植木が黙る。教室中がしんと静まり返った。そして、みんなの視線が一人に注がれる。
「いつになったら本題に入るんだよ! 早く山に行った話しろよ!! こっちはおしっこ漏れそうなんだよ!!!」
「あ……ごめんね」
植木はしゅんと下を向く。彼女、文武両道で明るくて可愛いのだが、超絶おしゃべりという欠点があるのだ。
ガタガタ………ガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタ
グギッギ――――ッ!!!!!!!
「なに?」
「うわぁ!」
窓が、開いた。というか、何者かにこじ開けられた。
「ねぇ! ちょっと! 最初に窓のカギ閉めたよね!」
「何なの! 嫌……!」
窓を開けた黒い毛むくじゃらの手は、おしっこマンを掴むと、軽々と持ち上げた。