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空を見る⑪

「……おわりです」

 石谷は、しずかにろうそくの火を吹き消した。


「首吊り死体に恋をする……か。これ昔ボカロ曲でもあったけど、ありえないんだよね」


 眼鏡のほうの佐藤が、早口でまくしたて始めた。何やら不満があるらしい。


「だってさー、首吊ったら普通顔が下を向くわけじゃん。星空を見ている君に惚れたけど……なんてリアリティーがないじゃん」

「うるさい! 僕はそういうロマンチックでバッドエンドなのが好きなの!」


 石谷は顔を真っ赤にした。彼がこんなに怒ったのを見たのは初めてかもしれない。


「まーまー。喧嘩してたら日が暮れちゃうよ」

 仲裁するのは学級委員長の植木。でも、まだ二人言い争っていた。


「おしっこもれちゃいそうだよぉ~~~~!!!」

 おしっこマンの痛切なる祈りが届いたのか、喧嘩は治まった。

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