それからは、夜になるたびにその洋館に通って女の人を見に行きました。
女の人は、いつもバルコニーに立っていて星空を眺めていました。風が吹くと、彼女の長い髪がさらさらと揺れて、僕はドキドキしました。
そんな生活をしばらくつづけていたら、新学期になりました。そのころにはもう、授業中にも、休み時間にも、宿題をしているときも、お風呂に入っているときも、ずっとずっと、女の人のことが気になって仕方がありませんでした。
彼女に会って話をしてみたい! もう我慢が出来ませんでした。
その日、学校が終わってすぐに家に帰らず、小高い山を登ってあの大きな洋館に行きました。
彼女は、相変わらずバルコニーにいました。