お昼休みにAさんはBさんを探しに行ったの。一緒にお弁当を食べようと思って。で、教室にいなかったから中庭に行ったの。そしたらBさん、一人でお弁当食べてた。大きな桜の木の下で。
Aさんはそりゃあ止めたよね。早くその木から離れたほうがいいって。でもBさんは「なんで? こんなに綺麗に咲いてるのに?」って。
え? うん、そう。五月初めくらいの話。え? 咲いてるよ、桜。北海道だもん。
話、戻していいかな?
Bさんは何で桜の木の下にいちゃいけないのかを何度も聞いてきて、Aさんは答えられなかったの。「中庭の桜の木には近づいてはいけない」っていう言い伝えはあるけど、何でかは誰も知らなかったから。
――ぼとり。
Aさんが困っていると、”何か”が上から降って来たの。足元を見たら、散った桜の花びらの上に肉塊が落ちてた。生の鶏モモ肉みたいな感じで、ピンク色で、ところどころに赤い血管が浮き出ててさ。
Aさんは怖くなって走って逃げた。「Bさんと仲良くできません、すみません」って担任に泣きついた。肉塊のことも言ったけど、先生は鼻で笑って取り合ってくれなかった。