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第20話


赴くまま主張が通り会議の終わりを宣言した国王陛下と王妃様は、

もう顔面蒼白で相当老け込んで見える様になってしまった。

どれだけ楽な決断しかしてこなかったんだよ。

そう言いたくなる事を抑えつつ私達は閉会した会場を後にする事になる。

とはいえ、その順番も厳密に決められており国王陛下王妃と続き、

公爵家の面々が退出して私達の番となるのだ。

げっそりとしているのは国王陛下だけではなく男爵家もそうみたいで…


「あ、あの…」

「ご息女の教育料、期待している。

少ない場合はそれ相応に彼女は「燥ぐ」事になるだろう。

我が家の教育係は優秀だ。

何も心配はいらない。

そうだろう?」

「はい。

その通りです。

汎用品で申し訳ないのですが「腰が美しくなるコルセット」や

「繋がったブレスレット」は既に質の良い体に合う物がありますから。

ご安心して下さって大丈夫ですよ。

動物を躾ける為の専用の乗馬鞭も良い物が揃っておりますし、

教育係からより大きい物が欲しいと要望を受けて、準備しておりますから…

きっと良い声で元気に「お返事」できるでしょう

お道具も色々と準備しておりますからご実家は何も心配はいりませんよ」


それは、もちろん容赦のない体罰を行うと言う宣言に他ならない。

その回答に男爵家の正妻の次女?なのか長女なのか解らないけれど、

「そんな…そんな…」とか言っているから、

つまりそう言う事なのだろう。ヒロインの妹もお姉さま…

とか言って、悲痛な表情を浮かべている。

まぁ未来を知っているヒロインですから。

妹と義理母との蟠りも最小限にしたんでしょうけれど…

それで家族から愛されていたからと言って、

私がヒロインの教育を優しくする意味はない。

彼女は隣国に献上する大切な生贄なのだ。

そう立ち振る舞える様になるまで鞭を振り降ろし、

素直になれるまで体に覚え込ませるのだ。

そう。

ただそれだけ。

それだけで、これから何十何百ん何万と言う領民が救われる。

未来を知っているのだから。

役立たせるだけなのだ。


「では我々は失礼する」

「ごきげんよう」


それだけ言って私達も会議室を後にしたのだった…

婚約者様に腰を支えられるとそのまま歩き出しそして、

一端控室に戻るのだ。

そこで帰り支度をして帰る事になる。

もう少しで帰る事が出来ると思うと気も楽になるけれど…

控室に戻れた私は帰り支度をはじめようとすれば、

今度は「南の公爵令嬢」が訪ねて来ると言う先ぶれを、

控室で聞かされるのだった。

なんでも同じ公爵令嬢として「少しお話がしたいの」とか何とか。

うぜぇ。

帰らせろと声に出かかるのをなんとか抑え込み…

けれどカウチにクッションを置いて貰い寝そべるような形を取る。

流石に、もう脱がないと苦しくて痛くて耐えられない。

変な脂汗だって出てきているのだ。

うおードレス脱がせろぉ…


「くぅぅぅ…」


叫びたいのを我慢すると隣に婚約者様が座り、

私の体を持ち上げ支えて楽な形にしてくれるのだった。

淑女としては0点ではあるがドレスを見に着けているのが、

もう限界なので仕方がない。

背中側から抱き留めて貰いお腹前で片腕を充ててもらい外から呼吸に会わせて、

お腹を押し込んで貰い呼吸の手伝いをするのと同時に、

前に体が倒れない様に胸にも腕を回して貰って支えて貰うのだ。

当然の様にスルリと私の下に婚約者様は体を滑り込ませ、

その上で浅く体を預ける形を取って婚約者様に寄りかかり、

お腹周りを楽にするべく両足をスカートの中でおお股開きにするのだ。

そうすると、それで体がすれ落ちないようにする為に、

婚約者様には股の間に足を入れて立てて貰い、

体がずれ落ちないようにして貰うのだ。

スカートの中は秘密の領域とか何とかはともかく、

それは言うまでのもなく物凄く恥ずかしい形であり、

けれどドレスのまま楽になるならその形をするしかないのだ。

控え室で容赦なくだらける形を取っても、

それを注意する侍女もメイドもおらず、ほんの少しの間だけで良い。

全身の力を抜いて楽になれるのだ。

休憩室のカウチの上で重なり合うその姿は、

「婚約者同士」だから許される姿に他ならない。

メイド達は生暖かい目で見られつつ…


「南の公爵令嬢様がいらっしゃいました」


呼んでもいない公爵令嬢はメイドに入るよに言えば直ぐさま入室して、

重なり合う私達の姿を見せる事になる。

ありゃ?これは少し不味いのでは?

と思いつつ、上体を起こして丁寧に座り直そうとすれば、

足の上に乗った私を婚約者様は降りる事を許さず、

両手を膝の上に置いた状態で後ろから抱きしめるような状態となれば、

私が婚約者様から離れる事も当然許されない。

あははは。

今更ね。

離れてもねー。

と考えた私はメイドに促され私達の座るカウチの前の椅子に、

座った南の公爵令嬢に話しかけるのだ。


「ようこそおいて下さいました…」


さっさと脱ぎたいと思うドレスに苦しめられながら、

私は婚約者様の上で南の公爵令嬢と対話する事になるのだ。

予定は伸び。

けれど終わらない一日は徐々に私の我慢を強いる時間は…

まだまだ続くのだ。


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