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こっくりさん⑥

「こっくりさん、こっくりさん。お帰り下さい」


 十円玉が勝手に動き出す。


「いいえ」


「……え?」

 Aさんの額に冷や汗が流れます。


「こっくりさん、こっくりさん。お帰り下さい」


 十円玉が、再び勝手に動き出す。


「いいえ」


「ちょっと! 何なの!? マジでやめてよ!!!!!」


 半狂乱になりながら、何度も繰り返したけれどこっくりさんは帰ってくれません。


「こっくりさん、こっくりさん……どうして帰ってくれないのですか!」


「け」

「ん」

「か」

「り」

「よ」

「う」

「せ」

「い」

「は」

「い」



 Aさんはすべてを悟ると、ゆっくりと十円玉から手を離しました。

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