね」

『…っ!ま、守りますっ!』

『わ、私もっ!』

『か、必ず家族を引っ張って来ますっ!』

『……どうして、ですか?』

 生徒達は我先に取引を受け入れるが、リーダー格の生徒は訳が分からないといった様子だった。

「『どうして赦してくれるのか?』…それは、貴女達と家族がまだ誰も『星』にしていないからですよ。

 …もしも、『あの未来』のように誰か1人でも『星』にしていたら一切の容赦なく『先程の沙汰』が執行されていたでしょうね」

『……っ!』

(…まあ、政治的な理由もありますが1番は『鮮度の良い情報』を手に入れる為ですがね。…しかし、この短い時間で『承認』を取り付けるとはホント恐るべき手早さです……。…果たして、私達は『何』が出来るのでしょうか……)

 再び顔を青くした生徒達を見ながら、アイーシャはオリバー達の『実力』を改めて実感しまたもや深く考えるのだったー。



 ○



 ー翌日。俺とレンハイム少佐は地上警備隊基地の個室通信ルームにて、ブラウジス閣下に経過報告をしていた。

『ーエージェント・プラトー、並びにレンハイム少佐。昨日はご苦労だったな。…それにしても、尊き研鑽の銀河と呼ばれたイデーヴェスの地に-かの企業-と-不正な方法を用いた愚か者-が足を踏み入れていたとは……』

 昨日までの『捜査データ』は既に送っていたので、閣下は開口一番俺と少佐に労いの言葉を掛けてくれた。…そして、報告を見て嘆かれた。

「…確か、閣下は第2都市の『政治スクール』のご出身でしたね」

『…ああ。勿論、私だけでなく銀河連盟の様々な分野の重鎮達の大半はイデーヴェスで研鑽を詰んでいる。…なのに……』

 閣下は、沈痛な面持ちで俯かれていた。…恐らくだが、生徒が事件を起こしていた事も当然ショックなのだろうが、何よりも『努力をしないで敷居を跨いだ』事が最たるダメージとなっているのだろう。

「…閣下、実はイデーヴェス政府より『改定案』の写しを預かっているのですが、拝見なさいますか?」

『ーっ!頼む』

 とりあえず、何とか閣下を奮起させようと一昨日貰っていたデータチップを見せた。すると、閣下からどんよりとした空気は消えいつも通りの『政治家のオーラ』を放ち始めた。

「ー今、送りました」

『ーっ。確認した。……ほう』

 手早くデータを通信装置にインストールし、そして閣下の手元の通信装置に転送する。…数秒後、それを受け取られた閣下は一目見て感心されたようだ。

『…これは、直ぐに我が国の教育委員会に共有すべきだな。…ちなみにだが、他の連盟の国家への連絡はどうなっている?』

「そちらは、既に情報班協力の元共有済みです」

 閣下の質問に、レンハイム少佐は素早く返した。…いや、ホントキャンベル少佐達には頭が下がるな。


『流石だな。…となると、残る問題は-かの企業-がこの後-どうするか?-だが。

 ー…-不届き者-達から、情報は聞き出せたのか?』

 すると、閣下は厳しい眼差しでこちらに聞いて来たので俺と少佐は頷く。

「保護者からの聴取は、今夜から行う予定です」

「それと、『代理人』達は『自分達以外は来ていない』と言っていましたが…多分『確認』しに来ると踏んでいます」

『…だろうな。…-順調に事が運んでいる-なら、間違いなく一度はそうするだろう。

 …それに、どの道そちらには-手掛かり-があるのだから油断は出来ない。

 ……そちらの方は、どうなっている?』

「勿論、そちらも問題はありません。

 …どうやら、『セブンミステリー』がキーとなりそうです」

『ーっ!』

 俺はそう言いながら、この間入手した『バッヂ』を見せた。…すると、閣下は明らかに驚きの表情をした。

「…もしかして、こういった物や『セブンミステリー』に関して何かご存知なのですか?」

『…ああ。……少し、待ってくれ』

 閣下は頷いた後、自らの執務デスクから小さな箱を取り出した。…おわ、以外な所から情報が来たな。

 中身を察し驚いていると、閣下はケースを開き『それ』を見せてくれた。

『…これは、私が学生の頃に通っていた-特別な塾-の卒業の証のようなモノだ。…その当時、私は-天井-を感じていたのたが-とある出会い-によって-その塾-を知り、放課後や休日はそこで研鑽を詰んでいたのだ。

 …まさか、-秘宝-に関わる場所だったとはな』

 閣下は懐かしむようにバッヂを見みがら語ってくれた。…『とある出会い』か。

『…エージェント・プラトー。1つ頼みがある』

「何なりとー」

 …そして、閣下からの頼み事を受けた後いろいろと話し合っている内に時間となったので報告通信は終了したのだったー。


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