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いいおむつの日


 もこもこふわふわな感触。赤ちゃんっぽくて可愛らしいデザイン。そして、おしっこをいっぱい吸ってくれる、おしっこもうんちも我慢できない赤ちゃんのための特別な下着。

 赤ちゃん用の紙おむつ。

 私こと、小学四年生の菜月なつきがその魅力にとりつかれてから、およそ五ヶ月が経った。

 あれから色々試した結果、最初に買ったスーパービッグのおむつよりさらに小さいサイズのおむつが使えることがわかった。今ではビッグより大きいサイズ……二十八キロくらいまで穿けるとされている小さめのおむつをよく使っている。スーパービッグと比べて同じ値段でいっぱい入ってるし、しかもデザインがかわいいのだ。ちょっと幼稚だけど。

 ……最近ではおしっこの我慢が効かなくなってきてたりする。小学校におむつを穿いていく頻度も増えてきた。そして、おもらししちゃうことも……。


 十一月六日。金曜日。その日も、そんな風におむつを穿いて登校していた。

 今日も、ヒミツのおもらししちゃうんだ。そう考えると、心臓がバクバクする。

 スカートとタイツの下に普通のぱんつじゃなくて赤ちゃんのおむつをしているだなんて、普通は思わないだろう。そんな『イケナイ感じ』が、私をさらに興奮させていた。

 授業の前にお水をいっぱい飲んできて、おしっこをちょっと我慢して。

 それで、しばらくノートをとって……んっ。

 おしっこの感じ……尿意がつんっと、おまたにびりびり。

 そこまではいつもと同じ。あとは、おしっこの門を解放してヒミツのおむつおもらしを楽しむだけ。そのはずだった。

「……ねぇ、なつきちゃん。なにしてるの?」

 びくり。

 隣の席のみよちゃんが私に話しかけてきた。

「な、なんでもない……よ?」

 あわててごまかそうとするけど……こんなときに限っておしっこは我慢できない。

 しゅっしゅっ、と何かの吹き出す音がかすかに響き渡る。それとリンクするようにビクッビクッとする私。

 あ、もうがまんできない……でも、いまやっちゃったら……。

 みよちゃんの方を向こうとすると、その口が耳元に迫ってきて。


「やっちゃって、いいんだよ」


 ささやかれた瞬間、背筋がびりびり、ぞくぞく、胸とおまたがきゅんきゅんして――「あ……ぅん……」

 力が抜けて、声が、そしておしっこが、漏れだした。

 熱い液体が溢れだして止まらない。でも、それをおまたをおおうもこもこふわふわの下着が、膨らみながら吸収していく。

 徐々に暖かく染まっていくそれに、私は呟いた。

「きもちいい……」


 そのとき、授業が終わるチャイム。立って、挨拶して、おぼつかない足取りでおトイレに向かおうとすると。

「ねぇねぇ、なつきちゃん」

 みよちゃんが私を呼んで、こんなことを言った。

「やっぱり、おむつしてるでしょ」

 ば、バレた!?

「え……なんで?」

 念のために聞いてみると。

「いつも見てればわかるよ。何日かに一度、授業のとき、もじもじそわそわして……最後には気持ち良さそうな顔をして。おもらししたんだってすぐにわかっちゃった。あと、たまにおしっこの匂いがしてるし……」

「だ、だからって……証拠は?」

 イライラするのを抑えて、さらに聞いてみると。

「……だって、あたしもだし」

「え?」

「ついてきて」

 そうして、みよちゃんにつれられて、おトイレに。それで、ちょっと広い「多目的トイレ」のところに二人で入る。

「み、みよちゃんも、って……」

「うん。実はね……」

 そうして、目の前の女の子は、自分のスカートをめくった。

 ……私と全く同じおむつを穿いていた。

「あたしね、まだおむつ外れてないの」

 驚きしかなかった。私と同じように、おむつで学校に来ている子がいたなんて。

 さらに、彼女はびっくりするようなことを告げた。

「でもね、いつしかおむつが好きになっちゃって……本当はおまるも使えたことはあったけど、おむつにしちゃった。そのおかげで、今ではもうおまるにも間に合わないくらいゆるゆるになっちゃったの」

 胸がドキドキする。

 そうなってしまいたい。そんな風に思う自分が心のどこかにいた。

「ねえ、見せて。なつきちゃんのおむつ、替えさせてよ」

 互いの呼吸音が静かに響く。私はうっとりとして、タイツをずり下ろした。

「おむつ、お揃いだ」

「……恥ずかしいよ」

 膨らんだ吸水帯を、青緑色に染まったおしっこサインをなぞるようにさわってくみよちゃん。私は顔を真っ赤に染めて。

 びりびりとおむつの横の部分が破られて、むわっとおしっこの香りが辺りに解放される。

「いい匂いだね」

 そんな風に茶化すみよちゃん。

「汚くないの?」

「うん。かわいい女の子から出たものだもん。汚くなんてないよ」

 もう、その言葉だけでだめになりそうで。

「新しいおむつ、はかせてあげるね」

「うん……」

 右足、左足。順番に足を通されて。

「できた! とってもかわいいよ」

 ぽんぽんと、やさしくおむつ越しにお尻を叩かれたときには、既にこの甘さのとりこになっていた。

「ありがと」

 顔がとても熱くて、すごく幸せな気分。

 そうだ。私はふと思いつく。

「……じゃあこんどは、私がみよちゃんのおむつ、替えてもいいかな」

 聞いてみると、名前を呼ばれたその子は、笑顔で「うん!」と答えたのだった。


 それから、私たちは親友と言っても過言じゃないくらい仲良くなった。

 ……おむ友っていうのかな。お互いにおむつを替えあうような、そんな感じ。

 ほぼ毎日のようにおむつを穿いてきて、適当な休み時間にお互いのおむつを替えあう。そんな日々が続いた。

 そのうち、普通におしっこが我慢できなくなることも増えてきて、いつしか普通のパンツをはく機会のほうが減ってきて。

「ねぇねぇ、みよちゃん。……でちゃった」

「ふふ。じゃあ行こう」


 私は今日も、ひそかにおむつを濡らしている。


   *


 初出:2020/11/06 小説家になろう・pixiv同時掲載




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