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第13話 もしかしてボッチ?

 とりあえず、学生たちがぞろぞろ歩く方向に進むことにした。


そして、何やら異変を感じ始めてきた。


何だか……見られていない?

視線を感じる方向に顔を向けると、数人の女子大生たちが集まっていた。そして何やら小声で話し合っている。

けれど、私が見るやいなやサッと視線をそらして足早に去っていくのだ。


……何、あれ。感じ悪い……


他にも同様の視線を感じ、私と目が合う度に去っていくのだ。


「……これって、イジメ?」


ステラは取り巻きのいる悪役令嬢などではなく、ひょっとして大学内で孤立してしまう立場にいるのだろうか?


ステラはボッチ。

そして話しかけられそうな相手はいない……ということは……。


「このままじゃ、自分が何処の教室に行けばいいのかも分からないってこと!?」


思わず、頭を抱えた時――


「ステラ・アボット!!」


背後で突然名前を呼ばれた。もしかして、知り合い? 嬉しくなり、私は笑顔で振り向いた。


すると、そこには4人の見知らぬ男性……いや、1人は見知った顔だ。そして何故か全員険しい顔で私を睨みつけている。


エイドリアン。彼は私の婚約者のはずなのに、何故険しい顔で私を睨みつけているグループの中にいるのだろう?


思わず恨めしい視線を彼に送ると、エイドリアンが私を指さした。


「ステラ! ただでさえ、目つきが悪いくせに睨みつけるな!」


他の4人の男性たちもエイドリアンの言葉に頷く。


「ああ、そうだ。それにしてもあんなことをしておいてよく大学に来れたな?」


メガネ男性が話しかけてきた。


「あんなこと……?」


思わず首を傾げる。


あ! ひょっとして両親が話していた「あんなこと」だろうか? しかし、私はステラでは無いので何のことかさっぱり分からない。


「何を首かしげているんだ? とぼける気か?」


ロン毛の青年が腕組みする。


「とぼけるも何も……あんなことってどんなことでしょうか? それよりもお聞きしたいことがあるのですけど」


この際、開き直って尋ねることにしよう。


「は? 聞いているのはこっちなんだよ! まずは質問に答えろ! どういうつもりであんなまねをした!?」


シルバーの髪に青い瞳の青年。この中では一番のイケメンだが、私に激怒している人物にはときめきすら感じられない。


「それは一週間も休んでしまったからです。両親から、そろそろ大学へ行った方がいいと言われたので登校してきました」


「「「「はぁ!?」」」」


私の言葉に綺麗にハモる男性たち。

彼らは全員私に対して怒っているが、社畜の私は怒られることに耐性が出来ている。ただ……周囲から注目を浴びるのだけは勘弁してもらいたい。ここはさっさと立ち去った方が良さそうだ。


「あの、質問に答えたので今度は私の質問に答えてもらえますか?」


「何言ってるんだ! 今の質問の答えで納得いくはずないだろう! 昨日だってふざけたマネをしただろう!」


私の言葉にエイドリアンが怒鳴りつける。

エイドリアン……貴方、一応私の婚約者ですよね? しかも父には逆らえない立場にいるのではなかったっけ?

しかもこっちは無理して敬語を使って話をしているというのに。


「あの……エイドリアン……」


ハァとため息をついたとき。


「みなさん! 待って下さい!」


突然女性の声が響き、こちらへ駆け寄ってくる人物がいた。


その女性とは……昨日公園で出会ったカレンだった――



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