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#18 祝・レベルアップ!

「……やったな」

「うん、やった」


 マイとハイタッチを交わす。

 本当に良くやった。あのキル慣れしているだろうラトテップの二人にVRゲーム初心者の私達が勝った。快挙と言って良いだろう。自分で自分と自分の相方を褒めたい気分だ。


 ――――ぱんぱかぱーん! ぱんぱーん!


 そうやって息を吐いていたのも束の間、草原に突如、軽快なファンファーレが鳴り響いた。


「な、何事……?」


 戸惑う私を他所に、私の鼓膜に直接機械音声マシンボイスが届く。これはマナちゃんの声を使った合成音声だ。若干棒読みとはいえ推しの声が耳に直接聞こえるとかヤバい。一気に多幸感に包まれる。

 機械音声が伝えた内容は次の通りだった。


『二倉すのこのレベルが2に上がりました。パラメーターポイントが10ポイント付与されます。


 条件:「戦士・弓兵アーチャーの職業でレベル2に到達する」を達成。

 スキル【伏龍一矢フクリュウイチヤ】を習得しました。


 条件:「矢を累計で五十本以上、戦闘中に消費する」を達成。

 スキル【命中補正E】を習得しました。


 条件:「初めてPKをした」を達成。

 スキル:【殺意の兆し】を習得しました』


「うおおおおお……!」


 機械音声が告げたのはレベルアップとスキル習得のお知らせだった。ラトを撃破した事で経験値EXPを獲得し、レベルアップしたのだ。スキルは条件を達成する事で習得となるシステムで、レベルアップの他、特定の行動を取る事で得られる。


「い、今の聞こえた?」

「ああ、聞こえた。『戦士・剣兵フェンサーのレベルが上がった』だの『剣閃ケンセン何とかっつースキルを習得した』だの言っていたな」

「あ、微妙に違うんだ」


 私が聞こえたのは弓兵のレベルアップと『伏龍一矢』を覚えたっていうお知らせだった。剣兵でも剣閃でもない。どうやら先程の機械音声は本人にしか聞こえないらしい。


「と、とにかくスキルの確認をしないと……!」


 興奮のあまり手が震えながら『冒険者教典カルト・オブ・プレイヤー』を開く。スキルの欄には確かに今しがた習得した三つのスキルが記載されていた。タップしてみるとスキルの詳細が表示された。

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