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前進-唯一の手掛かり-

(ーっ…。…もう昼か)

首都惑星で『手掛かりの手掛かり』を探していた『ハンター』の耳に、時報の鐘の音が聞こえて来た。

(…はあ、まさか成果ゼロだ)

午前中、『拠点』の周辺を確認がてら住人に聞き込みをしていたが結果は芳しくなかった。

ー何故なら、住人の誰も…それこそ歴史博物館のベテラン職員や古くから住んでいる先達さえも『手掛かり』の事を認知していないかったのだ。

(…どうなってんだよ?…はあ、とりあえずメシだな)

頭を抱えていると腹が鳴ったので、彼はついさっき確認したお手頃でガッツリメニューを出す学生に人気の定食屋に向かった。

『ーいらっしゃいっ!ただいま混雑してますので、右の-受付タブレット-に、人数とメニューを入力してお待ち下さいっ!』

(…うわー。休みなのに学生と職員だらけだー)

「ーえっ!?オリバー選手って、お前の親戚だったのっ!?」

(…っ!?)

アナウンスに従い『受付』を済ませた直後、賑わう店内の何処かからスルー出来ないワードが聞こえて来た。

そちらを見ると、お揃いのカッチリした制服を着た年齢のバラバラそうな4人の『同僚』がテーブル席で食事が来るのを待っていた。

(…あの制服、『学生警備隊』か。)

『ーありがとうございましたーっ!またお越しくださーいっ!

お待ちのお客様っ!カウンター席の③にどうぞーっ!』

昨日知り合った彼らの話しを聞こうとした時、タブレットの脇のスピーカーからアナウンス流れた。


(…くそ、何を話してるんだ?)

凄く興味が引かれたが、後ろにも客が居たため彼は速やかに席に向かった。

「ーお待たせしました。『日替わりランチ』です」

席に着くと、ぱっとライスがメインのポーク定食が出された。

「ー…はあ、マジで誰も知らなかったな~」

「…どうする?」

その凄まじく食欲をそそるランチを食べようとした時、横に座る『ライバル』らしき2人がなにやら話し始めた。…なので、彼はなるべく聞き逃さないように食事を始める。

「…こうしてる間にも、『プレシャス』の連中との差が開いちまうな」

「…いや、そうでもないみたいだぞ?『彼女達』も、大した『情報』は掴んでないみたいだ」

(…それでも、『数の利』に『地の利』まである。…まさか、マダム・クルーガーが卒業生だとは思わなかった……)

「…けど、近い内に決定的な差が出来ると思う。それに、なんか最近物騒だから気軽に出歩けないしな…」

「…だな。こういう時、傭兵は良いよな~」

(…そうでもないんだよな~。今日聞いた話しじゃ、『敵』はステルスとノイズキャンセリングを搭載した『アサシンドローン』らしいし…。いくらなんでも、それからの攻撃を防ぐのは無理だ…)

「…うーん。そうなると、部屋で『データライブラリー』漁りが得策か?」

内心で恐怖していると、すぐ隣の男性は腕を組んだ。

(…ただなー、データの大半は学生向けの情報だろうし残りも『噂』レベルのモノしかないだろうな~)


「…それなんだがな。…なんでも、此処の『サークル』の1つに『ミステリー研究会』ってのがあるらしいんだ。

そこでは、『セブンミステリー』をメインテーマにしてるんだが…そこの支部に、『彼』が入って行くのを見た奴が居るんだよ」

すると、相方の男性は少し声のボリュームを落としてかなり気になるワードを言った。

(…マジかよ。…っ!ひょっとして、彼らが話してる内容も『それ』関係か?)

「…なら、方針は決まりだな」

「ああ。…じゃあ、支部の場所を調べておく」

「頼んだー」

すると、隣の2人は席を立ち行動を開始した。当然、彼はなるべく早く腹ごしらえを終わらせ支部の場所を調べるのだったー。





『ーこちら、ベータ。現在、指定ポイントに到着しました』

『同じくチャーリー、配置完了です』

「アルファチーム、了解しました。各チーム、十分に気をつけて下さい」

『了解』

昼過ぎの麗らかさとは真逆の緊張したやり取りが交わされた直後、俺が率いる遊撃部隊と地上警備隊の合同部隊は目の前にある倉庫に突入を開始した。…さて、果たして『モノ』は見つかるだろうか?

そして、合同部隊は数人単位でグループを作り散らばって捜査を始める。

「ーっ!?『主任』、こちらへっ!」

それから数分後。共に行動をしている遊撃部隊のキャンベル少佐が『何か』を発見したようだ。

「どうしました?」

「…ここを見て下さい」

確認すると、少佐は倉庫の床の一部を指座した。…よく見ると、そこの部分の周辺には一見すると溝のようなくぼみがあった。勿論、倉庫の他の場所にそんなモノはない。…つまりー

「ーこちらアルファチーム。倉庫内部に『隠しドア』を発見」

『っ!ベータ、同じく』

『チャーリー、同じくです。……ど』

早速共有すると、ベータチームのレンハイム少佐とチャーリーチームのハウ少佐が報告して来た。

「……っ。主任、『コンソール』を発見しましたっ!」

直後、『内気な女性』…情報班のレイラ=ウォン少尉がドアから少し離れた柱から報告した。

「ありがとうございます。

…で、どうですか?」

『…っ、分かった。

こちらブラボー。発見しました』

『…チャーリー、少し手間取っています。

…っ、了解。

こちらは、どうやら上のフロアかも知れません』


「分かりました。…では、アルファとベータは中を調べてみましょう」

『了解。しばらく、通信閉じます』

『チャーリー、了解。こちらも、コンソールを発見次第報告します』

「…では少尉。お願いします」

すると、2つのチームとの通信が一旦終わったので少尉に指示を出す。

「了解ー」

少尉は頷き、コンソールを操作した。…当然『ロック』は掛けられているだろうが、少尉は専用のデバイスで難なく解除し数秒後には大きなドアは開いた。

「ーお待たせしました」

『……』

「ありがとうございます、ウォン少尉。

ーでは、行きましょう」

『…っ!了解』

少しぽかんとしていた地上警備部隊の人達は、気を引き締めて整列しその半数が遊撃部隊の後に続いて1人ずつ降りて行った。

「ーそれでは、警戒をお願いします」

『お任せ下さいっ!』

そして、俺もドアから地下に降りて行った。…その下は、どうやら地下通路になっているようだった。

「ー…これ、最近作らたモノですね」

「…間違いないでしょう。…それに、我々も『これ』の存在を認知していません。そもそも、工事の話しすら…」

「…先月の時点で、この付近で何か異常は起こってないですよね?」

「…はい。…一体、どうやってこんなモノを我々や倉庫の利用者に気付かれずに……」

隊長は頭を抱えるが、実のところ『最初』から予想はしていた。


「ー…主任。周辺の安全確認終了しました。

それにしても、ほぼ確定してしまいましたね…」

「…ですね」

すると、『ネズミ』で周辺を探ってくれていたキャンベル少佐は俺同様に『確信』を持って聞いて来た。

「…もしや、お2人には『犯人』の目星がついているのですか?」

「…ええ。

ーこの恐るべき『技術力』を持っているのは、『サーシェスカンパニー』以外考えられません」

「…っ!?現在銀河連盟で最も警戒されている、『サーシェスカンパニー』が『犯人』だと?」

『……』

「あくまで、『予想』ですがね。…とりあえず、『調べて』みましょう」

「了解。…それでは、調査を開始せよっ!」

『了解っ!』

そして、俺達は2グループに分かれて地下通路の調査を始めたー。



ーしかし、案の定此処は勿論他のチームの処ももぬけの殻だった……のだが、とある『痕跡』を掴む事が出来たのだった。


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