君に過酷な宿命を背負わせてしまったことを謝罪しよう。
目の前の男はそう言った。
何の話かと口にしたが、何の反応も見せないところを見るに、あちらは私の言葉が分からないらしい。
肩鎧に手甲。
長い前髪を持つ、豊かな白純の髪。
その装いや武装の雰囲気は、どこか自分に似ている。
北方の武人だろうか。少なくとも、こうして無意識の中に現れる存在だ。どこかで私と関与している可能性がある者なのだろう。
やけに自我がしっかりとした夢だ。
ただ、その一言を口にしたのち、男の声は聞こえなくなってしまった。訴えるかのように唇は何度も開閉を連続させるが、何も分からない。
何かを伝えたいということだけが伝わってくる。
私に課した過酷な運命とはなんだろう。
この白髪という宿命か、いいや違う。
彼自身が白髪なのだ。
ならば、あぁ、そうか。
声がまた聞こえる。
心から。
これからの幸せを願おう。
だからどうか。
どうか、待って。
貴方は何者なのですか。
手を伸ばす。
彼を、その声を、希うように。
私は、一体誰なのですか。
するとそれまでしかめっ面とも泣きっ面とも言えない、微妙な表情だった男の顔が、わずかに緩む。
また聞こえなくなる。
唇から紡がれる、その言葉。
待って、ください。
その言の葉を口外に投げる、その前に。
目の前は真っ白に包まれた。