「つぎは僕の番だね」
石谷はテニス部に入っていて顔は良いのだが、無口でいまいち何を考えているか分からない。いつも一人でぼーっと窓の外を眺めていて、そのため全然モテなくて、もったいないなと常づね思っている。
まぁ、今は多様性の時代だから彼のセクシャリティーも分からないし、『モテ・非モテ』に価値を置いていないのかもしれないので、もっとみんなと仲良くした方がいいよ! などとアドバイスするのも野暮ってものだろう。
閑話休題。
「その日、学校が休みで、僕はいつものように空を眺めてたんだけど」
でた。不思議ちゃん! 口から出そうになったけど口をふさいで言葉を飲み込んだ。
百物語ルール
ニ、語り手の話を阻害してはならない
にあやうく抵触してしまうところだった。
窓の木枠は、相変わらずガタガタガタガタと震えていた。