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第6話


ヒロインという厄介事を「躾ける」準備が終わった私が、

彼女に求める事はだた一つ、ヒロインのステータスが足りなくて、

宮廷抗争編には行けず隣国が侵攻をしてくる事を遅らせる為の、

ハニートラップとして隣国に嫁いで文字通りに体を使って侵攻を止め、

悪役令嬢が時間を稼いだようにヒロインも侵攻までの時間を稼ぐ事なのだ。

優秀に成長して隣国の上層部を操り支配下に置いてもよし。

それが出来ないなら文字通りに体を使って侵攻をベッドの上で止めれば良い。

どちらだって構わない。

時間が稼げないのなら、そのまま逝ってくれれば面倒もないしね。

これからヒロインが受けるのが教育なのか躾なのか性技なのか…

学園を卒業するまで三年間あるのだからどれになったとしても、

一つぐらい仕込めるでしょうよ。

…疲れた。

そのまま用意された自室に戻り「着替える事」にしたのだが。


「着替えたいわ」

「我慢してくださいませ」

「…そう」


学園を早退した私はまだ今日のノルマと言うか体を矯正する癖がつく、

時間がまだ終わっていなかった。

遅れている「矯正」を出来るだけ早く行わないといけない私は、

その点においてはどの令嬢より苦労していると思う。

学園の制服は嫌味なほどに「体のライン」を出して「可愛い女の子」を、

演出する誰がも着たいと思える素敵なデザイン…なのだ。

そこに貴族と言う特性上、家格によってカスタマイズする事が許される。

高貴な家の女性ほど肌をさらす訳に行かないし「扇子」を持つ事は、

貴族令嬢の義務とされているし、

令息には家紋の入った短剣か騎士爵家なら普通の剣の携帯も許されている。

勿論刃は潰された模擬剣ではあるのだが、女子男子関係なく、

腰に帯剣用のベルトを巻くか、扇子用のベルトを巻き付けている。

スカートの長さや肩のパフスリーブもある程度融通が効くようで、

悪役令嬢の制服は長いスカートにデカイパフスリーブ付きのダブルのジャケット。

そして金細工の施されている太いベルトに特殊な加工と言うか、

校則スレスレの家紋をバックルの形に加工して、

どの家の令嬢なのかをしつこく主張するベルトを腰に巻いているのだ。

平等を歌う学園としては家格を主張する目立つものは禁止とされているが、

それもベルトのバックルであるから問題ないと容認されているのだ。

まぁ偉そうに見える様にカスタマイズ?と言う名の、

一品物に改修されているのが普通なのだ。

それだけで「何が気持ちを一つにする為に同じ物を着る」なんて校則が、

形骸化しているのかが解る事だけれど、貴族と言い免罪符で押し通せるのだから、

上位貴族にとって素晴らしく都合の良い学園だとは思うのだ。

と言うかそう言った「免罪符」が無ければヒロインが求めるご都合主義満載の、

薔薇の花弁が敷き詰められた部屋でヒロインに向かって攻略対象者が、


「君の色で部屋を彩ってみたのさ!」


とかできやしない。

やってもらえる立場としては「まぁ!とっても素敵!」と喜べることだけれど、

あれだけの薔薇を用意するだけでは無くて、

それをバラして部屋を彩る作業がどれだけ大変かを考えると、

「周囲」のお付きは地獄を見た事は考えるまでもない。

もちろん家格に合わせて使用人を引き連れて歩く事も容認されるのだから、

何が平等なのだ?と何度でも考えてさてくれる素敵な学園だ。

まぁ…そう言った使用人やメイドがいなければ「ご都合主義」の素敵な空間が、

出来ないのだから乙女ゲームとしては仕方ないのだろうけどね。

んで、その場で抜剣して愛を囁く攻略対象者と、

その抜剣を包み込むように扇子を充てるという礼儀?が、

深い二人の愛を確かめるイベントの一部なのだから凄まじい。

あーほんと、平等って?団結力を高める制服って?いったい何なんだろう?

というイベントが「ヒロイン」がいなくても行われるのがこの学園なのだ。

その高貴心を育むとか何とかな良し悪しはともかく、

私の制服も規格を守り公爵家として相応しい様にカスタマイズしている。

クソでかいファーが先端についた扇子を所持する事は、

公爵令嬢として義務でありそれに合わせた扇子を所持して固定する為の、

ふっといベルトを腰に巻かないといけない。

貴族令嬢と令息に許された権利は、平民の生徒にまねできない様に、

そのベルトの幅と太さも何やら規格がある様で本当に余計な事ばかり、

この国では決まっていくみたいだった。

つまるところ腰に巻き付ける帯剣用のベルト一本でその人物の家格が、

解る様にしているって事なのだ。俺の方が身分が〇〇だから、

オメーラ間違えんじゃねえと無言で周囲を威圧する為のベルトでもある訳なのよ。

生徒同士が平等だなんて口先だけの出任せてあることが良く解る。

一昨年くらいだったか?女生徒の髪飾りには婚約者がいる事を示す物を、

身に着ける事が決まったとかで…

原因は「学園内で模擬剣を使った決闘騒ぎ」で、その原因は、

婚約者がいる事を黙っていた事だとか何とか…。

婚約者のいる男子生徒は無言で婚約者を束縛する権利がありそうだよ、

この学園の出鱈目に作られた校則にはね。

付き合っていられないわ…

と思いながらも、私の髪飾りは当然の様に用意された婚約者様から頂いた、

髪飾りと言う名の宝石の嵌め込まれたサークレットの着用が義務なのだ。

さっさと学園を辞めて故郷に帰りたいと思うのだが、

私は立たされた立場状それを許して貰う事は出来ない事は確定している。

しなくちゃいけない。


「両家の為に生きる事。

それ即ち王都で他の貴族との関係を円満な物にして、

良い関係を手に入れて侵攻して来た時に支援をして貰えるようにする事」


なのだ…

その第一歩として攻略対象者とは素敵なご学友となる事が私には求められるのだ。

公爵家として見下されない恰好をして宮廷内で発言権を得る。

そして爵位の低い者や平民の後ろ盾になったりして信頼を得る。

そうして派閥を纏め上げ下の家格の者達を率いる事が、

私の役割である未来の公爵夫人として求められるこれからの生き方なのである。

前線で剣を振るう事はもう求められない。

それはもうなんていうか…

婚約者様には申し訳ないが離縁してでも新しい人を見つけるべきだと、

強く説得したい事だった。


「何を言っているんだい?

私にこれだけ苦労をさせて私を置いて自分だけ「逃げる」だなんて許さないよ。

君以外を妻として迎え入れるつもりはないし、

私達の領地は君と私がいるから成り立つのだからね。

1人だけ先に楽隠居だなんて考えてはいけないよ。

もしも逃げたとしてもちゃんと捕まえてあげるから安心していいよ」


私を膝の上に乗せてぎゅっと抱きしめながら、

だれーにも聞かれない様にしながら耳元で囁いて、

頭を撫でてくる辺り本気なのだろう。

それは安心して良いのか悪いのか解らない婚約者様からのお返事だった。

ここまで気に入られる理由は解らないが、

一応私が転生していてこの世界に近しい世界と思われる知識を、

何故か持っているという事は伝えてある。

そこから考えられる予言めいた未来予測も当然婚約者様には伝えてあるのだ。

彼が私の言葉を、「未来」を信じるか信じないかは私が考える事じゃない。

私の目的は故郷であるお父様の領地を守る事。

その為に協力関係としてともに戦ってくれそうな隣の領地の息子に、


「先の事教えておくからあとよろしく~」


みたいなつもりだったのだが。

私は隣接する公爵家の御子息様の婚約者に納まってしまったのだった。


なんでやねん?


私達が結婚しないで各々の領地として独立し続けるのだとしても、

お父様の領地を継ぐのは私の弟となる。

結局ある程度時間が経って来れば私は領地の運営から外れざるを得ない。

その立場を失うのは確定的なのだ。

私が領制に口出ししても怒られなかったし、ある程度の融通が効いたのは、

あくまで私の我儘をお父様が許してくれたからにすぎないのだ。

お父様が引退して弟が領制を引き継いだら私が口を出すことはしないし、

それ以上に出来ない。

弟のアドバイザーは自動的にお父様が行うし何かを実行する権限は、

当然の様に失う立場なのだ。

なので、後は一兵士として領地の最前線で戦う位の自由しかないだろうし。

それが出来なくなれば何処か静かな所で、

余生を過ごす事くらいしか考えていなかった。

決定権がない以上適当に時間を消費して生きる以外の選択肢はないから。

私だけが都合よく生き延び続けられるなんて幸運が続くとは思えないからね。

それだけ見たくもない血の泥の中で五年間戦ったのだ。

その代価は払えたと思うのだ。

生き残ってどうせ傷だらけの体しか持たない私は舞踏会では、

当然役に立たない姿なのだから。

…婚約者さえ出来なければ無事に学園を卒業して、

後は実家の領地でご奉仕活動前線警備ともいうして、

それが出来なくなったら後は後進に任せて楽隠居かその前に、

何処かの戦いで…という夢のプラン?は、儚く砕け散ったのだ。

それが統合される領地の公爵家の公爵夫人となるなんてメンド…

いや、大変光栄な事なのだが…

公爵令嬢として振舞うのは私はかーなーりー無理がある。

ほとんどの御令嬢は例外なく学園に来るまでに「磨かれて」来るのだ。

それはもう言葉通り、

おめめぱっちり。

ツルツルもちもちお肌なのだ。

が…

当然その両方とも私にはない。

それ以上に致命的なのはほとんどの令嬢達が、

制服の下に色々身に着けているって事なのだ。

学園は通過点に過ぎずその先にある社交場で少しでも優位に立つために、

家の総力を挙げて「磨き上げられる」のが貴族令嬢と言う奴なのだろうね。

幼少期の頃からコルセットは当然として、侍女やメイドに美しく成長するように、

矯正された「美」を持っている。

私はその大変重要な時期に剣を握り前線で血まみれになっているのだから、

その差は入学した時点で大きな差となっている。

更に言えば切り付けられ、無理矢理応急処置して生き延びた弊害で、

柔らかいお腹周りがボコボコなのは前にも語った通り。

けれど自身の小ささをカバーするために魔力を使って筋力を強化し、

大剣を片手で振るい続けた私の体は、それはそれはものすっごーく、

偏って成長したのは言うまでもない。

そのバカでかく重たい剣を支え続けた、体は剣の重量を支える為に、

歪に声量した事は言うまでもない。

結論から言うと曲がっているのだ。

左右の肩の高さが違う。

最大限の努力をして筋力強化も魔法を酷使し続けた弊害だろね。

利き腕である右腕が敵を殺しやすい様に体の重心位置が変わったのだ。

右腕を効率よく突き出して伸ばせる様に成長した五年間生き延びた成果なのだ。

そして腰の括れ方もそれを支える様に当然違う。

腕や太腿とかに残っている傷なんて些細なものレベルで、

私の背骨は歪んだのだ。

なるだろうなと思いつつ、それでも今を生き延びる事を優先した結果で、

安定して敵を殺れる様になるまで、周囲にはひた隠しにしたのだ。

そしてその結果医師の診断によると成長期に無理をした弊害と言われ、

戦場で拙い魔法で無理矢理治療した結果なのだそうだ。

私としては後悔はしていないし後悔していたら死んでいるから、

それ以上選択者ない。

だからこそ…


私が婚約してから両家の両親と婚約者に大量に用意された物がある。


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