「おしまい」
浅田はふーっと、ろうそくに息を吹きかけ、火を消した。
「友達の彼氏取っちゃう女の子っているよね。たぶん、人のものは魅力的に見えるんだと思う」
隣の芝は青く見えるという奴か。そういえば、小学生の頃に友達が持っていたロケット鉛筆、おばあちゃんにせがんで買ってもらったな。一週間もたたないうちに飽きたんだっけ。
「つぎは、しおりちゃんだよ!」
浅田が声をかけると
「う……うん」
気弱そうな女子生徒が、返事をした。
そのとき、ガタガタと窓が揺れだした。
「うわぁ、ガタついてるね」
「今日、別に風強くなかったんだけどなぁ」
「廃校舎だからじゃねーの」
「そーかも」