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無一文で追放される悪女に転生したので特技を活かしてお金儲けを始めたら、聖女様と呼ばれるようになりました
結城芙由奈
異世界恋愛悪役令嬢
2024年08月12日
公開日
127,751文字
完結
【失礼ですが、どちら様でしたっけ?】

スーパームーンの美しい夜。仕事帰り、トラックに撥ねらてしまった私。気づけば草の生えた地面の上に倒れていた。目の前に見える城に入れば、盛大なパーティーの真っ最中。目の前にある豪華な食事を口にしていると見知らぬ男性にいきなり名前を呼ばれて、次期王妃候補の資格を失ったことを聞かされた。理由も分からないまま、家に帰宅すると「お前のような恥さらしは今日限り、出ていけ」と追い出されてしまう。途方に暮れる私についてきてくれたのは、私の専属メイドと御者の青年。そこで私は2人を連れて新天地目指して旅立つことにした。無一文だけど大丈夫。私は前世の特技を活かしてお金を稼ぐことが出来るのだから――

プロローグ

 19時半――


「うわぁ〜……今日は大きな満月ねぇ」


会社を出た私は何気なく空を見上げて、思わず口に出してしまった。

高層ビルの合間から見える満月はいつも以上に大きく感じる。


「そう言えば、今夜はスーパームーンを見ることが出来るって、朝の情報番組で言ってたっけ」


そのとき、スマホの着信音が鳴り響いた。


「ん? 誰だろう?」


バッグからスマホを取り出し、タップするとサークル仲間の莉子りこだった。


「もしもし、莉子?」


『あ、陽葵ひまり? 今電話大丈夫?』


「うん、会社出たところだから大丈夫だよ」


莉子は私と同じサークルに所属し、年齢も同じ25歳で何かと気のあう友人だった。


『いよいよ、明日本番ね? 準備は万端?』


「勿論、ばっちりよ! 今までどれだけ準備してきたと思ってるの? そういう莉子こそ、大丈夫なの?」


『もちろん! 明日は絶対成功させようね?』


「当然よ。ところで明日の待ち合わせ場所だけど……」


電話をしながら、横断歩道を歩いてると突然脇から大きな光で照らされた。


「え?」


振り向くと、大型トラックがこちらに向かって突っ込んでくる様子が目に飛び込んできた。


眩しい!


そう思った次の瞬間――


ドンッ!!


全身に激しい衝撃をうけ、気づけば宙を飛んでいた。

眼前には大きなスーパームーンが見える。


なんて……綺麗な月なのだろう……。


ドサッ!!


地面に叩きつけられたときには、もはや痛みは感じなかった。


地面に横たわる私に、大勢の人たちが駆け寄ってくる姿が見え……私の視界は完全に真っ暗になった。



あぁ……私……死んじゃうのかな……?

あんなに……念入りに準備してきた……の……に……。



そして私の意識は完全に途絶えた――

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