私の通っていた小学校の近くに、ちょっと変わったおじさんが住んでいました。
おじさんは、首元がヨレヨレのいつ洗濯したか分からない服を着て、いつも登下校の私たちをにやにやと電柱の陰から見ていました。
ある日、学校で一枚のおたよりが配られました。それには、こう書かれていました。
『不審者に注意。怪しい人にはついていかないこと』
隣の学校の女子児童が誘拐されたらしいです。お母さんに見せたら、怖いわねーって言ってました。
そのとき、私はおじさんのことを母に話しました。私たちが登下校のときにじっと見てくるおじさんがいると。
母は青くなって、絶対にその人に近づいちゃだめ! と言いました。私は、うん分かったと言いました。