桜と肉⑦
「あ、そうそう。そういえばうちの大学にも桜の木あるよね。毛虫が出るからって、あんまり近づく人いないけど、もしかしたら……ね?」
私は、ふーっとロウソクの火を吹き消した。周りを見渡すと、結構みんな怖がっていて効果は抜群だ。教室には大きな張り紙が貼ってある。「第二百十八回 オカルト研究会 百物語」
「ねぇ、それ本当にあった話なの?」
眼鏡をかけた女学生が声を震わせて尋ねる。
「うん、ホント。私は大学からこっちだけど、先輩は北海道の××畜産大学に通ってるよ」
そういうと、彼女は神妙な面持ちでごくり、と唾を飲み込んだ。