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予選-認定-

 『-っ!』

 しかし、俺や常連勢は素早くマジックハンドを回避しながら先に進む。…だが、それから数秒後に三度目の『合図』が発生した。

『しまっ…-』

 直後、俺の前にいた一人が『迷った』せいでマジックハンドに捕まり即効性の『催眠ガス』を浴びて倒れてしまった。…うーん、どうしようかな?

 しかし、俺は冷静に周囲を見渡す。すると、直ぐに解決策が浮かんだので実行に移す。まず、壁から出現しているマジックハンドの根元に素早く近付く。勿論、向こうも容赦なくこちらに迫っているのでロングバトンで道を切り開きながらだ。

 そして、根元にたどり着いた俺は『太い根元』に乗る。直後、『他』のマジックハンドが伸びて来たので俺は斜め上の根元に飛び移った。それから数秒後、床は開いて行き寝てしまった人達は次々と脱落して行った。…さあ、閉まるまでを凌ぎますか。

 ニヤリとした直後、大量のマジックハンドが四方八方から俺に迫って来た。どうやら、『強者認定』されたらしい。


「-烈火」

 だが、マジックハンドが俺を捕まえる事はなかった。何故なら、俺が数回に分けて放った連続の突きによってマジックハンドは次々と弾かれてしまったのだから。そして、弾かれたモノは他のモノを邪魔しそれを避けたモノはまた別のモノを邪魔した。やがて、その『不和』は拡散するように連鎖しだんだんと『精密さ』が欠けて来た。…っ!落とすつもりか。

 しかし、直後に足元が大きく揺れた。なので不規則なルートで登ったり降りたりを繰り返した。…お。

 そうこうしている内に床は閉じたので、俺は素早く降りまた駆け出した。

『-規定人数に到達。-ホログラム-を解除します』

 直後、再度アナウンスが流れると『果てしない』通路は消え上に昇る階段が出現した。…やっぱり、残りはフェイクだったな。



 -そして、地下四階に昇ると今度は次の階層への階段までさほど距離はなかった。…うわー、あからさまに『あやしい』な。

『……』

 他の常連勢も同じ考えなのか、誰一人として進み出る者はいなかった。

「-なんだぁ?こっちの『プロ』は随分ビビりだなぁ~?」

 すると、後ろから昇ってきた茶色の髪をドレッドヘアーにしたチャラい男がバカにしたような笑みを浮かべた。…コイツは確か『要注意』の一人だったな。

「じゃあな~-」

 そいつは、へらへらしながら一歩踏み出した。直後、その部分が『嫌な予感のする音と共に凹み』後ろの壁からまたもや大量のマジックハンドが生えた。

『-っ!?』

 …うわー、『アンラッキーポーター』の異名通りだなっ!

「-あ、わりぃわりぃっ!悪気はな…っ!?」

 こちらが慌てて駆け出すのを見て、悪びれもしないその男は突如視界からフェードアウトした。

「ばぁーーーっ!?」

 直後、男は奥から吹く強風によって変な叫び越えを出しつつ高速で『振り出し』に戻された。…ざまあねぇな。

 おそらくだが、『跳び跳ねるタイル』を踏み奥からの『強風』で戻すコンボなのだろう。


「-クソがっ!…っ、邪魔だっ!」

 男は怒りを纏いながら、マジックハンドの軍勢を切り抜け再度駆け出した。…ちい、こっちに来たか。

 なんと男は、俺が見つけた『安全化ルート』に入って来てのだ。…ちなみに、何故そうなのかと言うと他のタイルとは『質感』が違うからである。

「そこのデカいの、退けっ!」

 そうこうしている内に、男は安全になったタイルを次々と踏みながらこちらに迫ってきた。このままでは、先にあるトラップが発動し下手すれば振り出しに戻ってしまう。

「…やなこっ…たっ!」

 だから、俺は挑発するような顔と声で応えその場で膝を曲げ垂直飛びをした。

「-っ!?」

 当然、男は過剰に反応しついでに足を止め俺を目で追う。

「…っ!しま…-」

 直後、男は後ろから迫るマジックハンドの大群に捕まり催眠ガスを浴びせられてその場に倒れた。…これで良し。後は-。

 着地すると、マジックハンドの大群は次の標的を俺に定めて素早く伸びて来て後数センチまで迫っていた。流石にこの距離では迎撃のけるのは無理だろうしましてや逃げるの無理だろう……普通なら。

 俺は捕まる直前にゼロスピードから急速に駆け出し反対側に抜け、壁の出っ張り…予め確認していた『停止スイッチ』をバトンで突いた。


『……』

「別にお礼は要りませよ。『次の次を考える』と人手は多く必要ですから」

 彼らは唖然とした表情でこちらを見て来るので、俺は理由を述べて一足先に階段を昇る。すると、一つ目の踊り場を過ぎた辺りから少し薄暗くなった。

『…っ』

 すると、後ろから来た常連勢は嫌そうな顔をしながら俺を追い抜いて行った。…まあ、『一番面倒なルート』を引いたのだから当然だろう。

 そして、踊り場を通過する度にだんだんと階段は暗くなりついに足元以外は見えなくなった。

 その状態のまま階段を昇って行くと、安全の為に等間隔で足元を照らしていたライトもなくなった。つまり、地下三階にたどり着いたのだ。…うわ、マジでなんも見えないなぁ~。

 俺は辟易としながら走るのを止め、バトンを構えてゆっくりと歩き出した。



 -…っ。壁だな。

 歩き始めて数分。バトンの先端が硬い何かに当たった。なので、とりあえず壁に近付きバトンを壁に沿って右に動かす。…ふむ。

 そして、今度は左に動かした。…早速『二択』か。

 どちらにも壁らしき物は無さそうだったので、次に俺は耳に神経を集中させる。

『………』

『……、……っ!?』

 すると、右からは足音以外聞こえなかったが左からは微かに悲鳴のような声が聞こえた。どうやら、正解は右のようだ。

 俺は再びバトンを構えて右に進み出した。それから、またもや数分後に壁にたどり着くが足を止めずに右に曲がる。

『………っ!』

『……っ!』

 すると、意識しなくとも耳から周囲の状況が伝わって来た。…これは、『戦闘音』。まさか-。


 そのまま進んでいると、だんだん何かがぶつかり合う音や『ショック系』特有の音が聞こえて来た。…はあ、いよいよ『トレーニング』の成果を試す時か。

『予習』していた俺は瞬時に察し、近くの壁を背にしてしゃがんだ。その直後、どこかから微かに『重い何かが動く音』が聞こたと思ったら複数の足音が『こちら』に近いて来るのを感じた。…三人かな?

 俺は予想を立てつつ反対側に向かってバトンを伸ばし、『彼ら』が来るのを待った。

『-っ!?』

 それから、さほど時を置かずにして驚愕とバトンに『引っ掛かった』感触が伝わった。しかし、俺は追撃せずにその場を離れた。

『……っ!』

『……、……』

 すると、後ろから俺を探す声が聞こえ直後に引き返す音が聞こえた。…流石、『夜間配達専任』の警備員だな。

 俺は右にバトンの先端を当てながら感心した。…すると、予想通り壁が途切れたので曲がり『迎撃体勢』に入る。


『-っ!』

「烈火」

『…っ!?…グハッ!』

 足音でタイミングを計り、彼らが曲がって来た瞬間に連続突きを放った。直後、彼らの持っていた武器は床に落ち間を置かずに彼らは壁に吹き飛ばされた。

「…っと。さて、まだやります?」

 きちんと武器を『行き止まり』に向かって投げ、目の前にいるであろう彼らに聞く。

「…いや、止めておこう。

 何せ闇雲に打ったとは思えないほど、正確に『急所』を外しているんだ。その若さで恐ろしいまでの腕前だ。…警備専門の我々が何人束になっても敵わないだろう」

「…いや、流石に大勢に囲まれたら撤退を選択しますよ?」

「…はは、『退く勇気』まで持っているとはな」

「…こりゃ、今回はマジで予想がつかないですね~」

 残りの二人も、やたらと俺を持ち上げて来た。…もしかして、『何か聞いてる』のかな?


「…見事だ。

 -それでは、『これ』を。…ちょっと失礼」

 すると、真ん中の人も賞賛人しつつ俺の頭に『何か』を装着してくれた。…おお。

 すると、周囲の様子がはっきりと見えた。要するに、『暗視スコープ』をくれたのだ。…勿論、それだけではない筈だ。

「…では、私からは『これ』を。あ、ちょっとじっとしていて下さい-」

 次に、右のスタッフからデータチップを取り出しそれを借りたゴーグルにデータインストールした。すると、視界に『マップ』が表情された。

「…さて、最後は私ですね」

 左のスタッフはそう言って、カードキーを差し出した。…一気に揃ったな。

「…健闘を祈っています」

「「頑張って下さい」」

「ありがとうございます」

 三人のスタッフからのエールを貰い、俺は礼を言ってから駆け出した。そして、早速マップでルートを確認した。


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