「「「「カレン！！」」」」

すると、カレンを見た男性陣の表情が変わった。全員、嬉しそうに笑顔を彼女に向けている。

おや？　これは……まさかのアレではないだろうか？　1人の女性に複数の男性が恋をしてしまうという……。

「皆さん、こんなところで集まって何をされていたのですか？」

すると男性陣たちは私に目もくれずにカレンを取り囲んだ。

「ごめん、カレン。君を1人にしてしまっていたね」

ロン毛男がカレンの頭を撫でる。

「昨日はエイドリアンとのデート日だっただろう？　そのとき、カレンがステラにひどい言葉を投げつけられたと聞かされたんだ」

え？　エイドリアンとデートの日？　

イケメン青年の言葉に違和感を抱く。

「ああ、そうだ。全くステラの奴め。か弱いカレンを傷つけやがって……」

エイドリアンは私を睨みつけている。

「だから、今全員でステラを締めあげようとしていたんだ。何しろ先週もカレンはあの女に噴水に突き落とされたのだろう？」

メガネ男性の言葉にギョッとする。

私が？　いや、ステラが先週カレンを噴水に突き落とした？

それが例のあのことなのだろうか？　だけど、締め上げるって……何をするつもりだったのだろう？

男性4人が1人の女性を締め上げるだなんて、ただ事ではない話だ。

すると、カレンが私に視線を向けた。

「あら？　そう言えば……そこにいるのはステラさんではありませんか？」

「はい、ステラです」

グッと我慢して返事をする。

嘘つかないでよ！　こっちに向かって走ってくる時、バッチリ私を見ていたよね！？

「そうだ、ちょうどいい。ステラ、カレンに謝罪しろ。噴水に突き落とした件と、昨日彼女に暴言を吐いたことを、この場で土下座して謝るんだ」

エイドリアンが何故か勝ち誇ったような顔で私を見る。

……この男、自分の立場を分かっているのだろうか？　ステラの父親のほうがずっと自分の父よりも立場が上だというのに。

「まぁ、お前のように性格が悪くてプライドの高い女には無理だろうな？」

メガネ男がキザっぽく、クイッと眼鏡を上げる。

私は1週間前のステラの行動なんて記憶に無い。それに昨日の件は、どう考えてもエイドリアンが悪いに決まっている。

だけど……。

「あの、謝れば見逃してもらえるのですか？」

「「「「……え？」」」」

またしても男性陣の声が綺麗にハモる。

「何言ってるんだ？　寝ぼけてるのか？」

「お前が謝れるはず無いだろう？」

「そうだ、プライドの塊で出来ているくせに」

「だから皆から嫌われているんだろう？」

酷い言われようだ。

けれど私はステラではないし、彼女の記憶すら引き継いでいない。

そして、何より私は社畜。

私は無言で地面に座った。

「え？　何してるんだ？」

「まさか……」

「嘘だろう？」

「本気なのか？」

彼らの顔に戸惑いの表情が浮かび、周辺にはギャラリーが集まってきている。

「どうも申し訳ございませんでした！！」

私は手をつき、地面に頭を擦り付けた。

社畜の私は……謝罪することに慣れきっているのだから――