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キャンプ④

「一、何があっても最後まで百物語を続けなくてはならない」

 渡辺霊子は、淡々と言葉を紡ぐ。


「いやだ! 助けて! 助けてくれ!!!」

 廊下に逃げたクラスメイト達が、黒い毛むくじゃらの手に次々と捕まっていく。



「ニ、語り手の話を阻害してはならない

 三、話し終わったら、必ずろうそくを吹き消すこと」


 バキバキ、ゴキン! 嫌な音が聞こえる。


「四、話し終わっていないのにろうそくを吹き消してはならない」

 やがて、静かになった。


「五、何が起きても百物語が終わるまで、部屋を出てはいけない」

 教室には、十数人ほどのクラスメイトだけが残された。ただ一人を除いて、みな、恐怖を顔に張り付けていた。


 渡辺霊子が、薄い唇の端を吊り上げて笑う。

「さぁ、百物語のつづきをはじめましょう」

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