ー…これで良し。…さて、今日のランチは何かな?
午前の授業を終え午後からの授業の準備を整えたので、俺は学食に向かった。
『ーっ!…マジかよ……』
『…ほ、本物だ……』
食堂に着くと、案の定昨日見掛けなかった生徒達に視線を向けられた。…とりあえずー。
「ーやあ、ブライト先生」
カウンター付近に近付くと、ちょうどラハット先生に会ったのでそのまま同じ列に並んだ。
「午前はどうでしたか?」
すると、前に並んだ先生はふと聞いて来た。…意味合いは『ちゃんと生徒達は授業を聞いていましたか?』てところだろう。
「いや、流石名門校の生徒ですね。予習や復習もしっかりしていたのでスムーズに授業を進められまたした。
それに、新しい事の吸収も早くて驚いています」
「……。…そうでしょう?」
『ー次ノ方、ドウゾ』
「…おっと、失礼ー」
自慢げに先生が言うと、ちょうど先生の番になった。
「…では、宜しけれカウンターにて続きをしましょう」
『次ノ方、ドウゾ』
「分かりましたー」
そして、俺もオーダーを済ませ先生の待つ受け取りカウンターに向かう。…だが、そこで続きを話す事は出来なかった。
「ーっ!あ、ブライト先生こんにちは」
ちょうどその時、リコやフェンリーさん達がハミルトン先生と同じ列に並んだからだ。…ちなみに、このグループの意味は『学生寮』の隣同士らしい。いや、なんか面白いシステムだよな。
…まあ、仕方ないからテーブルに着いてからー。
「ーあ、そうだ。ブライト生徒に『セブンミステリー関連』でお伝えしたい事があるんですけど、同席しても良いですか?」
そんな事を考えていると、リコはスルー出来ないワードを口にした。
「…おや、『ミステリー研究会』に入っていたのですね」
「…ほんと、びっくりした」
「ですね~」
グループの生徒達も、驚いていたようだった。…だが、もっと驚く事を彼女は言う。
「…まあ、基本的には『皆』でデータ整理とかをやらせて貰っていますが」
「充分素晴らしいですよ……?『皆』?」
「はい。実は私達も、彼女と共に加入する事にしたんです」
すると、多分グループのリーダーでもあるフェンリーさんが答えた。
「…っ!それはまた、どうして?」
「1番の理由は、『面白そう』だからです」
「…その次は、『彼女の力になりたいから』ていうのがあります」
「…後は、最近嫌な事が続いているから『気分転換』ですかね」
「…あ、勿論私達サークルはやってなかったんで無理なくやってますよ~」
こちらの質問に、フェンリーさんを始めとした何人かが答え残りはそれに同意した。
「ー…ちなみにですが、『それ』は自室で出来る作業ですよね?」
『勿論です』
『ー次の方~、どうぞ~』
念のためハミルトン先生が質問すると、全員頷いた。…まあ、当然だな。
「…では、私はこれで」
そして、呼ばれたハミルトン先生はランチを受け取り適当に空いている席に向かった。
ーそして、俺と彼女達もランチを受け取りまだ誰も座っていなであろう2階の席に向かった。
「ーじゃあ、食事をしながらだか聞かせて貰おうかな」
「はい。…とは言っても、1つだけですけどね」
「…もしかして、このエリアにあるのかな?」
「ご明察です。
その『タイトル』は、『第0プラントの守護者』ですー」
リコは、ゆっくりとその内容を語り始めた。
ーなんでも、現在帝国で稼働している全ての農場プラントの『プロトタイプ』がこのエリアの『旧中心地』にあるらしい。
勿論、今は休止状態にあるが度々そこで不思議な事が起こっているそうだ。
『ー保存の為定期的に清掃や点検をしようと思ったら、既に綺麗であり-危険箇所-にチェックがしてあった』とか、『そこに見学に来た生徒や教員は大成する』とかだ。…これは、『なかなか』有益な噂だ。
「ー…そんな噂がその『第0プラント』に流れいるようです。…ちなみに、過去何度かサークルの『調査チーム』が周辺や中を調査しています。…ただー」
「ー『はっきりと-何か-を見ていない』だね?」
「…はい。…すみません」
「レーグニッツさんが謝る必要はないよ。
…それに、まだ『ハズレ』と判断するには早計だと思うな」
ショボンとする彼女に、しっかりとフォローを入れる。勿論、『本心』からの言葉だ。
「…というと?」
すると、フェンリーさんは食事の手を止めて聞いて来た。
「…これはあくまでも予想だが、その『守護者』が何かをするのには複数の『条件』があるんだと思う」
「…調査チームが発見出来なかったのは、『それ』が全て満たされていなかったからだと?」
「そう。そして、今まで起こった不思議な事…特に2つ目の事案は『条件』が満たされたから起きたのではないかと考えている」
「…全部じゃないんですか?」
「…1つ目は単に保存の行動だ。…そして、これは『守護者』の実在を仮定する重要なファクターだ……」
リコの質問に、俺はニヤリとしながら持論を出しおかずを食べる。
「…っ。確かに、政府に保存する部署があるのに、きちんと『それ』や『報告』がされているのは充分に存在を仮定できますね」
「…なるほど」
『…すっご……』
すると、リコとフェンリーさん以外のグループの生徒達はぽかんとしていた。
「…最低でも、これくらい頭が回らなきゃ『秘宝ハンター』はやってられないからね」
『へぁ……』
そう言うと、彼女達はますますぽかんとするのだっだー。
◯
ー…此処か。
初日の業務を無事に終えた俺は、件の『第0プラント』に来ていた。
「ーっ!やあ、ブライト」
「…お疲れー。うわー、この時間だと雰囲気あるなー」
すると、先に来ていたアイボリーの髪の爽やかな印象を与える男性と、ピンクの髪をシニヨンしたのんびりした雰囲気の女性がこちらに気付き和やかに挨拶して来た。
この2人は、傭兵であり『プレシャス』メンバーでもあるジャスティン=ロックスミスさんとホムラ=シュバルツさんだ。
「こんばんは。すみません、お疲れのところ来ていただいて」
…ちなみに、この2人は此処サードニスリにおいて数少ない『同士』でもある。
「構わないよ。…今は、少しでもリードしたいからね」
「むしろ、呼んでくれてありがとうだよ。…てか、そういう『ルール』だし」
2人は俺同様に、初講義後にも関わらずイキイキしていた。…尚、『ルール』とは
これ、反対されるかと思ったけど案外すんなり適用されたんだよな。…やっぱり、『俺』が此処に居るって噂でも流れているんだろうか?
まあそれは後で考えるとして、現状3つの『ガードプラン』が発動しているといえる訳だが…果たして効果はどうだろう?
「…でも、『ミステリー研究サークル』とは目の付け処が違いますね」
「しかも、翌日には突き当てるとか…。流石、『お姉様』が注目するだけはあるねー」
『任務』の事を考えていると、2人が称賛して来た。…俺は、気持ちを切り替え後頭部に手を当てる。
「…まあ、ほとんど『妹』やその友人達の功績ですけどね」
「…っ。ご家族が生徒なのですか?」
「…ひょっとして、ファームスクールの生徒だったり?」
「似たようなモノですね。彼女はコックスクールの生徒なのですが、合同授業はファームスクールで受講しているんです」
「…うわ、キミの所もかー。生徒の顔覚えるの大変だよねー……」
「…本当、本業の教師の方々には敬意を抱きますよ。
さて、『ライバル』が来ないとも限らないのでそろそろ探索を始めましょう」
「分かりました」
「りょーかい」
この中では年長者のロックスミスさんがそう言ったので、俺とシュバルツさんは頷いた。
「…確か、対象は『守護者』でしたね?」
「ええ。…『その方』が、『手掛かりの手掛かり』の1つを握っているのだと思います」
「…でも、今まで誰も発見していないんだよね。
確か、お姉様経由で来た情報には『条件』があるって話しだったけど、それって私達で満たす事は出来るの?」
彼女の問いかけに、俺はおもむろに透明なケースに入った『コンパス』を取り出した。
「…それは?」
「祖父の形見ですよ。…これは、『同士』である貴方達だからお話ししますが実はー」
俺は2人に『少しだけ真実』を話した。…当然、2人は目を丸くした。
「ー…なんですと……」
「…キミのお祖父さん、お姉様達『BIG3』と同期の『秘宝ハンター』だったの?」
「黙っていてすみませんでした。…実は、『いろんな方』から口外を止めらていて」
「…まあ、悪目立ちは避けらないよね」
「…それこそ、『初代キャプテン・プラトー』みたく『いろんな所』から善悪の混じった『ラブコール』が届くだろうねー」
申し訳なさそうに謝ると、2人は無理もないと言ったニュアンスの言葉を口にした。…そういえば何人か『ファン』も居たな。…てか、『プレシャス』内部でも『俺』の事が広まってるな。
「…もしかして、キミのお祖父さんは『それ』で探してたの?」
「ええー」
そう言って俺は、透明なケース…『プロテクトケース』から『コンパス』を取り出した。…すると、ゆっくりと『反応』し始めた。