-それから、数十分後。
「-ここですね」
俺達は『コントロールルーム』の前に来ていた。…そして、中からは大量の人の気配を感じた。
「…やっぱり、此処の守りを固める為に道中襲われなかったの?」
「…でしょうね。
-では、行きますよ?」
俺はウェストポーチに手を入れ、大型のビームガンを取り出しドアに向ける。そして、トリガーを引いた。
『-っ!?』
直後、ドアに重なるように『抜け穴』が発生し部屋の中…海賊達の頭上が見えた。当然、意表を付かれた海賊達は直ぐには動けなかった。
「ゴーッ!」
その隙に、アイーシャさんは『ネズミ』を投入し海賊達の武装解除を始める。
『-やらせるかっ!』
しかし、海賊達は直ぐに『ショックシールド』を展開した。…まあ、当然こっちにも『転送』しているよな。だが-。
「-…行って来る」
それを見たアインさんは、部屋に飛び込んだ。そして、俺と同じくウェストポーチに手を入れ子機を取り出した。
「『ウェイクアップ』。…っと-」
そして、子機を床に置くと再びウェストポーチに手を入れ『再び』子機を取り出した。
『……は?……っ、止め-』
「-『インビジビルオフ・ファングチルドレン』。
『チャージラン』、ゴー」
海賊達は唖然とするが、直ぐに彼女に襲い掛かった。…そのタイミングで俺は首に触れながら『オーダー』を出す。
『-っ!?』
直後、『突入前に呼んでおいたトラ』の大群が出現し一斉に突入した。そして、次々とショックシールドに『取り付いて』いく。
『…っ!』
そして、高速で『エネルギー』を吸収し始めた。当然、ショックシールドは徐々に出力が不安定になっていく。
『ク、クソッ!このっ!』
すると、海賊達は『トラ』を『対策済み』のナイフやグローブで振り落とそうとする。…が、『ツメ』がパワードスーツに深く食い込んでいる為容易には取れない。
「-『リターン』」
そして、シールドが停止したのを見計らい『抜け穴』を消しドアを開け『チルドレン』を呼び戻す。
そして、入れ替わるように『ネズミ』達が装備を破壊して行った。
『-っ!』
しかし、弱体化した海賊達は突如2つのグループに別れ片方はアインさんに。もう片方は、『コンソール』に突進して行った。…まあ、多分『自爆』でもするつもりなんだろうが-。
「「-『インビジビルオフ・ワープ』」」
俺とアインさんはほぼ同時に大型の『イーグル』を出現させた。そして、『イーグル』は前面に広範囲の『外に通じる抜け穴』を展開した。
『-っ!?』
海賊達は慌てて止まるが、『イーグル』はそのまま飛翔し連中を『呑み込んで』行った。…さてと-。
俺は素早くコンソールに近付き、システムを復旧させていく。
「…いやしかし、本当に便利な『ポーチ』ですね」
その最中、アイーシャさんがこちらを見ながら言った。
「そりゃ、『船のチカラ』で作ったアイテムですから。…良し」
最後にエンターキーを押すと、『システム』は復旧した。
「-こちら、インスタントサポーター。『システム』の復旧完了」
『…っ!やったかっ!』
『助かったっ!』
「どういたしまして。
-それでは、後は宜しくお願いします」
『こちらガーディアンチーム。了解したっ!』
『サポーターチーム、了解だ』
「-…行くんですね?」
「ええ。…取りあえず、一旦地上まで送りますね」
「…ありがとう」
「ありがとうございます-」
…そして、俺は二人を地上に送った後『最終フェーズ』を始めるべく『船』の元に向かうのだった-。
◯
-Side『フィクサー』
-それをただ見ているだけしか出来なかった『首謀者』は、テーブルに怒りをぶつける。
(-なんなんだあの男はっ!?こちらの策をことごとく予想し、いとも容易く打ち砕いただとっ!?
…そんな、バカな話があってたまるかっ!)
ひとしきり怒りをぶつけた後、首謀者の男は地上のとある場所を見た。…そこは、住民や観客達が避難するシェルターだった。
そして、そこを守る人員達に組み込まれた『アウトロー』達を激しく睨み付ける。
(…そもそも、奴らが『役立たず』なのが悪い……。『手下の買収』に『実力不足』、果ては『情報漏洩』まで…。…そして、堂々と『おこぼれ』を掠め取ろうとまでしている。
…バカな連中だ。我々を『裏切るとどうなるかも』知らずに)
男は、『アウトロー』達に憎悪を感情を向けながら小型のスイッチを引き出しから取り出した。
(…恐怖と絶望を抱きながら、くたばれっ!)
男がスイッチを押した次の瞬間。アウトロー達は急速に浮遊する。当然、連中は突然の事に慌て中には悲鳴を上げる者もいた。
-そして、相当な高さまで浮上したのを確認した男は再度スイッチを押した。…直後、連中は地上に向かってまっ逆さまに落下して行った-。
(-っ!?)
しかし、数秒後に落下のスピードは急速に減速していく。同時に地上では警備隊が何処からともなく『救護マット』を出現させた。…そして、連中は無事に地上に帰還した。
(…ば、バカな。『これ』すらも……。…ならば-)
男が再びスイッチを押そうとした、その時。室内にアラートが鳴り響いた。
(-…は、早過ぎるっ!もう『此処』を特定したのかっ!)
男は嫌な予想を立てながら画像を切り替えた。…すると、『地上警備隊の別動隊』が『此処』に迫っている映像が映し出されたので男は驚愕する。
(…クソがっ!)
男は、『報復出来ない』事に苛立ちながら素早く『離脱』の準備を始める。そして、数分後には『コール』が鳴った。
(…誰が出るかっ!)
男は着信を無視し、『最後の仕掛け』を整えあ…すると、今度は『部屋』のチャイムが鳴った。
『-ネルソン様、宜しいでしょうか?』
ボーイの声が聞こえるが、尚も男は無視し続けた。…そして、直後-。
『-フライド=ネルソンッ!-治安維持法-に従い拘束させてもらうっ!大人しく投降しろっ!』
豪華なドアは勢い良く開けられ、武装した警備隊が部屋に突入して来た。…しかし、男に焦りの表情は…というよりその顔は『無表情』だった
「…やれるモノなら、やって-」
『-投降の意識なしっ!確保ーっ!』
直後、男は警備隊数名に取り押さえられ拘束された。そして、男は流石に諦めたのか『脱力』し……-。
「-バカだな?そいつはタダの-脱け殻-だ。残念だったな~?」
男は通信ツールから、『部屋』に向かって話し掛けた。…つまり、最初から男は『安全な場所』からアンドロイドを通して暗躍していたのだ。
「そして、全員纏めて……っ!?」
嘲笑った男は、直後にドスの効いた声で『八つ当たり』をしようとした。…しかし、その瞬間男はまたも驚愕する。
『-あれ?-何も起きない-ようですね?』
「…ど、どうなってる!?なんで、-起爆-しないっ!?」
そう。男は最後に大量の『ボム』を仕掛けていたのだ。しかし、『ついさっき』取り出したそれらは一切起動しなかったのだ。
『おや?-散々痛い目-を見て来たのに、まだ気付かないんですか?』
先頭に立つ女性隊員…ウェンディ少尉はほんの少し『得意げ』に首に触れる。すると、その部屋…『スイートルーム』の中に複数の小型の『トラ』が姿を現した。
「-っ!そ、そいつは……」
『そう。『このコ』達が先陣を切って突入してくれたおかげで、我々はこうして無事なんですよ』
「……っ!
-クソ、クソ、クソ、クソーーッ!」
男は直ぐさま通信を切り、『通信室』の中で激昂した。
「…っ!」
しかし、そんな男の怒りは直後に鳴り出したアラートで即座に吹き飛ぶ。
-何故なら、『その場所』ももう安全ではないと察ししまったのだから。