「何を勝手なことばかり言ってるんですか! 私を産んだことでお母様が亡くなったからと言って全て私のせいにして! 寝る間も惜しんで、どんなに努力して認めてもらおうとしても、いつだって褒めてもらうのはお兄様ばかり! まともに私と口を利いてくれませんでしたよね!? 2人が私に酷い態度ばかり取るので使用人たちも皆私のことをバカにしてきました! あの屋敷で唯一、私に優しく接してくれたのは、ニーナとジャンだけだったのですよ!」
そんなこと、私は知らないのに気づけば、勝手に口が動いていた。
「リアンナ様……」
「記憶が戻ったのですか!?」
ジャンとニーナが驚いた様子で私を見つめる。
知らない! 記憶なんて戻っていないってば! 慌てて首を振るも、再び私の口は勝手に動き出す。
「私は殿下からも、2人からも用済みで捨てられたのです! 今更連れ帰ろうとするなんて虫が良すぎます! もう私のことは放っておいてください! 自分の人生は自分で決めます!」
すると父と兄が怒鳴りつけてきた。
「黙れ! お前は女なのだ! 自分の人生など決められるはず無いだろう!」
「そうだ! 大人しく俺達の言うことを聞いていればいいんだ! さぁ! 帰るぞ!」
「いやです!」
首を振ると、カインが私の前に立ちはだかった。
「そうです! リアンナ様はどこにもやりません! どうしても強引に連れて行こうとするなら……」
驚いたことにカインが剣を握りしめる。
それを見たボディガード? らしき男たちが身構える。
「駄目よ! カインッ!」
こんなところで剣なんか振り回さないでもらいたい。
「ですが……」
「待って、カイン。私に考えがあるのよ」
カインにだけ聞こえるような小さな声で囁く。
「考え……?」
すると兄が怒鳴りつけてきた。
「そこっ!! 2人だけでこそこそするな!」
「そうだ! 部外者は黙っていろ! これは家族の問題だ!」
父の言葉に、プチッと切れそうになる。
家族? 今まで散々リアンナを蔑ろにしておいて? 気の触らないことがあれば、リアンナを折檻していたのに?
何故か少しだけ、リアンナの過去が私の中に流れ込んでくる。
「……そうですね。分かりました。そこまで言うなら家に戻ります」
「え!?」
「リアンナ様っ!?」
ジャンとニーナが目を見開く。
「リアンナ様! 本気ですか!?」
カインが私の両肩を掴んできた。
「仕方ないわ。私は所詮、父と兄には逆らえないのだから。でも、ニーナとジャン。それにカインは関係ないわ」
「そんな……」
カインの顔が青ざめる。
「そうだ、分かればいいんだ。さっさと帰るぞ」
兄はうなずき、父はジャンとニーナに視線を移した。
「お前たち2人はクビだ。何処へなりとも好きな場所へ行くがいい。おい、ロープを外してやれ」
男たちは父の言葉に頷き、ジャンとニーナのロープをほどいた。
「俺達もリアンナ様と屋敷に戻ります!」
「そうです!」
「黙れ! お前たちは不用だ!」
2人の言葉を兄が一括し、次にカインを指さした。
「そこのお前も、消え失せろ!」
「イヤです! 絶対に僕は……!」
「はい、分かりました。カインともここでお別れします」
カインの言葉を止めて、返事をした。
「リアンナ様!」
私はカインの言葉に耳を貸さず、父と兄に願い事を申し出た。
「お父様、お兄様。それでは皆とはここでお別れするので、最後に一曲弾かせて下さい」
「分かった、いいだろう」
「その楽器で演奏するのか? やってみろ」
どうやら私がウクレレで奇跡を起こしていることを知らないのだろう。
ニーナ達は私の考えが理解できたのか、おとなしくなった。
「それでは、演奏します」
私は深呼吸すると、ウクレレの演奏を始めた――